一どんな活動をしていますか?
天龍村の特産品である柚子やお茶を使った加工品の販売をしています。元々は天龍農林業公社としてやっていた事業ですが、商いの部分だけ独立して「ゆずすけ」ができました。商品開発は全て村の中にあるもので、ヒット商品の柚子胡椒や柚子マーマレードなんかは、家庭で作っていたものを商品化しました。長野県の中で柚子、お茶はここにしかありません。長野県のリーディングカンパニーであることを推していこうとしています。
一今やっていることについての課題はなんですか?
柚子の調達コストが課題です。実は天龍村で柚子を畑でちゃんと育てている人は2、3軒くらいしかなくて、ほとんどは家の庭先にある柚子を会社の人が回って確保しています。高齢者が多いので、柚子がなっても取れなくなってきます。柚子が取れなくなると、商売ができなくなるだけでなく村がなくなるということにもなります。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
小さくても地域で“持続”させていきたいです。原料の調達がそこまでできないので、No.1企業になろうとは思っていません。外国から低コストで輸入して大量生産している企業もありますが、うちがそんなことをやっても意味がないし、アイデンティティがなくなってしまいます。地域と一緒に成長していけたら一番いいなと思っています。
一今後の目標を教えてください
小さな東京になる必要はないと思っていて。どういう在り方が望ましいかでいえば、ある意味今のままだと思っています。ただ、暮らしの価値観をあげていき、充実した暮らしを村の人みんなができたらそれが一番良いと思います。
コンビニがあれば便利ですが、コンビニがあると天龍村で充実した暮らしができるかでいうとそうではないのではないでしょうか。アイデンティティを作り上げられる環境があれば良くて、そういったものは文化的に与えられるべきものではなく、本を読んだり、触れたりして培うものなので、そうした場を提供していくことが役目だと思っています。
編集後記
柚子の香りに包まれた素敵な場所での取材でした。天龍村の長所と短所をしっかりと理解した上で、何ができるのか、どうしていくのがよいのかを考え、実践されていると感じました。家庭の庭先に成る柚子を収穫し、加工して、販売する。大手企業にはない、天龍村ならではのストーリーを発信することでアイデンティティを残しながらも持続していく事業になると強く感じました。