天龍村のファンから村民へ。そして、新たなファン作りへ。

長野県天龍村

ないとう ゆか / むらさわ ははな

内藤 有香 / 村澤 葉花

・内藤 有香さん(右)
2013年に地域おこし協力隊として天龍村で農業を開始。結婚を機に協力隊の任期を終え、同じ時期に協力隊にやっていた村澤さんたちとツメモガキを設立。現在はNPO法人「ツメモガキ」にて村のPR活動などを実施中。
・村澤 葉花さん(左)
大学の授業をキッカケに天龍村を知り、大学4年生から地域おこし協力隊に参画。ゲストハウス「満月屋」の営業をやりながらNPO法人「ツメモガキ」として活動中。

一どんな活動をしていますか?

2年程前に特定非営利活動法人「ツメモガキ」を設立し、活動しています。地元の物を使ったお菓子を作って販売したり、“中井侍銘茶“というブランド化したお茶の販売をしています。今年はコロナの影響で中止になっちゃいましたが、お茶摘みツアーや芋フェスなどの企画もしています。昨年は100名ほどの方が参加してくれて、中には東京から来てくれる人もいました。毎年ICUの学生も来て、とても楽しんでいってくれます。

今は柚餅子作りにチャレンジしています。地域の伝統食で“武士の携帯食”とも言われているもので、柚子の中身をくり抜いて、皮の中に甘味噌、クルミ、小麦を入れて蒸かして3ヵ月揉みながら乾燥させます。村のおばあちゃんから作り方を教わってやっていますが、柚子の肌が汚いと固くなってしまったり、味噌がたくさん詰まってないと形が悪かったりするのでなかなか難しいです。

一今やっていることについての課題はなんですか?

情報発信が苦手で、欲しがっている層に情報を届けられていないと感じています。敬老の日ギフトを作って柚餅子とお茶のセットを売り出してみたが注文がありませんでした。他にも、柚餅子作りツアーを企画してみたのですが、60歳くらいの層がほとんどで若い層の参加がなかったです。

“学ぶ”ことを求めている人がたくさんいますが、村内だけだと刺激が少ないのが正直なところです。大人の寺子屋みたいな地域の学校があるといいのかなって思っています。天龍村に人を招いて講演会や竹細工講座みたいなことが出来たら面白いと思っています。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

地域の特性として、学校が少人数なので個々人に合わせた教育ができると思っています。村の達人に会いに行ったり、柚餅子や大豆を作る授業もあって今でも素晴らしいのですが、もっともっとその子らしい、伸び伸びした教育やICTなど色々と組み合わせ、子どもたちがより楽しめる学校になれたらいいなと思います。また、地域として関わっていける学校になれるといいなと話しています。他にも“土日山保育”のような子どもたちが天龍村の自然の中で遊べる体験を増やしていきたいと思っています。

一今後の目標を教えてください

「自分たちがもっと楽しく暮らしたい」「外の人にも知ってもらってファンになってもらいたい」です。村唯一の中学校がハザードマップにかかってしまっていて、小学校の位置に移設する話があります。併設型や、一貫校として9年間通してカリキュラムを作るやり方もあると思います。「子どもたちにどう育っていってほしいかを考えて反映できたらいいね」という話をしています。

天龍村は住んでみれば地域としての連携やサポートが充実していることが良くわかるのですが入り口のハードルが高いと思います。入口で二の足を踏んでしまうと他の地域に移ってしまうので、受入のサポートをツメモガキでやっていきたいです。

編集後記

天龍村の未来を背負って立つ子どもたちを交えた楽しい取材でした。取材を通して、本当に天龍村の事が好きで、いろんな人に知ってもらいたいという思いの強さが伝わってきました。地域おこし協力隊だけでは難しい、移住者の受入強化や村の伝統を紡いでいく活動の大切さと難しさを改めて痛感しました。

-コーディネーター紹介-

ID 長野県天龍村

もろい だいすけ

諸井 大輔

2014年 株式会社VSNに入社。以降ITエンジニアとして通信キャリアの業務に従事
2019年 社内認定資格である「VI Professional」を取得。
2020年 通信事業部に派遣エンジニアとして在籍。地方の課題解決に興味をもち、本活動へ参加。