人と人、お店とお客、そして地域をつないで広げる

島根県津和野町

やまだひろみち・おおばあきお

山田仁通 社長 ・大羽章夫 店長

***1950年生/68歳/つむぐSHOP社長/ 高校まで津和野町で育つ。その後就職で一度地元を離れるも、父親の助言で3年後には津和野に戻ってくる。これまで自民党支部の幹事長や審議会の委員など様々な役職を担う。現在本業の菓子屋さんを経営する傍ら、町のみんなが利用するスーパー「つむぐSHOP」の社長。 ***1950年生/67歳/つむぐSHOP店長/ 高校まで津和野町で育つ。大学進学で津和野を出て、浜田や益田のスーパーで管理職に就く。その後、自動車関係の仕事で全国を飛び回る。58歳の時、津和野に戻り、津和野の道の駅や、地産地消のコーディネーターとして働く経験を持つ。現在は「つむぐSHOP」の店長。

一どんな活動をしていますか?

津和野町の住民にとって、欠かせないスーパーである「つむぐSHOP」を経営しています。肉、野菜、魚、お菓子をはじめ、お弁当、乾物、生活用品まで扱っています。地産地消にこだわった仕入れ先や季節に合った商品の選定を心がけています。スーパーにはキッチンが併設していて、そこでさばいた新鮮なお魚や手作りのお惣菜が人気です。
つむぐSHOPの大きな特徴は移動販売です。週に6日午前中に、スーパーへ来るのが困難な方のために行っています。ここではお客様である地域の方たちの声を直接聞くことができるので、その声に寄り添った販売ができます。つむぐSHOPでは、津和野高校の購買や学生寮の食事のサポートもやっています。

一はじめたきっかけはなんですか?

社会人になってから津和野町のために尽力し、津和野のことを考える仕事をしてきました。その時、お互い知り合って、今に至ります。手作りの商品を揃え、移動販売まで行うスーパーに成長してきたのは、津和野の住民の声に寄り添ってきたからです。津和野のこの辺りではおよそ450世帯が住んでいますが、食料品の店が一つしかありません。まさに高齢者難民地区と言われるくらい、地域の人たちは「足」に困っていました。車や軽トラを持っている人、運転できる人に頼んだり、無理して時間をかけてスーパーまで通う必要がありました。そこで私たちは4年前に移動販売を開始しました。現状を目の当たりにしてやり始めずにはいられませんでした。今では移動販売の需要がとても高く、「来てほしい」という人たちが大勢います。

  • 店内は何でも揃っている。奥にキッチンがあり、お惣菜を作り、魚をさばく。

  • 大人気の「つむぐ弁当」!

一一番大切にしていることはなんですか?

まずは地域の人たちの声に寄り添った仕事をすることです。何に困っていて、これからどうしたらいいのか考えることです。移動販売もそうして生まれました。また今商店街にある70ほどのお店も、後継者が見つからず持続性のある取り組みができなければ、どんどんなくなっていきます。だから出来るだけ地元のお米を使いたいし、そうやって助け合っていく必要があると思います。昔、おもしろかったのは酒家さんとお茶屋さんが丁度繁忙期がずれるからと言って、暇な時には忙しい方を手伝っていたことがありました。他には、「6月7月は仕事が少ない」とつぶやいた時、それなら蛍が沢山いるから蛍バスをやろう!となって、1日に30台も蛍バスを運行していた時もありました。そんなふうに、月に何度か集まってはワイワイ楽しいことをして、職業の枠を超えた繋がりができていきました。おもしろいことをやると楽しそうだから人が集まる。そして新しいアイデアや人との繋がりがどんどん生まれてくると思います。だから、何歳になっても自分が楽しい・おもしろい!と感じることをやっていたいです。

一今後の目標を教えてください

4年前から始めた移動販売のシステムづくりをもっとしっかりやっていきたいです。今後、超高齢化した町で、もっと移動販売の需要が増えていきます。遠くまで買い物に行かなくて済むことは年寄りにとって、とても助かることです。
70歳までは自分たちも何とか続けていこうと思っていますが、その後ののことを考えると、40代50代のやりたいという人にぜひ引き継いでもらいたいとも思っています。

編集後記

前島 玲美 (まえじま れみ) 20歳
人と人、お店とお客、そして地域をつないで広げる、そんな「津和野を紡いでいけるお店」でありたい。
私と比べておよそ50歳も年の離れたお二人は、この言葉の通りの活動をされていて、話し始めたら止まらない、エネルギーに満ち溢れた方々でした。話の節々に、自分たちがこの町のために何とかしよう!楽しいことをしよう!という津和野への愛が感じられました。津和野へ来た人は、山田さんと大羽さんのもとへ、昔の津和野と今の津和野、そして活き活きと働きおもしろい人生を送る秘訣をお聞きしに行くべきです。
私も、山田さん・大羽さんのような人を紡いでいける存在、自分がおもしろい・楽しいと感じることを続けていける人でありたいと強く感じました。

-コーディネーター紹介-

島根県

だいがくせいらいたー

大学生ライター