水道管の繋ぎは、管と管だけでなく人と人も結んでいた。

一どんな活動をしていますか？

　設備会社の社員として、水回り関係の仕事をしています。水回り関係というと水道水と下水道を想像しますが、それだけではなくボイラー、エコキュートの据え付け、冷暖房工事などの仕事もしています。
　この仕事の特徴は、同じ水回り関係の仕事でも同じものが無いということです。取り付ける物は同じでも、その家毎に配管の位置が異なっているので仕事の段取りや作業工程のどれ一つをとっても同じものはありません。そこで、作業に入ったお宅の管路は、極力覚えるようにしています。もし、水道管の破裂等がおきても最小限の工事で済むようにするためです。

一はじめたきっかけはなんですか？

私は長野県出身ですが父の故郷は県南部の天竜村、母にいたっては東京都の出身です。父親の転勤に伴い保育園児のときに筑北村に移住し、30歳の目前まで父親の知り合いの神奈川県の会社で働いていました。たまたま、今の会社の社長と話をする機会があり長野に戻りお世話になることにしました。29歳の9月7日から働き出したことを今でも覚えています。もちろん、水道のことだけでなく親戚もいなかったため村のしきたり等も知らない中で知識ゼロからスタートしました。 　実際に働き出して感じたことは、神奈川にいたときは誰か知らない人のために働いていましたが、今は依頼主が誰か分かる仕事をすることで、仕事の終わりが付き合いの終りはなくむしろ、つきあいの開始のように感じています。

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  会社にある水道部品。管と管を結ぶには欠くことができません。

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  車両には、様々な部品が入っています。現場で必要になる資材が異なるため材料の選別には気を使います。

一一番大切にしていることはなんですか？

　技術的な面と他の事の2つの観点から大切にしていることがあります。 技術的な面からは、いいかげんな仕事はしないのは当然ですが勤務先の「清田屋」さんに頼んで良かったと依頼主の方から言っていただけるよう丁寧な仕事を心掛けています。依頼主の家に合う部材が何かを考えてより綺麗に仕上げることを目指しています。村の中にある会社で依頼主も知っている人か、知らなくても顔は見たことがある人ばかりなので仕事が終わり喜んでもらえることは、励みになります。先日も蛇口をいっぱいに開いても少量の水しか出なかったお宅が、工事をしたことで「沢山水が出るようになってよかった。」といっていただきました。 もう一つの面は、対人関係です。会社の仲間との関係だけでなく他の職人さんと一緒に仕事をするときがあります。会社の先輩がすごく上手いのですがけっして怒らず職人さんの仕事のやり方を尊重し、働きやすい環境を整えていきます。私も見倣いたいと思っています。また、本日の現場はたまたま妹の同級生の家ということもあるのですが、村内には他にも設備会社があり村外も含めると複数の設備会社がある中から私の勤務先の「清田屋」を選んでいただきました。顔と顔の分かる関係だから選んでもらえたようです。現在、私は消防団にも入っているのですが、同じ団員からも仕事の話はしていないにも拘わらず水道設備等の相談をしてくれる人がいるようになり、仕事をいただくこともあるようになりました。仕事の本質は、人間関係の中にあることを感じています。

一今後の目標を教えてください

　今は、水回りの設備の仕事をしていますが、設備業は複数の建築関係の仕事と繋がっています。このため、ホテルのコンシェルジュのような建築関係の総合案内というか相談窓口のような会社を目指したいと思っています。例えば「外壁が落ちちゃった。ドアノブが壊れちゃった。どうしよう。」というささいな事も、どこに相談したらよいのかがわからないのが村の現状です。そこで、勤務先の「清田屋」に行けば信頼できる業者さんや職人さんを紹介してもらえるなど、今は水回りの仕事だけですが、近い将来、住宅のことなら「清田屋」と言ってもらえる会社にしていきたいですね。また、村内の水道と下水の管路図を暗記してしまいたいです。災害時など水道管が破裂しても、管路図が頭に入っていれば被害を最小限に抑えられます。他にも覚える事や資格の取得などやらなければならない事が沢山ありますが、やりがいのある仕事なので、毎日楽しく過ごしていきたいと思っています。