自伐型林業に惚れたわけ

益田市

さわ かずき

澤 和城

愛知県名古屋市出身。興味を持った自伐型林業のできる場所を探していたところ、匹見地区の地域おこし協力隊で自伐型林業の実践者を募集していることを知り応募。今年(2018年)7月から益田市の匹見地区で地域おこし協力隊として自伐型林業を行うための研修を受けている。

一どんな活動をしていますか?

今は自伐型林業を行うための研修を受けています。例えばチェーンソーと刈払機(かりはらいき)の扱い方を基礎から学んだり、実際に山に入って間伐の実習をやったり、木を倒してから軽トラに積むまでの手順や方法を学んだりしています。自伐型林業は、大きな機械を使いませんが、だからと言って力任せに行うこともできないんです。そのため、梃子(てこ)の原理を使うといった先人たちの知恵を学ぶ必要があります。
また、来年(2019年)から地域おこし協力隊がNPO法人を立ち上げ、(現在益田市が運営している)「木の駅」を運営し始める予定なので、そのための準備もしています。
さらに地域おこし協力隊の活動は週の半分なので、休みの日は地域おこし隊の任期が終わった後の生活の準備として、農業を学んだり、これから住む予定の古民家の改修を自分でしたりしています。

一はじめたきっかけはなんですか?

自伐型林業をやろうと思ったきっかけは、「自伐型林業は持続可能な林業である」と気がついたことでした。子供の頃から山が好きで何度も山に行っていたので、ある時、人々が登山をしたり、林業をしたりするために山の整備をしている人がいるという事実に気がついたんです。そこからいつか山に関わる仕事がしたいと思うようになりました。名古屋では全く山とは関係のない仕事をしていましたが、今年(2018年)の冬に偶然電車の中で林業就業者を募集する中吊り広告を見て、山に関わる仕事がしたいという気持ちが蘇りました。講習で学ぶうちに自伐型林業が、小規模であるがゆえ人件費や設備投資が大規模林業に比べかからず、さらに山の保全にも繋がるということに気がつきました。自伐型林業をどうしてもやりたくなり、調べたところ、当時、丁度自伐型林業の実践者を募集していた匹見地区の地域おこし協力隊を見つけ、迷わず応募しました。

  • 木の駅にて。右から2人目、澤さん。

  • 木の駅にて。右端、澤さん。

一一番大切にしていることはなんですか?

なるべく山に手を加えないやり方で林業をやりたいと考えています。作業道を作る先生がいるのですが、その先生はなるべく山に影響を与えないように最低限の木しか切らないようになさっていて、私もそういうことが大事だと思います。施業地全体の木を切る皆伐などの山への影響が大きい施業は、土砂災害が起こるなど私たち人間に対する予測の難しい悪影響もその分大きくなってしまい、持続可能な林業とは言えないと、私は思います。そのため、なるべく山に影響を及ぼさずに山の恵みをいただこうと考えて活動しています。

一今後の目標を教えてください

自給率を上げたいですね。もともと名古屋で仕事をしている時に、今仕事があってもリストラされたり退職したりしたら、何もなくなってしまうという思いが常にあり、生活するために自分でできることを増やしたいと思っていました。現在は地域おこし協力隊として国から給料を頂きながらの活動なわけですが、この任期が終わった後も生活し続けるための準備として、自分で野菜を育て、自分の家の改築をしています。これから自分のできることをもっと増やし、自給率を上げていくことが目標です。

編集後記

2018.12.02 原口 史帆(はらぐち しほ)20歳
林業をやりながら山を守り、それを通して自分の生計を立てる。
そんな、非常に難しいことに取り組もうとしている澤さんに、私は憧れを抱きました。また、生きていくため、自分のことは自分でできるようになる、できなければできる人に教えてもらうという澤さんをはじめとした匹見の人々の姿勢が、非常に新鮮で印象的でした。

-コーディネーター紹介-

島根県

だいがくせいらいたー

大学生ライター