一どんな活動をしていますか?
潮来市シルバー人材センターの会員として、まこもの栽培やまこもたけの販売などに携わっています。
4月に行われる苗分け、植え付けから、水の管理をしたり、元肥や追肥を行ったり、雑草を抜いたりといった日々の作業を経て、9月の終わりから10月に行われる収穫まで、じっくり腰を据えてまこもと向き合っています。
収穫したものの売り込みというところでは、道の駅いたこではっぴ姿で対面販売を行っています。
また潮来市の給食にまこもたけを提供したという関係もあって、小学校に足を運び、こどもたちの前でまこもについてお話をすることもありました。
二年に一度行われるまこもサミットへの参加も大きな機会です。まこもについて専門的な研究をされている方とのつながりの中で、まこもの世界の奥深さをさらに掘り下げることになります。
一はじめたきっかけはなんですか?
平成12年に定年退職をし、その翌年に潮来市シルバー人材センターに入会しました。
センターで行われている多様な活動の中でマコモに深く関わるようになった直接のきっかけは先輩からの誘いです。
そしてまこもの栽培に実際に携わる中で、自然とマコモ栽培の面白みに目覚めることになります。それまでの仕事とはまるっきり違う分野ではあったのですが、これならあきることなく続けられるかもしれないという新鮮な感覚を味わい、その思いは変わることのないまま今日に至ります。
シルバー人材センターがまこもの栽培に乗り出したことについて話します。
環境美化運動の一環として前川地区の不法投棄防止にかかわる景観整備を目的とし、何かできないかという話になりました。
そんな中、当時のシルバー人材センターにいた台湾在住経験のある会員がまこもを栽培してみないかと進言しました。
台湾ではまこもの栽培が盛んに行われており、まこもたけを食べる文化も普及しています。
そしてまこもは潮来とも少なからぬゆかりがあります。
昭和三十年代ごろまで、潮来の水辺の風景の中には当たり前のようにまこもが繁っていたという話は知られています。
さらに歴史をさかのぼると、江戸末期のはやり歌「潮来節」の中で「潮来出島のまこもの中にあやめ咲くとはしおらしや」と歌われているまこも。
そんなまこもに対して今の時代に新たな活用法でもって光をあてることは、潮来でやる意味にもつながるということでまこもが選ばれました。
野生のまこもと食用のまこもは違うものではありますが、それでも昭和の潮来をしのぶことのできる作物であります。
一一番大切にしていることはなんですか?
作物を育てあげることの中にはたくさんのやりがいが詰まっています。
春に植え、成長し、秋には結果が出る。成長の過程に寄り添うことができるのです。
春には膝丈ほどの高さもなかった苗が、夏の頃には自分の背丈も越えるほどの成長を遂げる。
定年退職するまで関わった仕事の中で覚えたやりがいとはまた違った種類の達成感にやみつきになりました。
一今後の目標を教えてください
まこもを潮来市の特産品として定着させる活動がしたいと思っています。
潮来にはあやめだけでなくまこももあるのだと自信をもって言えるようになることを願っています。
まこもに関わる人間として、潮来に長く暮らす人間として、地域を盛り立てることにつながるようなあり方でまこもをさらに広めていきたいのです。
まこもの存在は知っていても、どう調理すればいいかわからないという地域の方はまだまだ多いです。
まこもたけが地域でもっと愛されるためには調理の方法が知られることが必要になります。
まこもの周知活動のため、市内の学校給食での活用や地元のスーパーで取扱ってもらうという部分に力を注いでおり、これからも努力していきます。
道の駅いたこでは収穫期間の土日祝日と対面販売を行い、まこものPRをしています。
基本的にまこもだけは味も香りもたいへん淡い。そしてタケノコとアスパラガスの中間のような、良い歯ざわり・食感をしています。そしてくせがなく、あくぬきの必要がないから、どんな料理にも溶け込んでしまうので万能の食材です。
シルバー人材センターでまこもに関わっている仲間とともにまこもの活かし方を提案し、まこもの可能性をたくさんの人に知ってほしいと思います。
まこもという”郷土色”あふれる食材が、真の”郷土食”として地域の方含めさらに多くの方々に認められるため、これからもまこもと付き合っていこうと思います。
アピールポイント
シルバー人材センターなしにまこもは語れない。
ひとりひとりの力が合わさってこそ、まこもは実りの季節を迎えられる。
-コーディネーター紹介-
山根さんに会うといつも、パワーをもらえる。それはどこか、天に向かって伸びるまこもの葉のたくましさを思わせるのだけれど、その見かけの内側に秘められた純白のまこもたけにこそ、山根さんは思いを注いでいらっしゃる。もともと関西出身の山根さんが転勤を経て、潮来に根付くまでの時間を思う。そこに立つまこもの姿が山根さんの背中と重なる。潮来の風の中にしっかと根をはっていた。まこもだけは強い味も香りもなく、そのぶん幅広い料理に自然と馴染んでしまうところがある。可能性も伸びしろもたっぷりのまこもたけとともに、これからの潮来を見つめる山根さんの姿があった。