欲しかったものは、『自然がすぐそこにある、そんな毎日』

長野県筑北村

ヤマモト マユ

山本 繭

埼玉県蓮田市生まれ。大学ではスポーツ健康を専攻。卒業後は保育士資格を取得して保育園に勤務。その後小学校の特別支援学級の担任を務める。2013年、理想の暮らしを実現するために筑北村へ移住。地域おこし協力隊として1年半働き、現在一児の母。

一どんな活動をしていますか?

 筑北村に協力隊として働いていた頃は、主に「拠点づくり」に力を入れていました。当時の村長が「里の駅プロジェクト」という構想を掲げていて、それは旧三村(※1)それぞれの地域に住民同士の交流拠点をつくる、というものでした。私は住んでいる坂北地域が担当だったので、『坂北みらい宿』という名前で、住民の皆さんと活動を始めました。結局その「里の駅プロジェクト」は実現しなかったのですが、終わった後も有志で集まっていきたいということで、現在も意欲のある方たちが、ラベンダーを栽培してグッズを作ったり、キムチを漬ける会を開いたり、お蕎麦を打ったりと積極的に活動をされています。
 印象に残ったのは、村の施設の一室を借りて、誰でも寄れるお茶会を開いたことです。すると毎回近くの村営住宅に住んでいるおばあちゃんが楽しみに来てくれて、すごく嬉しかったです。他にも、用事のついでに寄っていく人など、色々な人が来てくれました。そこで出る話って、結構村の事が多かったです。皆さんやっぱり想いがあるのだなと感じました。

(※1)・・・2005年に坂井村、坂北村、本城村が合併して今の筑北村になった

一はじめたきっかけはなんですか?

 一人旅をしているときに安曇野市で泊まった宿が、私にとってすごく大きなきっかけとなりました。そこでの素朴な田舎体験が、私に「自然に沿った暮らしをしたい」と思わせてくれたのだと思います。元々、小さい頃から田舎暮らしに憧れていました。いつも土に触れることが出来て、川がすぐそこを流れ、そして見渡せば遠くの山々。そんな生活を夢見て、より山奥の新天地を探していたら、ちょうど地元の情報誌に筑北村の協力隊の募集欄を見つけました。「協力隊ってなんだろう」と思い、実際に訪れてみたら最高の景色で、「あ、ここで暮らしたい」と直感で思いました。そして、内容をあまり把握しないまま、深く考えずに協力隊に応募しました(笑)。
 結果的にその仕事内容は私がやってみたいことでもあったので、本当に導かれてきた感じがします。正直仕事云々よりも、私の描いている暮らしがここなら実現できると思いました。筑北村の夜は外灯がほとんど無く、真っ暗闇ですが、満天の星空が広がっていて今でも感激しています。

  • 家の敷地内に小さな畑がありました。玉ねぎの苗を観察する親子の写真です。

  • 「繭」というご自身の名前を縁に感じて、協力隊時代から天蚕の勉強をされていたそうです。天蚕が作る繭は、緑色をしていてとてもキレイでした。

一一番大切にしていることはなんですか?

 自分たちが楽しいと思えることが一番大事だと思います。『坂北みらい宿』においても、メンバーを頑張って増やそうというよりは、集まっているメンバーが本当に楽しんでいるから、長続きしているのだと思います。そして「興味がある事はまずやってみること」、やってみて方向転換しながら、色々見えてくるものがあります。
 暮らしにおいては、私は太陽を浴びて土に触れているだけで幸せを感じます。子どもと畑で採れたての野菜を食べたり、いつも自然を身近に感じています。母親として家事に没頭するよりも、自分の暮らしを子どもと一緒に大切にしていきたいです。また、子育てをするにも、この筑北村は最高の環境です。ご近所の方には本当に良くしていただいています。玄関に野菜やおかずが届いていることもあれば、子どもと散歩をしていると必ず声をかけてくれたり、子どもが泣いているとお子守りにきてくれたり、そういう温かさがこの刈谷沢(繭さんが住む集落)にはあります。
 集落全体がひとつの家族のようです。息子のことを、地域の人に「刈谷沢の宝だね」って言ってもらえたのは、本当にうれしかったです。

一今後の目標を教えてください

 実は、農家民宿をしたいとずっと思っていました。今すぐではないですが、しっかりと想いを描いていき、人に話しながら分かち合って、応援をしてもらえるように頑張りたいです。寄り集まった人が得意なことを活かし合えるような、『人の心を照らす宿』をつくりたいです。
 ここで暮らして、気づかせてもらったことが沢山あるので、これからは自信をもってやっていきたいです。

アピールポイント

「子育てをするには最高の場所」とインタビューでおっしゃっていました。土に触れてのびのびとたくましく育っていく息子さんは、とても贅沢な場所にいるのではないかと思いました。みなさん子育てするなら筑北村においでやす!

-コーディネーター紹介-

筑北村地域おこし協力隊 青木陽太郎

ID183 長野県筑北村

ちくほくむらちいきおこしきょうりょくたい

筑北村地域おこし協力隊

筑北村地域おこし協力隊