一どんな活動をしていますか?
「ペットコミュニティサロンあしあと」のオーナーとしての活動がまずひとつの柱としてあります。
「あしあと」はワンちゃんのトリミングサロンやペットホテルとして利用される場所です。トリマーとしてもお仕事しています。
子育て広場「はぐくみのもり」は2016年よりスタートしました。
子育て真っ最中のお母さんの情報交換・情報共有ができるようなコミュニティースペースを目指して開放を行うほか、ワークショップや講座の実施・マルシェの開催を通じて、さらに多くの人に開かれた場とすることに力を入れています。
親子でできるような体験という事も意識しながら、初心者でも挑戦しやすいナーラーヨガに美文字の講座、かわいさと実用性を兼ね備えたクラフトかご作りなどを、講師の方をお招きして実施しています。
近隣で開催されるイベントの方にも積極的に出展して、親子で楽しめるワークショップを開催したり、小物の販売を行ったりしています。
「はぐくみのもり」では自然栽培野菜の販売も行っています。
潮来市内とその近隣の鹿行地域の農家さんを私自身が実際に訪れ、「これならこどもたちも喜んで食べてくれる」と自信をもって言える品質の良い野菜を仕入れ、ネットなどを中心に販売しています。
何種類もの野菜をひとつの箱に詰め込んだセットがとりわけ人気です。
イベントも積極的に開催しています。
わたしの暮らす地域に賑わいを作りたくて、マルシェの開催を何度か行いました。
親子で見て、参加して楽しめるコーナーを積極的に取り入れています。
最初の数回はうちのお店を会場にしてのイベントだったのですが、規模を拡大したいなと思った時に、自分と同じように地元を盛り上げたいと考えている仲間の発案で、「日の出においで」という団体も仲間たちと立ち上げました。
あしあとのお隣のお店「ナチュラルショップくるむ」の関幸子さん、茂木光恵さん、そして潮来市内外で「アオハルフェスティバル」という音楽イベントを行っている今井直樹さんととともに活動しています。
2017年の9月には「なないろ&はぐくみのもりマルシェ」というイベントを開催しました。
染物やアロマのワークショップに、心身のケア、体にやさしいお菓子やご飯に小物などの販売、さらにライブまで本当に盛りだくさんのイベントで、市内外の多くの人に声をかけて形にしていったものです。
当日はありがたいことに多くの方の来場に恵まれました。反省点などを踏まえながら、継続的な開催に向けてもうすでに動き出しています。次回は2018年の5月に行いたいと思っています。
一はじめたきっかけはなんですか?
幼い頃から犬に関わる仕事がしたいと思っていました。
潮来市内の動物病院にて動物看護の仕事をしていたこともあります。
もともと私は、トリミングに関しては、どこか人が見て楽しむものという捉え方をしていたのですが、その考え方は動物病院で触れた飼い主の方の実際の声を通して徐々に変化していきました。
例えば、具合が悪いペットを病院に連れていきたいけれど、まずきれいにしないことには…というところでためらってしまう方がいて、けれどペットのためとなると、なるたけ早く病院に連れていくのが一番。
そんな時の手助けとなり、心の負担を軽くすることにもつながるトリミングは、ペットを家族として愛する人に求められている仕事なのだと気付かされたのです。そこからトリマーへの道を本格的に意識し始めました。
トリマーの専門学校に通ったりしながら、技術を身につけ、都内のデパートのペットショップなどでの勤務を経て、ついに潮来にお店を出すことになりました。
ペットサロンはありがたいことにもう十年近くになります。
地域の人に育ててもらっているという意識は年々高まり、いつの頃からか恩返ししたいという思いにまで育っていました。
”潮来にないもの、必要なもの”が作りたい…それこそ本当に地域のためになるという思いは膨らみ、何かを新しい形で立ち上げることはできないだろうかと思案する日々でした。
そんな中で、自身の子育ての経験から思い当たったことがあります。
潮来市内には児童館がなく、隣町の神栖まで車を走らせる日々を送っていました。
子育ての中で覚えた不安・悩みを打ち明け、育児経験者から経験談を聞く時間はとてもかけがえのないものであり、心が軽くなる時間でした。
児童館はただ遊びに行く場所というばかりではなく、ママたちにとっての駆け込み寺的な役割も果たしていたのです。
こどもを育てていく中で、右も左もわからないでいたママも成長して一人前の母親になっていくのだと思います。
その成長に寄り添えるような場所が作りたいと思うようになりました。
潮来とその近隣の土地のママたちが、誰にとっても初めてであるはずの子育ての中で抱えたものを吐き出せ、たがいに共感しあえる助けになれる場所を、というところから「はぐくみのもり」はスタートしました。
野菜の販売の方も、やはり子育ての中での経験がきっかけでした。
一時期、こどもの体の不調に悩んだことがありました。
色々な原因を考えながら、今一つはっきりとしたことがわからない。
そこでまずは食べるものから変えてみようということで体に優しい農法による野菜やお米を料理に使うようにしました。
ひと月ほど続けるうち、効果は目に見える形であらわれました。
内側からの体質の変化からくるのだと思うのですが、不調が解消されたのです。
そのときの感動といったら簡単には言い尽くせないほどで、他の方にも是非味わってほしいというところからはじまりました。
潮来市という枠を越え鹿行地区の農家さんに声をかけ、実際に足を運んで出会った”いいもの”だけを厳選して、みなさまにつなぎたい思いが原動力になっています。
一一番大切にしていることはなんですか?
わんちゃんの目線に立つことがまず第一に求められることです。
獣医さんの爪切りは治療という目的があって行われるものですが、トリマーとしてのそれはまた違います。
ひとたびトリミングが嫌いになってしまえば、それからずっと嫌々トリミングをさせることになってしまいます。
ですので、一回のトリミングがその子の一生をも左右することになるという意識をもって、丁寧な仕事を心がけています。今は難しくても、半年後、一年後に嫌がらずにできるようになればいいな…と長いスパンで付き合っていくトリミングを考えています。
また飼い主さんとの会話のほんの些細な部分まで、上手にすくいとることも大切です。
飼い主さんは気づいていないけれど、実はそこに重要な兆候があらわれているということもあるからです。
人とは違う生き物であるからこそ、より一層細やかな心配りが必要になることを意識しています。
「はぐくみのもり」はママさんたちの不安が少しでも軽くできる場づくりというところに思いをもっています。私自身が子育てをする中で気の晴れる場所を求めていたということもありますし、今まさに悩みを抱えている人がいるのであれば、解決するための手段のひとつになれればいいなと思っています。
マルシェなどのイベントの方は「またやってほしい」という声を聞けることが一番のやりがいです。
イベントに参加してくれた人が「次は手伝うからまたやってほしい」と言ってくれた時には、嬉しさもひとしおでした。
参加してくれる人が楽しめ、出店者は誇らしい気持ちになれるイベントを目指していきます。
これからの展開を考えるとやはり地元で活動をされている人が鍵となるでしょう。
地域のつながりにはぐくまれてきたことを大切にして、地域に還元できるようなイベントをこれからも企画していきます。
一今後の目標を教えてください
潮来で生まれ育ったこどもたちが、いったんは故郷を離れてしまうということもあると思います。進学や就職、結婚など人生の節目節目でそうした選択をとることはきっとあるはずです。
それはそれとして仕方ないことだし必要なことだと思いますが、私は潮来を「また帰ってみようかな」と思えるような場所にしたいです。
「そういえばあんな楽しいことがあった」と思い返せる場所、「またあそこで暮らしてみようか」と思える場所……自分のこどもを育てていく潮来というまちがまた帰りたいと思えるような場所であってほしい、そんな思いが今の活動に結びついています。
そのためにもイベントのこれからの展開として、地元で活動されている方により光をあてる形で行っていければと思います。
地域の人にとっての誇りともなるような「続いていくイベント」を、ここ潮来で実現することが今の大目標です。
現在は「はぐくみのもり」や、お隣の「ナチュラルショップくるむ」さんを主な会場にしているのですが、いずれは潮来駅近くのショッピングセンターアイモアの駐車場を借りたり、お店の前の道路を歩行者天国にしたりと、さらに大々的に実施したいという思いがあります。
今後も鹿行地区を広く見つめながら、潮来に密着する形で活動していきたいです。
アピールポイント
萩原さんと、愛犬と。
あたたかく迎えてくれる場所がそこにある。
大切なワンちゃんのちょっと気になるお体の変化に親身に寄り添い、子育て中のお母さんのお悩みを優しく引き出せる場所だ。
イベントというと華やかで、賑やかでといったイメージをまず抱いてしまうけれど、萩原さんの関わるイベントは賑わいの中にもぬくもりが感じられ、やっぱりどこか心地よい空間なのだ。
場所づくりに、一貫した思いをもっているのだと気付かされる。
-コーディネーター紹介-
ほがらかな人柄を感じさせる話しぶりの中に、地域を思う気持ちがにじむ。経験がいきづいた思いだからこそ、そこには説得力が宿るのだと思う。ペット業界、子育ての支援、農作物の販売…それぞれ異なる分野でありながら、軸はぶれない。子育て広場もペットサロン・ペットホテルも市内で他にないものだからこそ、要望に応えるかたちで潮来の土地に根を下ろす。これから先のさらなる展開を追いかけることが、そのまま明るい潮来市像を目の当たりにすることにつながるのではないか……そう思わされる。ワクワクしてしまう。