飲食店のない地元にパン店を開業して恩返し

長野県伊那市

ネバシ マリコ

根橋 麻理子

パン店『Punkiest』オーナー。 1980年5月30日生まれ。伊那市出身。 ワーキングホリデーから帰国後、「パン店開業」という夢を叶えるためにパン店に勤務。 その後、ドイツでの3か月のパン修業を経て、独立。

一どんな活動をしていますか?

生まれ育った伊那市の新山地区でパン店を営んでいます。実家の隣にあったトタン張りの倉庫を改装して、2012年11月に『Punkiest』を開業しました。ドイツ修業で学んだ現地仕込みのライ麦パンも扱っていますが、アンパンやチョココルネといった皆になじみのある菓子パンや調理パン、食パンなども販売しています。店頭に並べているパンは30~40種類ほど。製餡やジャムづくりを母に手伝ってもらいながら、私一人ですべてのパンを焼いています。

一はじめたきっかけはなんですか?

もともと測量設計の会社で働いていたのですが一念発起。「今しかできない!」と、退職をしてワーキングホリデーでニュージーランドに渡りました。現地では蘭をつくる農家さんのところにファームステイをしていたのですが、同僚のドイツ人の子がよくパンを焼いてくれて。私自身子どもの頃からパンやお菓子をつくることが好きだったこともあり、感化されました。帰国後は地元のパン店に勤務。独立前には、友人を訪ねたい一心で(笑)ドイツに修業にも行きました。

  • トタン張りの倉庫を改修してつくり上げた店舗。外壁や看板、陳列棚などに使っている木材は、スギやヒノキなど、新山の山で切り出したものだという。

  • すべてのパンを根橋さんが一人で仕込んでつくっている。遠方からわざわざ訪ねてくるファンも多く、お昼過ぎには売り切れてしまう日も。

一一番大切にしていることはなんですか?

「生地や材料を大切に扱う」ということでしょうか。極端な話ですが、どんな風につくっても、パンって、焼きたてはおいしいんですよ。でも、生地や材料を雑に扱ってつくったパンは、翌日冷めてから食べると、絶対にどこか粗が出ているんです。ですから、どんなに忙しくても作業は丁寧に丁寧に。ひとつずつ大切にパンをつくるようにしていますね。

一今後の目標を教えてください

店舗の2階をカフェスペースにして、焼きたてのパンを食べていただけるようにしたいですね。現在も、1階のレジ前や庭に小さな飲食スペースを設けているのですが、ゆっくり食事ができるような雰囲気ではないので……。いずれは、ゆったりとしたスペースで、焼きたてのパンにサラダやスープなどを添えて出せたらいいなと思っています。そのためには、新しい人を雇って育てていかないと! 地元の素材も、もっといろいろ取り入れていけたらいいですよね。

アピールポイント

私が生まれ育った新山地区は人口700人程度の自然豊かな地域。伊那で開業するにあたって、集客を見込める中心街での出店も勧められたのですが、新山以外での出店は考えられませんでした。同じパンをつくるならば、できればご近所の方々に食べてもらいたかったからです。おかげさまでお客様の半分は新山の方々。あとは、ありがたいことにわざわざここまで足を運んでくださった方々です。人気は食パン。「ゼンメル」というハムやソーセージなどの具を挟んで食べるドイツパンも、この辺りではここでしか食べられない味ですね。時期によってリンゴの品種を変えて作るアップルパイもおすすめです。

【Punkiest(パンキエスト)】
営業時間:10:00~17:00
休み:水・木曜、臨時休業有り
電話:0265-96-0635
住所:伊那市富県上新山2301
HP:http://punkiest.naganoblog.jp/

-コーディネーター紹介-

今までになかったリクエストでイベントや企画用のオーダーを、いつも笑顔で受けて頂き大変助かっています。そのオーダーでも長野県産の小麦(ハナマンテン)を使うといったことやパンの形状といったディティールにも常にアイデアを頂いていて、イベントや企画の場をさらに気持ち良いものにしてくれています。毎度、ありがとうございます!

ID9 長野県伊那市

さいとう しゅんすけ

齋藤 俊介

地域の有機農家と商店街の飲食店と市民の三者をつなぎ「母子で朝食の時間を過ごす」場を提供する「朝マルシェ」、南アルプスと中央アルプスという二つの山岳地域へ訪れる登山者に地域ならではの価値提供を行い街や人をつなぐ「ASTTALプロジェクト」を企画しオルタナS・地域デザイナーズアワードをダブル受賞。16年は中心市街地全体を学校に見立て「路地の一つ一つに学びとの出会いがある」をテーマとした「学びのまちプロジェクト」のサポートを手掛け、持続的な取り組みへと伴走している。