一どんな活動をしていますか?
基本的に私が勤務している宅幼老所「茶の間」では、デイサービスを中心に行っています。毎月中旬になりますと、三日間続けて「ふくふく市」というイベントを商工会館で行います。そこでは高齢者の生活支援ということで、衣類や雑貨、パンや菓子類の販売を行っています。二日目はミュージックサロンということで、レコード鑑賞会とカラオケをするのがお決まりです。多い時は10人位いらっしゃいますかね。迎えが必要だと言われたら車で迎えに行ったりと、お互いの顔を知っている田舎だからこそできることですね。あとは昔から音楽が好きでして、地元で結成したバンドではトロンボーンを担当していました。村内には音楽スタジオなどがないので、役場の多目的ホールを使わせてもらって練習しています。同じように練習場所がなくて困っている高校生などがいると、声をかけて一緒に練習したりもしています。今でも時々、利用者さんの前でハーモニカを吹いたりしています。
一はじめたきっかけはなんですか?
以前は村内で、電子部品の組立や加工をする製造会社を経営していました。しかしモノづくりの下請けが中国に移行しはじめ、これでは食べていけないなと思いました。それで新しい仕事を考え始め、同じ考えを持つ仲間たちと宅幼老所「茶の間」を立ち上げました。前の会社が無くなってしまいましたが、そこで働いていたおばちゃん達も何人かウチをを利用してくれています。たまに昔のことを思い出して、私を「工場長」なんて呼んでくれるのですが、うれしいですねぇ。しかし介護の仕事はほとんど素人で飛び込みましたので、実際にやりながら学んでいったという感じですね。大きい事業ほど隙間が出来てしまう、そういう所で出来ないことをしようというのがそもそものきっかけでしょうか。「茶の間」は元々民家だった場所をそのまま利用していますので、利用者さんは現在12人と小規模な体制です。その分利用者さんひとりひとりに行き届いたサポートが出来るよう心がけています。
一一番大切にしていることはなんですか?
何事も商売として利益を求めるのではなく、利用者さんに喜んでもらうのを一番の目的として取り組んでいます。そして本当に必要とされているのか、地域のニーズを第三者の立ち位置で考えるようにしています。レコード鑑賞会なんかでも、どうやったら年配の皆さんが反応してくれるのか、当時の曲ってなんだろうと、そういう盤を探したりするのも楽しみのうちのひとつですね。ですから、『クラッシクから浪花節まで』と幅広くお届けしているのがウチの自慢です(笑)。1つのことに深くと言うよりも趣味の世界を広げて皆さんに提供している感覚です。
一今後の目標を教えてください
村内ではこれからも自分から発信してモノ探しをしていきたいと思っています。例えば知り合いの土蔵から昔のレコードプレーヤーなんかが出てきたら、そういうものを直したりして使っています、昔培った技術がそういうところでちゃんと活きますね。ふくふく市においては、新たな年齢層に訪れてほしいと思っています、そのためにどういった取組をすればいいのか、今後考えてゆきたいです。できることは自分が声をあげて、次世代につないでゆきたいと思います。
アピールポイント
今年で67歳だそうですが、とてもそうは見えません。肌はツヤツヤで背筋もピンとしています。元工場長ということからお察しの通り、オーディオ機具の修理などはお手のもの。昔培った技術を、福祉という違うフィールドで、きちんと活かしていました。また、地域のニーズを常に考え、それに常に答えようとしている姿勢に感心しました。写真は元工場跡地に構えた秘密基地の一部です。趣味として時間のあるときに直して使えるようにしているそうです。