一どんな活動をしていますか?
隣町である邑南町の「玉櫻」をメインに、日本酒、缶ビール、駄菓子など、地元住民の需要に合わせて取り扱っています。わたしで酒屋の三代目ですね。個人商店としての酒類の販売にとどまらず、電話での配達注文もこなしています。お客さんの様子や近隣の人とのコミュニケーションを大切に、単なる酒販売ではなく、人と人とのつながりを大切にしています。
一はじめたきっかけはなんですか?
高校卒業後は、広島で自動車の部品工場に勤務していました。また、大阪で飲食店に勤務していた兄がおり、リーマンショック時に兄弟共に厳しい状況に追い込まれました。それをきっかけに地元川本に戻り、二人で飲食店を始めました。この店を8年続けた後、仕入れ先である先代の廃業を聞き、店を兄に託し、萩原酒店を継ぐ決意を固めました。
一一番大切にしていることはなんですか?
ほしい商品、銘柄を言わずとも、『いつもの!』の提供を心掛けています。同じお酒でも、量販店との価格競争では負けてしまう。だからこそ、一人一人のお客さまとのつながりを大切にし、お客様の情報はきちんと入れておきます。電話での注文の際、名前を名乗らないお客さんもいるため、相手の声で注文商品をピックアップし、配達に向かうなんていうこともあります。
一今後の目標を教えてください
若い人の交流の場をここ川本の弓市商店街にもうけることです。弓市のいいところは昔、宿場町だったこともあって、店と店のはしごができるところ。飲み屋でも作れたらいいですね。あ、でも自分も飲みたくなるので嫌かな。今日はお代はいいけえ~とか言ってしまうので、商売にはならないですね(笑)川本町全体としては、町の人口が減り続け「もう川本はだめじゃ」とかいう人もいますが、結局は気持ちで何とかなるんですよね。確かに人口減少で儲かりはしないです。けど、お金はなんとかなる。気持ちがだめになってはだめ。気持ちだけはだめにならんようにと思っています。
もう一つの町の問題として、川本町の地元の方々から「若い者が、ありゃ誰だ。」なんて新しい者が物珍しい眼で見られることもよくあります。「Iターンのおかげで成り立っている部分もあるのだ」という考え方が町全体で出来るようになればいいですよね。
全ては考え方と気持ちなんです。
いつか、二時間の講演会をするような人物になれればいいなあ。
編集後記
吉良円花(きらまどか)21歳
一日に同じお客の家に、三度の配達にむかうことも。「いっぺんに注文してくれよ~。」と言いながらも、お得意様からの配達に嫌な顔せずに引き受ける山下さんへの信頼度は厚く、そんな人柄から買うお客さんが多いと感じました。
「目の前の人を大切にすること、そして感謝をすること。」
そんな大切なことを改めて感じたインタビューでした。
町の課題はあるけれど、気持ちと考え方を柔軟にすることで、町を暮らしやすく変えていけるのだと私も信じています。