『地消地産』で、地域で循環する経済圏を創り出す

長野県駒ヶ根市

カタギリ ケン

片桐 健

「きりの実」代表

一どんな活動をしていますか?

信州中央アルプスが一望できる小さなログハウスのレストランを営んでいます。 飲食店として、ただ食べ物を提供するだけでなく、生産者と消費者の間を繋ぐハブとしての役割を活用して、本来あるべき地域で循環する経済圏を作り、それを広めることを使命としています。

一はじめたきっかけはなんですか?

まず、このレストランは21年前、食の仕事をしたいと願った両親が始めました。ちなみに、このログハウスは、大工の経験があった父が自分で建てました。 私自身は、元々、製造業の会社に勤めていて、主に中国を行き来していました。海外を行き来するにつれて、文化、それも食べることが好きだったので食文化を伝える仕事をしたいという思いが高まり、転職して東京で飲食の修行をしました。修行も丸十年経ち、自分自身が店を持ちたい、できるなら地元の食文化と自分自身が学んだことを融合することに取り組みたいと、駒ケ根に帰ってきて店を継いだのです。平成28年1月のことです。 ーーーご両親から引き継いだこと、新たに始めたことを教えて下さい。 名物の手打ちそばとソースかつ丼は、創業からの味を守っています。 私は今まで、食材選びからお客様にご提供するお料理まで、一貫した手作りをする環境でお料理技術を学んできました。 地元野菜は勿論のこと、魚や黒毛和牛などは漁港・産地から直接新鮮で良質なものを送って頂き、自分の手で捌き丁寧にお料理しています。また、地元の食文化の継承の他、新しい食文化も必ずメニューに入れご提案することで、地域の食文化をより豊かにしたいと思っています。

  • 地産地消ではなく「地消地産」。

  • こだわりのソースカツ丼と手打ち二八そばのセット。世代を問わず、一番人気のメニュー。

一一番大切にしていることはなんですか?

経営理念は、「我々は食文化を楽しむ伝道師、関わる全ての人々にステキな思いを届けます。」です。「我々」とは、一緒に働く仲間のことです。 我々は、「地消地産」を原則とし、美味しいお料理、温かなサービスを提供し、食文化を楽しむ過程で、お客様はもちろん、一緒に働く仲間、取引先の方々まで、関わる全ての人が「素敵な思い」を感じていただけるような集団でありたいと思っています。 ーーー地産地消ではなく「地消地産」ですね。 「地元で作ったものを地元で消費しよう」ということと、「地元で消費するものを地元で作ろう」ということは違うことだと思っています。 以前から「地産地消」という言葉にしっくりこなかった私は、kurabe(駒ケ根市のお隣伊那市で、ガレットや季節のイタリアンの食事やテイクアウトを楽しめるお店)を経営する渡邊さんの地域を意識した取り組みをお聴きしたことで、「地消地産」という発想がすごく気に入って、「文化を伝える」と同じくらい大切なキーワードになりました。

一今後の目標を教えてください

3年以内に次の店舗を開きたいです。地域の食文化にさらなるバラエティーを、さらに気軽に外食する楽しみを感じてもらえるような楽しいコミュニケーションの場を、さらに地域の農産物をお料理に使わせていただく機会を創り出していきたいと思っています。そのために、理念を共感しあえて、一緒に働く仲間を募っています。

アピールポイント

関わる全ての人が「素敵な思い」を感じていただけるように!

-コーディネーター紹介-

「きりの実」がある駒ケ根市東伊那地区は、「生きている」と実感できる農村風景が広がっている。それはなぜなのか。ジッと景色に見入っていると、休耕地がないことに気づきます。斜面に位置する土地のほとんどに果樹や農作物が栽培されている、なんて豊かな土地なのでしょう。 この豊かな土地の恵みを最大限活用するには、料理人の存在が不可欠です。地域に根差して、生産者と共に歩む料理人は、心強い味方になりそうです。

ID140 長野県伊那市

からき れい

唐木 玲

地域を彩っているのはイキイキと活躍する人たちだと気づき、自分自身もそうありたいと気持ちを深めている。休日には、伊那市を拠点とするアマチュアオーケストラ(伊那フィルハーモニー交響楽団)でヴァイオリンを弾いている。伊那市の職員。