農業は地域とのつながり。次世代につなぐことができる農業を

茨城県鉾田市

かなざわ とおる

金澤 透

JAほこた 園芸部会 研究部長。 鉾田市の農家出身、大学を卒業後、愛知で就職。 営業職を経験し、2011年の東日本大震災を機に鉾田市に戻り親の跡を継いで葉物農家として従事。

一どんな活動をされていますか?

大学を卒業後、愛知にて就職しましたが、2011年3月11日の東日本大震災を機に、鉾田市に戻り親の跡を継いで農業をはじめました。通年通して主にハウスにて小松菜、路地でジャガイモ、ニンジンを生産しています。

跡を継いでから数年間は、親のやり方をまねることで経験を積み、現在はハウス栽培を任されています。そこから自分なりの考えや取り組みを導入し、親の代に栽培していた水菜から小松菜にシフトしており、ハウスも拡大してきています。

農業を始めた時には、手探り状態で何もかもが分からない状態でしたが、JAや農業の先輩でもある親、親の友人などに相談することができる環境だったので、農業について勉強することができました。農業はつながりが大事だと感じることができています。

昨年よりJAからの依頼で一部IT導入を行っており、今まで手帳にメモしていたことがスマホなどで確認できるようになって効率は上がっていると感じています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

サラリーマン時代は土日にお休みすることができたのですが、農業はなかなか休みを取ることができないことですね。8年やっているので、収穫などの調整しながら休みは取るようにしているのですが、自然を相手にする仕事のため生産物(葉物)の成長に合わせて休みをとらないといけないことがあります。

また、海外の研修生として中国人の3名に働いてもらっていますが、3年で帰ってしまいます。現在の鉾田市の農業は研修生がいないと回らないため、今後は今の半分の労力で、倍の生産ができるようにしていくことが課題になってくるかと思います。

あと、親の代の経験や勘をもとにした生産のやり方は、今後は通用しないと考えております。自分の後継者にもそのような伝え方をしていきたいと思いません。そのためにもIT導入に興味は持っていますが、初期導入や導入後の活用の方法などはわからないので、ハードルが高いと感じております。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

ITの導入することで労力の削減や生産量の増加につながれば、休みもとることができるだけでなく、後継者や新規参入者へのハードルも低くなると思います。

鉾田市は農業生産1位なので、さまざまな農作物の経験者が多くおります。私自身も、つながりがあったことで農業を続けてこられました。後継者や新規参入者にも技術を相談しあえるつながりを持つことができればと考えております。

同じような生産をされている方の集まりとしてJAの研究部会があり、そこでの情報交換も行っていますが、個人間での情報交換となっているところがあります。また、商工会などの畑違いの人たちとの交流が少ないので、交流などを行うことで新しいことができる可能性もあるのではないかと考えております。

一今後の目標はなんですか?

農家の生産物は、直接人の口に入るものなので安心安全には十分に気を付けていきたいというのは一番にあります。安定的に継続して出荷していくことが目標ではありますが、生産量の拡大と働き方、休みの取り方などの改善は行っていければと思います。

アピールポイント

震災を機に農業に転職された金澤さん。実家が農家ではあるが、それまでの経験とは異なる業界で初めは大変苦労されたとのことですが、JAや地域の方々とのつながりで今では自身の農業を見つけられているように感じました。
IT導入による効率化などを検討されているようですが、導入へのハードルの高さも感じておりますが、JAなどと連携して導入も進められているようなので、しっかりお休みをとって次世代に農業をつなげていってもらいたいです。

-コーディネーター紹介-

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株式会社VSN 地方創生VIメンバー

株式会社VSNのメンバーが、「地方創生VI」という全国の自治体の課題解決を目指すプログラムで、現地で活躍するキーマンの方々を取材しました。