一どんな活動をしていますか?
益子町近隣の方々がつながる地域コミュニティ「ヒジノワ」を、有志で立ち上げ運営しています。日替わりで店主が変わるコミュニティカフェ、展示やワークショップを行うギャラリースペース、陶器市の期間などは農産物や加工品、お菓子、陶器や多彩なジャンルの手仕事作家の作品などを販売するマーケットなどを開催しています。また、古民家を改修した趣のある建物をいかして、不定期でライブや映画上映など登録メンバーが様々なイベントを企画したり、レンタルスペースとして貸し出したりしています。 メンバーが集まるときにはコモンミールと言って料理を持ち寄って、ひとつの食卓を囲みながらお話しすることも定番になっています。
一はじめたきっかけはなんですか?
益子町では2009年に、官民協働で企画から運営までを行うアートイベント「土祭(ひじさい)」が開催されました。土祭は、観光のみに重きを置いたイベントではなく住民にとってあたりまえになっている魅力をブラッシュアップしたり、課題となっている商店街の空き家問題に取り組んだりしていました。ヒジノワの建物は、当時空き家になっていた築100年ほどの民家で、現代アートの展示会場にするために、展示する作家さんや一般住民、県外からのサポートメンバー、役場の職員などがボランティアで改修作業を行い、私も参加していました。 改修作業を行いながら、「土祭が終わった後、この建物はまた空き家にもどるのか?」という話題がたびたび出るようになり、参加者の間では「何かしら関わりたい」という思いが募るようになっていきました。ただ、それぞれが仕事を持っており誰かがリーダーという形で引っ張ったわけでもなく、それぞれの「やりたい」という気持ちだけで集まった人で結成された団体でした。関わるメンバーの業種も様々であり、個性豊かで面白く、新しい環境にわくわくしていました。その反面、不安もあり、規約作りなどを行っていた初めのうちは毎週のように集まっていました。
一一番大切にしていることはなんですか?
ヒジノワは、メンバーがそれぞれのやりたいことを自由に企画できる場所であり、いろいろな形の自己実現がありました。私は器を作る陶芸家であり、料理を自分の器で提供したいという思いから、カフェをやってみたいと考えていました。 カフェはこれまで、飲食店の経験がある方や、陶芸家、自分のカフェをオープンしたい人、既に東京や宇都宮などにお店をもっている人などいろいろなメンバーが出店しています。ここでなかったら出会えなかったであろう人と、つながれる場所です。こういった場は貴重で、益子にはなかったし県外の方からうらやましがられることもあります。 ただし、関わるメンバーは流動的で、運営は安定しておらず、それぞれの仕事や生活の状況次第で、運営に関われる人数も変化していきます。昨年は独立するメンバーが多かったこともあり、関われる人が急に減ってしまい、1年かけて残っているメンバーで知恵を出し合い、運営体制の見直しを行いました。今までも、「やりたい」という気持ちと、メンバーの信頼関係だけを頼りに奇跡的に維持してきた印象もありますが、低空飛行でも長く続けられるようにと思っています。やはり、友人や仕事のつながり以外の人と出会える場は、面白いですから。
一今後の目標を教えてください
益子に移住を考えている人にもヒジノワのことを知ってほしいです。ヒジノワのメンバーは移住してきた人も多いため、なじみやすいと思います。今後も、新しい人も入りやすいオープンなコミュニティであり続けたいです。
アピールポイント
【ヒジノワ】
この日の、ギャラリーコーナーは、衣類や靴などを制作する女性作家のグループによる「ぬのといと」展。春と秋の開催で、毎回好評を博しています。ヒジノワをどう活用するかは、関わる人の数だけ可能性があります。
〒321-4217
栃木県芳賀郡益子町益子1665
TEL 0285-81-7380
http://hijinowa.net/
-コーディネーター紹介-
ヒジノワは私自身も、立ち上げのときから関わってきた団体です。関わる方々が、面白い方ばかりですしそれぞれの夢が実現できる場は貴重だと思います。ヒジノワがなかったら、鈴木稔さんとも出会わなかったかもしれません。この活動がどこまで成長するのか、ずっと見守っていきたいです。