働きながら学び続ける若者の鏡

島根県津和野町

くろやなぎともひろ

畔柳知宏

神奈川県出身。元津和野の地域おこし協力隊員。「ジミクロ」の創業者であり、東京工業大学修士課程を終え、現在は東京工業大学建築学系博士課程に所属している現役大学院生でもある。

一どんな活動をしていますか?

主に、空き家の清掃、活用、企画をしています。空き家に定期的に掃除に行ったり、空き家の状況を持ち主さんに報告したりしています。実際に今現在管理しているのは3、4件ですね。その中の一軒は来年にゲストハウスとしてオープン予定です。また、事務所の3階部分を貸しスペースとして貸し出してもいます。

一はじめたきっかけはなんですか?

地域おこし協力隊員だった当時、私は東京工科大学工業学部建築学科に通う4年生でした。祖父が木工をやっていたこともあって、建築にはもともと興味を持っていました。初めはデベロッパーになることを目指していて、修士課程に進むことが決まっていました。その頃にたまたまSNSでこの津和野町の地域おこし協力隊員募集というツイートを見つけました。それが学生でもいいというところと、好きなことをなんでもやっていいというところがいいなあと思いました。所属していた学部で、建築デザインの勉強をしていたので、自分で空き家などを改装できたら楽しいだろうなと思ったのと、大学で勉強していた時、建築デザインをするには実際に法律問題や景色の問題、地域の歴史、地域の人々の気持ちとかを考えることがたくさんあるから、デザインをするならそれだけではダメだと思って、デザインを作るためのデザインをしたいなあと思っていました。それには実際に住んでみたいなと思って、ここ津和野に来ました。津和野町の地域おこし協力隊員第1期生として1年間住み、一旦帰り、修士課程を終え、就職などをしたのち、津和野にまた戻りました。ここで建築デザインをやっていくにはさらにいろいろなことを学ばなくてはいけない、そして最終的には法律を変えられたらいいな!と思い、博士課程に進もうと決め、それと並行して今はこの仕事をやっています。

一一番大切にしていることはなんですか?

まず、その家を建ててくれた人に感謝すること。そして仕事をしていく中で家具や物をくれたり、気にかけてくれたりする地域の人々に感謝をすること。お世話になっている人々に恩返しをしていけるように家の前を綺麗にしたり、掃除をしたり、雪かきをしたり徹底することですね。ずっと空き家だったところにまた住んでくれて、使ってくれて嬉しい!と言ってもらえるようにすることです。

一今後の目標を教えてください

今あるこの重要伝統的建造物群保存地区を受け継いでいくかを考えていくのと同時に、現在は実家から大学に通っているので、将来的には津和野町で暮らしていけるくらい経済的に自立したいですね。今、管理して貸している建物をもっと増やしたいです。管理している空き家が4件くらいあれば一人で暮らしていけるかもしれないと思っています。次に人を雇うことですね。そしてさらに違うことを始めたいです。それと並行して大学の教授を目指したいです。法律を変えられそうだから!それも、大学の教授になれば自分ができることが広がるから。だけど、教える時に、「こうしろ!」とは言いたくない。新しい考えを否定したくないです。
SNSや広告を使った情報発信は後の人に任せる。観光ツアーとか、移住者へのツアーなどを考えてもらいたい。
大学院の卒論のテーマは持続的に重要伝統的建造物群保存地区を残していく方法か、後継者育成の実験に関することを考えています。

編集後記

井原 愛永 (いはら まなえ) 21歳
「ジミクロ」を経営しながら、博士課程に所属しているという畔柳さんには新鮮さを覚えました。また、「新しい考え方を否定したくない」というコメントに感動し、自ら学ぶことをやめない姿に感銘を受けました。津和野町を思い、探究心を燃やすその姿はこれからの私たち、若者の鏡なのではないかと思います。

-コーディネーター紹介-

島根県

だいがくせいらいたー

大学生ライター