一どんな活動をしていますか?
(農家として)独立してから4年目、いろいろな野菜を少しずつ作る少量多品目農業をやってます。たまに厨ファミリアのゲストシェフとして畑で採れた野菜を使ったオリジナル料理を提供したりもしてます。津和野での農業は、土地が狭くてやりにくかったり、町内で消費される量も少ないため町外に販売しに行ったりと、大変に感じる面もあるね。津和野でやっていくためにやらなきゃいけないこともたくさんあるけど、とりあえずやってみて楽しいと思えることをして生きてます。
一はじめたきっかけはなんですか?
最初は高校生の時にスパイスやハーブをプランターで栽培したことかなぁ。その後、アメリカの大学で4年間、植物学を学んで、一旦は塾の先生になったんよ。でも自分に向いてないって感じたから、仕事をやめて世界中を旅行しようかなって思った。その時にブラジルでファームステイしたんだけど、そこでやっぱり農業楽しいなぁって(笑)。それでその時一緒だった友達が津和野町に移住して農業始めたって聞いたので、僕も津和野に来て農業しようと。定住するってのは大きな決断だったかもしれないけど、仕事をやめて世界中を旅してたから(大きな決断には)慣れちゃってたしね。ほかの人はどこで農業しようとか考えたりすると思うんだけど、そもそも農業やって生きていくことって簡単なことではないからね、「ここでやってく」っていう自分の覚悟さえあれば、場所はどこでも良かった。(津和野は)空気も美味くて、水も美味くて、人も少ないから農業するには向いてたと今では思うよ。
一一番大切にしていることはなんですか?
『有機農業』の『有機』ってどんな意味か知ってる?有機農家さんに教えてもらったんだけど、有機的な人々のつながりがあるから有機農業って言うんよ。有機的なつながりっていうのはただ単に生産者と消費者ではなくて、友達みたいな、お互い顔と顔が見えてて生産者がこういう人なんだっていうのがわかっている感じ。自分の野菜を食べてくれる人と有機的につながったら、自然とそういう農業になるよね。美味しいものを、体にいいものを食べてもらう。ゲストシェフとして料理を出していると、自分の野菜を食べた人の反応がよくわかるよ。
一今後の目標を教えてください
個人のお客さんをつけて毎週配達に行くとかやりたいよね。今回はこんなもの採れましたよ、って直接コミュニケーションとれるのがやっぱり本当の有機農業だと思ってるから。通販で売ってもそういうコミュニケーションはとりにくいし、スーパーに卸すとなるとどうしても価格競争になるからね。今年作った新米も全部、個人に売ったんだけど、僕が作ったものを買いたいってお客さんもいるので、そういう方たちと長い付き合いしていきたいなぁとは思いますね。あとは栗の木を使って手彫りのスプーンとかしゃもじを作ってみたいかな。もともと(創作が)好きってのもあるけど、冬の間に農家としての仕事が少なくなるので、生活の足しにしたいね。最終的には、農業を続けていって、津和野に山田王国を作りたい(笑)。水も食べ物もエネルギーも自給自足してね。王国の建国も楽しいですよ(笑)。
編集後記
山野 奨太 (ヤマノ ショウタ) 21歳
『You、やっちゃいなよ』
―――ニカッと笑う彼の、その豪快で素直な生き様に元気をもらえる人はきっと多いでしょう。知らない土地で自立して生きるには、リスクを負いながらチャレンジし続ける覚悟が大事だと語る山田さんの言葉には、人生を楽しみたいという気概が伝わってきました。IT化に伴う情報過多の時代に受動的になって甘えては、生きていくのは楽でも人生は楽しみきれない、と改めて今後の生き方を考え直す良いきっかけになる出会いでした。