真壁土を使い、金色に輝く焼き物を作る陶芸家

茨城県桜川市 真壁

けづか さくじろう

毛塚作次郎

栃木県佐野市出身 1976年 桜川市に移住 1990年代 焼き物の産地を巡る 2004年 伊勢克己氏に師事

一どんな活動をしていますか?

高温と強い還元焼成で、真壁土の特徴でもある鉄分を複雑に窯変発色させる独特の「真壁焼」を益子の工房で作っています。

一はじめたきっかけはなんですか?

小さい頃は刀鍛冶に憧れていました。大工だった祖父の影響もあって、物をつくる事が好きでした。
1990年代は仕事で日本各地へ出張に行く仕事が多かったため、そのまま、九谷、越前、備前などの焼き物の故郷をよく訪れるようになりました。そして当然のように焼き物に強く引き込まれてしまいます。
益子は自宅から近かったので、陶器市があるとほとんど通っていて、丹波立杭の名工、初代市野信水氏の弟子である伊勢克己氏と1990年代年に益子で出会いました。丹波の強還元焼成の作品に触れ、すぐに伊勢克己氏の作品魅了され、陶器市の度に会いに行くようになりました。それから弟子にと懇願したのですが、認めてもらえるまでに約5年かかりました。あえて弟子となったのは2000年代になってからのことでした。
師事してからは仕事と両立させて作陶に励んでいました。


  • 手びねりでの成型を終え、外で乾燥させているところ。
    真壁土は鉄分が多く含まれているのが特徴。

  • 真壁土を使った焼き物の試行錯誤は足かけ15年かかっている。失敗とデータ収集を繰り返し、少しづつ精度を上げている。はじめの6年間は失敗ばかりでした。
    これらはどれも同じ原料を使っていて、焼き方で窯変の出方が異なるので、それがとても難解ですが面白いです。

一一番大切にしていることはなんですか?

こだわりは、使いやすさを一番に考えて作っています。
ぐい飲みはどういった形状であれば美味しいお酒が飲めるか、マグカップはどう工夫すれば持ちやすく感じるか、などを道具としての使いやすさを常に意識しています。

釉薬(長石釉)の濃度、窯全体の温度管理、そして還元(酸素濃度を極限まで下げる)の三要素とその日の気温や湿度で結果が決まってしまうので、安定した窯変を出すのが非常に困難なことも事実です。要するに、同じ発色は二度と出ないということなのです。
現在は一回の窯で窯変の出た作品は5から6割そして本当に納得できる作品は約1割程度です。それでも、最初の頃の全滅から比べれば、緻密なデータ収集を取り続け、繰り返し試し焼きで、少しづつ成功する確率を上げてきた事が功を奏しているのです。

一今後の目標を教えてください

まずは1・・・3年を目途に「真壁焼」を定着させることが目標です。

そして、2・・・やりたい人を探して、すべてデータと共にこの素晴らしい強度の土を焼く、窯変陶器を繋いで欲しいと思っています。

そして、3・・・小さな規模でいいので、真壁土を使った陶器市を真壁で開催したいです。

アピールポイント

電動ろくろは一切使わず、手びねり成型にこだわっています。なので同じ形の作品はひとつもありません。

-コーディネーター紹介-

細かいグラフやデータを記録するのは、前にされていたお仕事の影響だと聞き納得しました。
たくさん勉強させてもらいました。真似からはじめようと思います。

2019年9月3日

ID 茨城県桜川市

はぎわら りく

萩原陸

2019年3月に武蔵野美術大学を卒業。
4月から桜川市の地域おこし協力隊として移住。