矢板を「稼げるまち」へ

栃木県矢板市

さぬき かおる

佐貫 薫

矢板東高校、東京外国語大学卒業。旅行雑誌の記者・編集者として全国を取材。ベネッセに転職し、マーケティング、メディア戦略をリーダーとして遂行。その後、矢板に戻り市議会議員として活躍。現在3期目に至る。

一どんな活動をされていますか?

幼稚園から高校まで矢板で過ごし、大学から東京へ。36 歳で矢板に戻ってきました。
高校生の頃は一日も早く矢板を出たいと思っていたのですが、大学卒業後、雑誌メディアの記者として全国を回れば回るほど、矢板にはいいところがたくさんあることに気づきました。「その土地ならではの魅力」ってそこにずっといると気づかないし、分からなくなるんですよね。
ただ、休暇や病気の母の看病などで矢板に帰省するたびに、どんどん元気がなくなっているような印象を覚えたんです。高校時代の思い出のお店がなくなっていたり、と。
その後、母が亡くなってしまったのですが、そのことが大きなきっかけになり、母が育った矢板、僕を育ててくれた矢板に恩返しをしたい、会社員時代に培ったマーケティングを活かして矢板の素晴らしいところを売っていきたいと思い、議員になりました。全国を取材していた記者の時も、議員になっても、ずっと思っていることがあります。
市町村の職員が元気なところは街も元気だということを。地方自治体を盛り上げるには、職員の皆さんの頑張りがとても大きいんです。
もどかしいのは、行政は民間と違って右ならえ主義、前例主義という雰囲気もまだまだあるし、法律で決められた業務もあり、さらに予算のこともあり、職員個人のアイデアやパワーだけでどうにもならない部分もある。
議員としての政策提言はもちろんしていきますが、政策を実際に形にしてくださるのは行政の方々。議員一人ではできることが限られていますので、職員の方々が持っているアイデア、パワーを組織化し具現化できるようにサポートしていくのも大事な仕事だと思っています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

街づくりは人づくりです。
自分の政策の軸は、子どもたちへの学校教育とその後の社会教育の充実化なのですが、「今」を重視して考えると、街を元気にする大きな要素はその街の職員の存在がとても大きい。よって直近の課題としては、「市役所で働く人づくり」も必要だと思っています。
まずは、一生懸命頑張っている人を育てる、支える環境、制度、文化づくり。特にソフト事業はやって見ないとわかりません。前例にとらわれず挑戦できる人を応援し、さらに後に続く人が出てくるように人材育成も必要であり、挑戦を奨励する合理性のある制度も必要です。属人的なものを一般化できるように、矢板市役所が「本気で人を育てる」組織にならないとなりません。民間の組織マネージメントのノウハウを入れることもありだと思います。ただ、通常業務でいっぱいいっぱいになっていたら、インプットもできないし、新しいことをしようとするアイデアもパワーも生まれません。
可処分パワー、時間を増やすためにも、やることが目的化している業務の見直し、業務配分の最適化、業務そのもののスピードを上げる工夫など、たくさんのことが必要だと考えています。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

職員の皆さんと住民の方々との本当の意味での協働のまちづくりを進められると思っています。
可処分パワー、時間が増えれば、インプットができる。机上の学びは当然として、住民の方々からニーズを吸い上げ、話し合い、施策に落とし込める時間ができます。IT の活用という観点で言うと、大きく2つでしょうか。住民の方々と市役所との情報交換のためのプラットフォーム作り、行政の業務に関して AI を使った業務フォローや RPA になどによる効率化を進めること。
特に情報交換のプラットフォームがあれば、時間の取りにくい子育て現役世代の方々、さらに学生さんたちからのまちづくりへの意見も随時聞くことができるし、その意見をまちづくりに反映していくことで、まちづくりを行政任せではなく、自分ごととして考える人が増えてくるようにしたいですね。

一今後の目標はなんですか?

目標は高く、大きく 10 年後には「世界の矢板」となれるようにしていきたいですね。
具体的には「子育てするなら矢板、教育なら矢板」というまちづくりです。そのためには、人・もの・お金の経営資源を備えなくてはなりません。企業や大学を誘致し、さらに起業の推進など矢板市を稼げる街にする必要があります。そして、稼ぎ続けるためにも、未来を担う人財育成である学校教育の充実化をしていかなくてはなりません。
学校の教育レベルアップはもちろん、子どもたちに本物との出会いの機会を多く提供し、学ぶ意味を自分で掴み、自分の夢を持ち、その夢を叶えられる力を蓄え、そして世界に羽ばたいていく。矢板で育った子どもたちが色々なジャンルで世界を支えている、世界をリードしている状態になっていたら、と。僕の夢であり目標です。

アピールポイント

これからの矢板を良くしていきたいという想いが伝わってきました。「稼げるまちに」と言うフレーズは心に残りました。よりよい街にする為、地域活性化をどう行っていくかを考えた時に、お金を稼ぐという事の意味を考えていかないといけないなと感じました。稼げるという言葉の意味を皆さんも考えてみて下さい。

-コーディネーター紹介-

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株式会社VSN 地方創生VIメンバー

株式会社VSNのメンバーが、「地方創生VI」という全国の自治体の課題解決を目指すプログラムで、現地で活躍するキーマンの方々を取材しました。