「うまごや」から生まれる「つながり」を目指して

茨城県鉾田市

さかぐち げんた

坂口 弦太

坂口 弦太さん(36歳)、東京生まれ。 小学生にあがる頃に、父の実家のある鉾田市へ引越し。 高校卒業後は東京のイタリア料理店へ就職し、料理人としての修行を積む。 20歳のころ、送迎バス事業を軌道に乗せるため地元へ戻り「うまごや」を手伝う事に。 現在は店主として活躍中。 尊敬する先輩からのお誘いにより、30歳の時に商工会青年部に参加。

一どんな活動をされていますか?

飲食店「うまごや」を経営しています。定番の居酒屋メニューに加え、ピザやパスタなどのイタリア料理、洋食レストランのような創作料理を提供しています。

お肉屋さんの四男の父、魚屋さんで働く母という環境で育ち、気づけば自分も食料品を扱う仕事を意識するようになっていました。幼いころからお店の手伝いをしながら料理人としての腕を磨いていましたが、知らないことをもっと学びたくて「調理師を目指し進学したい」と両親に打ち明けた所、「いまさら何を学ぶことがあるのか?」と一蹴されて進学を断念しました。

半分納得しないまま、東京のイタリア料理店へ就職した際に、専門学校を出た新卒の未熟さに愕然とし、実学による学びの偉大さを感じました。当時は父の言っている事が理解できませんでしたが、今となっては、実戦の場でその背中からたくさんの事を学んでいたのだと気づく事ができました。

自分は両親とは違った領域である洋食を極めれば、どんな料理だって創作できるようになると思い、洋食の勉強をすると決めました。この経験が今の「うまごや」を支える重要な経験になっています。お客様を飽きさせないことを意識した多種多様なメニュー開発が、継続的な集客に繋がっているのだと思います。

一今やっていることについての課題はなんですか?

飲食業というのは、非常に簡単に開業できる業態なので、多くの人が開店しますが、そうそう長くは続きません。特に人口減少する地域においては、売り方を工夫しない限り生き残れません。

また、鉾田市は地域特有の文化でもありますが、農家の女性がお酒を飲みに行く事を良しとしない雰囲気や、若者のお酒離れ、食文化の変化などへの対応が課題だと思います。これからの時代、女性客の取組みや、お酒離れの若者向けのメニューを開発し、新しく売り上げを生むメニューを開発し続けなければなりません。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

男女問わず、世代を問わず、気軽に集まれる場やコミュニティーを作りたいですね。テクノロジーが進化していますので、SNSなどを活用してリアルタイムで会話する事もできます。

気軽に集まれて、雑談したり、教えてもらったり、意見交換ができる「場」を増やす事ができれば、人と人との「つながり」が生まれ、チャレンジしたいがどうすればいいかわからない、という新規事業参入者にとっても、心強い味方ができると思っています。

私自身もこのような「つながり」を求めて、商工会青年部へ入る事を決めました。商工会に入るきっかけも尊敬する先輩からの誘いという「つながり」がきっかけでした。商工会では、いろいろな事を教えてもらい、おかげさまで、これまで3度の補助金を使い、お店の増改築などに使わせて頂きました。本当に感謝しています。

一今後の目標はなんですか?

鉾田市に無いモノを作っていきたい!という想いがあります。昨年から、オール鉾田の食材を使った「ナンバーガー」など、高校生と一緒になってB級グルメの開発を行っています。

彼らと会話するなかで「将来、帰ってきたい!」と思える地域なのかな?と疑問に思う事があります。食を通して今の鉾田市に無いものを作り、その魅力を感じ、市外で生活していても、「また帰ってきたい!」と思えるような街づくりをしていきたいと思っています。

アピールポイント

坂口さんは、いまでも勉強のため、月に1度は東京へ出向き情報収集をしているそうです。
地域にピザの宅配が少ない、個室が好まれる地域、という情報を仕入れたら即行動に移し、店を個室に改装、クリスマス限定のピザ販売を始めるなど、飽くなき探求心と情熱を持ち合わせた坂口さんだからこそ、常に変化を生み、今も「うまごや」が愛され続ける秘訣なのだと感じました。
「つながり」といえば、フィールドワーク初日の夜の懇親会にて、当初6人だった商工会青年部の参加者は、気づけば12人に増えていました。これも商工会青年部の皆さんの「つながり」がなせる業だと思いました。

-コーディネーター紹介-

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株式会社VSN 地方創生VIメンバー

株式会社VSNのメンバーが、「地方創生VI」という全国の自治体の課題解決を目指すプログラムで、現地で活躍するキーマンの方々を取材しました。