本物の味を伝えたい

高知県土佐市

たけうち たいち

竹内 太一

土佐市宇佐町出身。大学入学を機に上京し、企業で7年間勤務したのち宇佐にUターン。現在は竹内商店の三代目として鰹節の製造を行っている。

一どんな活動をしていますか?

昔ながらの伝統製法を守り、鰹節を製造しています。
高知県のお土産として有名な「かつお生節」のほかに、完成までに半年の手間ひまをかける最高級品である「本枯節」の製造・アピールに力を入れています。2012年には4年に一度開催される全国鰹節類品評会で、弊社の本枯節が最高賞の農林水産大臣賞を受賞しました!
鰹節の普及活動をすることで土佐市宇佐の知名度が上がり、高知県土佐市の知名度も上がっていく。その結果、土佐市全体、高知県全体の産業が盛り上がったらいいかなって思っています。あわよくば、伝統文化の復活っちゅう意味で一家に一台削り器がある時代が戻ったらいいなと考えています。そのためにも、新商品の開発や外国人労働者の雇用など新しいことにも積極的に挑戦して、高知の鰹節のおいしさを多くの人に伝えるべく活動しています。

一はじめたきっかけはなんですか?

大企業を辞めてまで高知に帰った理由ははっきりとした答えは言えんくて、三代目やし長男やし、子供を育てるなら田舎がええなあと思ったりだとか。小さい時から鰹節に慣れ親しんじょったき、みんなにも本物の味を食べてほしいなって。そんな当たり障りのないことをずっと言ってきたんですけど、それじゃいかんなと思って理由を肉付けしていったんです。今、竹内商店は72年目なので、あと28年、僕が62歳になる時に100年のアニバーサリーを迎えれるんでこれに挑戦しようかなってのが一つ。子供を育てるなら田舎がいいっていうのは、家族とか従業員さんを守らなくちゃいけないっていうこと。
最後はこれが一番難しいんですけど、本当の味を伝えるっていうこと。若いうちから味の幅を広げておいた方が絶対いいと思っていて。だしを取ったとしても、かつおだしって淡白なので薄いんですよ。けど、薄いんじゃなくて自分で味を探しに行ってほしいというか。今の調味料は味が主張してくるんですけど、そうじゃなくて自分が主体で味を感じてほしい。
今となっては、はじめた理由が目標となってこの3つの柱で事業をやっています。

一一番大切にしていることはなんですか?

わからないことは突き詰めたいタイプなので、自分の知識にないものを探すみたいな感覚ですべて調べるようにはしていますね。ここまでやっぱり父親が作り上げてきたものがあるので羨ましいって言われることはありますけど、だからといって同じことをするのではなくて、やっている間に改良できることは改良したいなって気持ちでやっています。
親父の持っているノウハウだとか学べることはまだまだあるはずなので、色々教わりながら自分なりのやり方も見つけて、竹内商店としていい方向に向かえたらいいなと思っています。

一今後の目標を教えてください

今はもう売上維持。今の規模で継続させていくことが第一の目標。その上で年間2パーセントでも3パーセントでも売上が伸びたらいいなと思っています。目標とか経営理念だとか企業方針だとかいろんな言葉があるなかで、やっぱり売上も上げないかんし、味も伝えていきたいし、若者に対しても発信していきたいしっていういろんな気持ちはありますね。(削りたての鰹節を食べ続ける私達を見ながら)やっぱり美味しいでしょ?本当に美味しくて、働いてくれている従業員さんの姿とかを思いながら食べるのも美味しいし、自分で作ってるもんだからそれ以上に美味しいし。けどこういう風に知らんけど美味しいって言ってくれる人もいる。だからそこは自信を持ってやっていきたいですね。

アピールポイント

首都大学東京 人文社会学部 2年 東 菜々花(ひがし ななか)
こだわりの鰹節のお話を聞いているうちに、思わず「食べてみたい…」と声をもらした私たちを竹内さんは快く仕事場へ案内してくれました。そこでいただいた削りたての鰹節は絶品で、鰹節のイメージがガラッと変わる、本当に大きな衝撃を受けました。
「うちの鰹節は10人食べたら10人が美味しいって言う」何度も繰り返されたこの言葉が私はとても印象に残っています。この言葉には竹内さんの揺るぎない自信が込められているように感じます。
今の時代、自分のやっていることや進んでいる道に確固たる自信を持っている人は少ないのではないでしょうか。明るくポジティブで、何よりも家業に誇りと情熱を持っている宇佐の皆さんは素直にかっこいいと感じました。
本物の味、私にはしっかりと伝わりました。生き方に迷ったとき、自信が持てなくなったとき、宇佐の皆さんの前向きなパワーをもらいに来たいと思います。でもその前に、あの削りたての鰹節をもう一度食べにすぐにでも高知を訪れたいと思います。

-コーディネーター紹介-

ID

がくせい

学生

学生が記事を書きました。