一どんな活動をしていますか?
今年の3月までは主人と2人で飲食店をやっておりました。コロナの影響で4月から3ヶ月くらい休業し、7月に再開したのですが、ちょうどその時期に同じ敷地内で鮮魚店を営んでいた主人の両親が身体を壊してしまい、そちらも引き継ぐこととなりました。現在は飲食店を違う形態にして、鮮魚店:7、飲食店:3の比率で営業しています。
結婚した当時「子育てにちゃんと向き合いたい」という思いがあり専業主婦に憧れていました。結婚して1年後には飲食店をスタートさせたということもあり、なかなか子どもと一緒に過ごすこともできませんでした。飲食店を休業している期間、私がご飯を作って家族皆で食事をするという、今までできなかったことができるようになりました。
コロナ禍で飲食店は休業していたものの、鮮魚店で飲食店としてのテイクアウト、料理の予約販売を続けていました。各家庭、家で食事をする機会が増えたことで、需要もあり、商売的にも新たな可能性もあるのでは……ということを見いだせました。
一今やっていることについての課題はなんですか?
矢祭町では、小学2年生の町探検、小学6年生・中学2年生の職場体験があり、依頼があれば受け入れています。先生方は何年かで異動があるため入れ替わり、町のことをよく知らない方もいらっしゃるのが現状です。お母さん方は、普段から地域の商店を利用されている方もいらっしゃいますが、お仕事などで普段忙しくされている方も多く、買い物はスーパー、ドラッグストアで済まされる方もいらっしゃいます。暮らしていても地域にどんな商店があるのか知らない方もいらっしゃるのが現状です。
そこで当店では、町探検や職場体験でお子さんが来られる際には「全力」で受け入れています。1日の中でほんの数分間だけ立ち寄った風景とならないよう、並んだ魚を見せるだけではなく、鰹とか大きな魚を実際に持つなどの体験を取り入れ、店を訪れた経験が記憶に残るような工夫をしています。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
LINEの公式アカウントで、その日店に並ぶ商品の情報発信をしています。10年前から飲食店のメールマガジンはやっていたのですが、メールマガジンは、お客さんにそのページをわざわざ見てもらわなければなりませんでした。そういった意味ではLINEは日々配信したものがちょっとした時間で見てもらえるというのはメリットですね。
この辺りだと、車で動くことがほとんどです。そのため車を停め店に入る必要があるし、中に「今日は欲しいものがないな…」と思っても、個人商店だと何も買わずに出るのも気が引けるし、店側も「わざわざ来てもらったのに申し訳ないなぁ…」という状況も起こり得ます。LINEだとお客様にとっても、店側にとってもそんな煩わしさがなく、やり取りしやすいということもあります。
LINEを使ってくれているメインは60代・70代のお母さん世代ですが、男性や20代の若い世代も使ってくれています。来店した際にQRコードを読んでもらう来店ポイントを設定していて、ポイントが貯まると50円のキャッシュバックをしています。高齢の方も使っていくなかでLINEに慣れてくれていますよ。
SNSの活用に関しては、町内でうちの店以外に数店舗やっているところはあるのですが、情報発信することだけが目的になっていると、すぐに成果が目に見えないということがあり、悩まれている方もいます。
一今後の目標を教えてください
GIGAスクール構想が始まりますが、子どもさん、学校の先生だけでなく、地域を巻き込んだ取り組みになればいいと考えています。学校でできること、行政でできること、地域の商店でできること。これらがうまく連携できると、より地域が活性化するのではないかと思います。
地域の活性化には「あれがない」、「これがない」という発想ではなく、他にはない「いいところを見つけること、まずはやってみること」が大切だと思っています。わりと身近で今まで活用していなかったLINEを活用することもそうですが、新しいことにどんどん挑戦していきたいですね。
私自身は「特別」じゃないかもしれないけど、凄いスーパーマンみたいなカリスマが現れることを待ち続けたり、バックネット裏で絶対ボールが当たらないところで「あのボールはダメなんだ」と言ったりしている側ではなく、ボールボーイでもいいからフィールドに立っていたいんです。震災もありましたし、リーマンショックも多少なりとも影響がありました。そんな時、待っていても誰も店を助けてくれないですよね。
これからは誰かが何かをやるのを待っているのではなく、たとえ誰も何もしてくれないとなったとしても、自分が道を切り開いていくという思いを持ち続けたいです。そうすることで必ず仲間と繋がれるのではないかなと。ひとりだけが頑張るのではなく、皆で束になって頑張っていきたいと思っています。
編集後記
いち個人店の女将としてだけではなく、地域のまちづくりまで視野に、自分にできることを模索。挑戦することを恐れず、何事も前向きに取り組まれている丸山さん。インタビューをさせていただき、とってもパワーをいただきました。
一度お会いしただけですが、すっかり丸山さんのファンになっている筆者は、LINEの公式アカウントをフォローし、配信されるお店の情報、メッセージを日々楽しみにしています。