自分たちの地域は、自分たちの手で造る

福島県矢祭町

かたの けいじん

片野 惠仁

福島県矢祭町出身。1953年生まれ。矢祭町役場に42年間勤め、定年後に様々な地域おこしの活動に取り組む。里山再生プロジェクトや、在来種のこんにゃくを存続させるために一畝一大プロジェクトを立ち上げ、手作りこんにゃくの講習会なども行っている。

一どんな活動をしていますか?

自分が住んでいる金沢地区の里山づくりを行っています。
地区の住民18軒とボランティアとで、手入れ不足などにより荒廃していた森林を里山「来る里の杜」として再生しました。行政に頼るだけではなく、「自分たちの地域は、自分たちの手で造る」をキャッチコピーにして、重機などの資格も取り、針葉樹を伐採してさまざまな種類の花木を新たに植樹、切り出した木材などを使って遊歩道や四阿を整備するなど、出来る範囲は自分たちで行いました。現在もみんなに楽しんでもらえるよう維持管理をしています。
再生後は、植樹祭や自然観察会、散策イベント、子供たちを集めてキャンプや川で魚のつかみ取りなど、自然とふれ合う取り組みもしています。

一はじめたきっかけはなんですか?

地区の新年会で意見を出して話したのがきっかけです。
定年後は自分のやりたいことをやりたいと考えていました。役場に勤めることで一般的にいう社会貢献が終わり、次は地域の中で自分ができること、地域おこしを考えていて、それを新年会で話したところ、みんながやろうやろうと賛同し、話がまとまって金沢地区の里山再生プロジェクトが始まりました。
以前この地域は本当に暗かったんです。生い茂った樹木のせいで視界が狭かったし、冬場は日が当たらない。雪が降ったら日陰のせいで道路の雪が解けず、通行するのに危険な状態が続いていました。だけど、再生後は地域が明るくなり、みんなが喜んでくれました。

  • 『来る里の杜』の愛称は公募で決定。「ふる里に帰って来たら、ここに来たくなるように愛される場所」という想いが込められている。

  • 気軽に散策することができ、四季折々の自然が楽しめる。

一一番大切にしていることはなんですか?

地域の人たちとのコミュニケーションです。
こういう地域だと、親戚よりも親密な付き合いをしながら一緒にやっているから、やはり地域の人たちとの関わりは、今後も大切にしていきたいと思っています。

一今後の目標を教えてください

里山の維持管理もしていかなければならないし、少し離れた場所に遊歩道や探鳥路があるんだけど、それにつなげる計画も進行しているところです。まずは10年やることが目標ですね。とりあえず10年やればカタチにはなるから。
あとは自分へのご褒美として、山登りやスキーとか本当に好きなことをやりたい。
日本百名山踏破を達成したので、その報告会もやろうと考えています。写真や登山道具を見せたりして、それをきっかけに子供たちがアウトドアに対して興味を持ってくれればと思っています。

アピールポイント

かつて矢祭町はこんにゃくの里でした。こんにゃくで生計を立てているところが多く、各家庭の食卓に自家製のこんにゃく料理が並んでいたそうです。現在は全国的に改良品種が多く出回っていますが、練りが強く、香りがよい在来種のこんにゃくを存続させるための一畝一大プロジェクトも進行しています。手軽なプランターを使ったこんにゃく芋栽培の普及や、こんにゃく文化の継承に向けても活動中です。

-コーディネーター紹介-

ID 矢祭町

こんどうあきこ

近藤秋子

埼玉県松伏町出身。1988年生まれ。前職は鉄道会社職員。趣味は旅行。2020年6月より矢祭町の地域おこし協力隊として、地域内外の人々が交流できるゲストハウスの立ち上げに向けて活動中。