魅力ある安田を守り続けたい

益田市

さわえ ゆうぞう

澤江 佑三

元保健体育教師。地域住民が主体となった地域自治組織「安田地域づくり協議会」の会長を務める。

一どんな活動をしていますか?

まず私が会長を務める「安田地域づくり協議会」は、各地域で行われていた自治会独自の活動を前身として、2016年に発足した組織です。主に経済部・福祉部・環境部の3つの部会に分かれて、地域の課題解決や活性化に向けて日々活動しています。石見津田駅に開業した「パンカフェはあと」や、高齢者のための田畑の草刈りや買い物などの支援を行う「地域お助け隊」の派遣や「安田ええもん市」の開催も、この協議会の活動のうちの1つです。
私は、会長として、活動全体をマネジメントする立場にいるので、この協議会の活動や安田地区が目指すべき方向性に共感してくれる方が増えることを願いながら、日々活動しています。

一はじめたきっかけはなんですか?

私は元々高校の保健体育教師をしていました。退職後、地域の自治会長になり、地域の方と関わる機会が増えていく中で、だんだんと地域の実態が見えてくるようになりました。この安田地区は、約半数の方が他の地域出身者であるにも関わらず、皆さん地域の活動にとても協力的で、住民同士のつながりや絆が深く、とても住みやすく魅力的な地区です。しかし、全国的に見られるような少子高齢化に伴う様々な地域の課題は、この安田地区も例外ではありません。「このままではいけない」「魅力的な安田をこれから先も守っていきたい」という気持ちが、私の中に芽生えてきました。
そんな時、安田地区の自治会長の方々と話し合いをする中で、安田に対して私と同じような思いを抱いている人が多くいることに気が付きました。そこで、地域の事情をよく知っている者同士、安田地区全体として共通の組織の下で、それぞれの地域でバラバラに活動していた自治会が、連携を取りやすくなる仕組みを作ったら、地域の未来を少しでも良くしていけるのではないか、との気運が高まってきました。タイミングよく、2013年頃から益田市の働きかけもあり、2016年に地域自治組織として、「安田地域づくり協議会」を設立し今日に至っております。

  • 前列左から2番目、澤江さん。

一一番大切にしていることはなんですか?

活動をしていく中で、様々な意見をいただきます。1つ1つの意見に対して、どうしてそのような意見が出てくるのかをしっかりと考えて、それを真摯に受け止める姿勢が大切だと思っています。そうすることで、たとえ反対意見を頂いても、地域や協議会のあり方を見直すきっかけになると思っています。
また私は、教師として生徒と関わってきた経緯もあり、何事も目標を持って活動していくことが、とても大切だと考えています。協議会での活動も同じことが言えると思います。安田を元気にしたい!という目標に向かって皆さんが目的意識を持って活動していくことが大切です。私は、その旗振り役として、積極的に行動に起こしていきたいと考えています。

一今後の目標を教えてください

安田を活性化したいという気持ちで長年活動を続けてきましたが、一つの成果として、「パンカフェはあと」や「地域お助け隊」、「安田村ええもん市」のように、地域に少なからず変化が生まれてきていると思います。今後は、活動の成果や変化をわかりやすく伝えていくことで、活動に共感してくれる人や「安田に住んでいてよかった」と思ってくれる人を増やしていきたいと考えています。
また、協議会として、地域で活動がしやすい仕組みづくりをしていますが、なかなか活動するプレイヤーがいないことが課題です。安田地区には地域に協力的で、良い意見やアイデアを持っている人がたくさんいます。実際に、たくさん取れた野菜や魚介類を駅前のパンカフェはあとで販売してみたら、大反響ですぐに売り切れになった、なんて人たちもいます。こうした個々の小さな働きかけやアイデアがどんどん実現されていく地域になったら、安田はもっと面白くなる。そんな地域を目指していきたいです。

編集後記

2018.12,02 上野 薫 (うえの かおる) 21歳
澤江さんの安田地区に対する責任感や、思いが強く伝わって来るインタビューでした。澤江さんのおっしゃっていた、地域住民の中に良い考えやアイデアがあるにも関わらず、一歩踏み出せないという課題は、安田地区に限らずどの地域でも問題になりうるのではないでしょうか。
なかなか言い出せずに埋もれてしまう地域住民のふわっとした理想やアイデアをスポンジのように吸い上げて言語化し、安田地域づくり協議会のような地域の活動を支援する自治組織とをつないでマッチングする役割、コーディネーターのような存在が、今後必要になってくるのではないかと感じました。

-コーディネーター紹介-

島根県

だいがくせいらいたー

大学生ライター