片品村民の心と胃袋を満たす、オシャレな大衆食堂オーナー

群馬県片品村

ストウ タダハル

須藤 忠晴

1972年片品村出身。2015年、片品村と栃木県日光市をつなぐ国道120号沿線に、食事処「たまおKITCHEN」をオープン。30年近く物置同然になっていた実家の元食堂を改装し、オシャレな大衆食堂に生まれ変わらせた。2000年から「村唯一のオシャレな飲み屋」であった「Foodsbar・Core」の移転・新形態としてのオープンでもあり、長年にわたり村民の「村でも小洒落たお店で食事をしたい」という想いと胃袋を満たしてくれている。ちなみに「たまおKITCHEN」の「たまお」は、ご本人と愛妻・愛娘の名前からそれぞれ一文字とって名付けたもの。

一どんな活動をしていますか?

「たまおKITCHIN」という大衆食堂を経営しています。自分の中の大きな部分として、普段食べるものでもちょっとアレンジをして、「こんな食べ方するとこんな味になるんだ」とか、地元の人は舞茸やトマトなんて食い飽きてるかもしれないけど、「こういうアレンジなら食べたいな」と思われるものを提供しようと思っています。 「大衆食堂だけど、他の大衆食堂にはないもの。普通の大衆食堂より一歩クオリティーの高いお店」がコンセプト。ここは国道120号沿いで観光のお客様も多いから、うどん・そばとか舞茸ご飯みたいなものを出す店は周りにもある。でも「そういうのもいいけど、ちょっと変わったものないの?」みたいなお客さんが寄ってくれるお店にしたい。定番メニューを出すにしても、何か俺の店っぽいもの、一つ余計に手をかけて・・パウダー使わないで出汁をちゃんととるとか。当たり前だけど、そういう当たり前のことをちゃんとやり続けたいと思っています。

一はじめたきっかけはなんですか?

前の店舗「Core」は29歳の時に、片品村内に自分も含め若い人が飲みに行きたいような店がなくて、カミさんと「そういう店がやりたいね」と言って始めました。コンセプトも「非日常を提供したい・今までの片品とは全く違うものを提供したい」というイメージで、無国籍居酒屋みたいな感じの料理を提供して。 でも44歳になって、ランチも深夜営業もやるというのがキツくなったし、一生続けていける職業として、この店を作りました。 地元の素材というか、片品の同級生が作っている「舞茸ペースト」や、近所の農家の人が作っている特産品のトマトを使ったアレンジメニューも人気です。 自分の周りにいる人たちが持っている、作っているものに対する情熱だったり、ちゃんと作っているという姿勢を見ると、「そういう素材を使いたい」って純粋に思う。料理とか食べるものを作っていると、最終的には農業だなと思います。美味しいものを突きつめてくと、自分でそれを作りたいというのに行き着く。片品は冬は農業ができないので、完全には難しい部分もあるけど、やっぱり採りたてもぎたての方が美味しい。なので、なるべくそれに近い状態のものを提供できたらいいなと思う。 少しずつだけど、自分で小さな畑を耕したりもしています。

  • 田舎らしさと気楽に過ごせるオシャレさが同居した店内

  • 本業の合間に、村のシニア向けパソコン教室の講師もやっています

一一番大切にしていることはなんですか?

「バランス感覚が一番大事」だとずっと思っています。遊びと仕事のバランスとか、料理作る味付けのバランスとか、全てにおいて「どこがいいか」というのを決めるのは自分。だから、決める天秤を間違えないようにというのは常に大事にしてます。 自分が毎回納得する、言い換えれば妥協しないってことなのかもしれない。妥協すると後々自分が嫌な気持ちになるっていう性格なのがわかっているから。「自分の好みのものをやりたい」という気持ちと、「でもこれ他の人にはウケないかな」と思う時には自分の好みを抑えたりとか、そういうバランス。そういうアンテナを常にはって、バランスが取れる判断材料を蓄えておくのは大事だと思ってます。

一今後の目標を教えてください

食べ物に関する仕事をしているから、それで自分たちの生計を立てるのは当然だけど、それだけじゃなくて、もともと片品にあるものを残していくことも絶対必要だと思ってます。いま生きてるお年寄りがいるうちに、地元の料理の勉強をしたり、どっかにアーカイブみたいなができたらいいよね。 食べ物って重要ですよね。美味しいものを食べたら絶対幸せになるから。 特に片品は観光地だし、田舎っぽいものの良さと、それをどうアレンジしたら街場の人に好まれるかとか、そういう知識も得ていかないとと思います。家庭料理でもちょっと気を使って、こんなテクニックを使ったら美味しくなるとか、食べ物に関する村の人の意識がちょっとでも変わっていったらいいなと思ってる。 自分は同級生が結構片品にいて、みんな自営業で頑張ってたりもするから、自分たちの世代でそういう変化を作っていければと思います。 自分の店の売り上げを上げるのはもちろんだけど、それだけじゃなくて、地域そのものの食べ物に対しての考え方を変えたり、みんながみんな良いライバルで、みんなで頑張ろうという雰囲気にしていければと思う。自分も20代の頃から仲間とそういう話をして、小さな取り組みも色々してきて、なかなか結果に結びつけるのは難しいけど、そういう気持ちを持ち続けていくのは大事だし、諦めちゃったら終わり。幾つになっても、そういう気持ちは持ち続けていきたいですね。

アピールポイント

自慢のトマトをたっぷり使ったトマトカレー。 トマトの自然な甘みと、適度なスパイス感が同居する、大人も子どもも楽しめるカレーです。 お昼は定食メイン、夜は夕食&気軽な晩酌もOK。 地元の人も観光の方も気軽に立ち寄れるお店です。

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たまおKITCHEN
片品村東小川3463-1
TEL 0278-58-3626
営業時間 11:00~14:30 17:00~21:00 ※不定休
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-コーディネーター紹介-

村に住んでいても、やっぱりたまにはちょっとオシャレで気の利いたものを食べたい、、忠晴さんのお店はそんな気持ちを満たしてくれる貴重な存在で、村内の若い人(若くない人も)のオアシスです。飲み会で利用させていただいても、出てくるメニューにハズレなし!個人的には唐揚げがとっても美味しくて好みです。また飲みに行きます!

ID117 群馬県片品村

ほんま ゆうみ

本間 優美

1982年東京都生まれ。大手通信会社でのサラリーマン生活を経て、趣味の山登りがしやすい環境を求めて片品村に移住。新米猟師。 尾瀬国立公園で増えすぎた鹿の問題を多くの人に知ってもらうべく、地域で排出された獣革を商品化する「尾瀬鹿プロジェクト」に「尾瀬鹿工房かたしな」として取り組んでいる。