矢祭を長年見てきたベテラン先生

福島県矢祭町

さとう まこと

佐藤 誠

福島県塙町出身。 小学校教員になって以降、東白川郡内でずっと勤めている。

一どんな活動をしていますか?

生まれも育ちも東白川郡の塙町で、非常にレアケースではあるんですが、ずっと地元で教員をやっております。ずっと地元を見ているので、教員生活の中で出会った子達が中核都市である郡山や白河に家を建てて、親を連れて行って、家が空き地になる、といった光景も見てきました。私の同級生でも十数名教員がいましたが、今郡内にいるのは私だけになってしまいましたね。でも、私みたいな教員がいても良いかなと思っています。地元を知っていて、地元のことを還元できる教員が1人2人いても、子どもたちのためになるのかな、と思っております。

というのも、35年前くらいに出生率が下がり始めて、かつ、教育現場の人手も足りなくなっていた時もなんとかして東白川でも生きていける子ども達を育ててあげたいなと思ったんです。そう思えたのは、過去に荒れている学校で教員をした際に、どんなに生徒達が荒れていても他の先生方が教育の匙を投げていない、生徒たちに向き合って頑張っていた姿に感銘をうけたからですね。

一今やっていることについての課題はなんですか?

集団生活が上手くできないってことですかね。集団の中で育まれる素養ってあると思うのですが、今の学校ではそれが上手く機能していないかな、と感じております。あとは、事務処理をはじめとする、学校教員の働き方が時代遅れになっていると感じます。というのも、昔は教員同士で放課後バレーボールを楽しんだりできていたのが、今は指導内容がかなり多いので、そういった時間もなくなってしまっています。そこに加えて、放課後に音楽や部活、本業以外での文章処理や、保護者の方や、生徒への個別対応があると、かなり大変だと思います。

そこに対して、ITを駆使して業務効率化しようという流れはありますが、リモート授業だ、パソコンを買うんだ、といった手段や物を買うだけになってしまうのではないかと危惧しております。子どもの学びに直結するようなITの活用を考えていきたいですね。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

教員の事務の簡素化や、へき地教育などにも役立てられるのではないかと思います。先ほど申し上げた先生方の業務を、少しでもITの活用で軽くしてあげたり、矢祭町でのへき地教育に役立てることで、パワーポイントを作って子ども達が矢祭を調べて発表したり、ホームページを作って学校外に発信してみたり等々、できると思います。

でも、最初から完璧にはできないと思うので、初めはデジタルとアナログを織り交ぜたような使い方で良いと思っています。

一今後の目標を教えてください

矢祭から出る、矢祭に戻るといった小さい話ではなく、矢祭小学校で子ども達が本当に深い学びをして、どこの地域に行ったとしても、その地域に貢献できるような子に育ってほしい。そういう風に育てていきたいなと思っております。もちろん、矢祭に戻ってきて働いてくれることも嬉しいですけどね。

そして、我々教員が学んできたこと経験したことを上手く子どもたちに伝えていくことで、キャリア教育といったことも実現していきたいと思っております。

編集後記

東白川で長年先生として活動している佐藤先生。
生徒の子どもの代まで教育しているというベテラン先生で、地元で先生をするという熱い思いを感じました。インタビューの中でも地元の先生だからこそ子どもたちに伝えられること、教えられることはないかと考え、試行錯誤されているというお話もいただきました。
また、佐藤先生は教員として働くことを趣味だとおっしゃっていました。
それほどに教育というものを考え、真剣に取り組んできたのだと、過去に経験した荒れている学校のエピソードや、そこで生まれた覚悟や思いをお聞きした中で、感じました。
佐藤先生、貴重なお話しをありがとうございました。

-コーディネーター紹介-

ID 福島県矢祭町

おおくら けいすけ

大倉 佳祐

2017年 東北インフォメーションシステムズ 入社。
2019年 株式会社VSN 入社。
本活動(地方創生VI)の主管部署である未来創造グループに在籍。
エンジニア採用に関する新しい仕組みを創出する活動に従事。