子どものころにあこがれた先生を目指して

福島県矢祭町

みやもと まさひろ

宮本 聖大

矢祭中学校教員。茨城、宮城での教員経験を持って、今年になり矢祭中学校へ赴任した。サッカー部顧問、クラス担任での活動にやりがいを感じでいる。その背景は中学校時代のサッカー部顧問の恩師が理想の先生であるから。勉強だけでなく人と人として生徒と関わり、ひとを育てられる教員でありたいと考えている。

一どんな活動をしていますか?

矢祭中学校の教員です。クラス担任と学年主任、英語の教科担当、それからサッカー部の顧問を担っています。私の中学校時代のサッカー部顧問の先生がとても熱心な方で、「自分もこうなりたい」そういう想いから教員を目指しました。ですので、勉強を教えること以上に、生徒に向き合って熱心でいられる、それを受け取って生徒が成長してくれる、そういった教員でありたいと考えています。

生まれは仙台、その後は茨城で育ち、高校まで過ごしてまた仙台に戻りました。これまで10年ほどの教員、講師経験を茨城、宮城で経て今に至ります。福島は妻の地元でもあり、家庭と生徒、両方を大事にできる場所としていまの環境を選択しました。

一今やっていることについての課題はなんですか?

学校というものへの考え方がひとや立場によって違うところですかね。私が教員をしている動機は先ほどの理想の先生にあり、そういった背景もあって主に部活動を通して生徒を育てたい想いがあるのですが、現代社会の雰囲気として部活の優先度は高くはなく、必ずしも私の想いと重なるとは言えないところですね。生徒も、親御さんも、先生も、役所も、個々にいろいろな考えがありますからね。昔のように放課後にじっくりと時間をかけた活動もできないですし、週末は試合以外の活動は基本的にないですからね。

ほかには、これは永遠の課題なのかもしれませんが、自分が考えていることを子どもたちにもわかりやすく伝えるところですね。これが難しい。言葉が伝わっても、自分が描いているものを同じように子どもにイメージしてもらうのはなかなか難しいですね。

あとは教材、教育の手法ですね。私もパワーポイントで資料をつくって授業に使用したり、デジタル教科書やWeb映像を活用したりするのですが、生徒はいまも教科書もノートも紙で一方通行なところですね。PCやタブレットも教材としては学校にありますが、数も限られていますし活用できているとはいえない状況ですね。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

デジタルという観点で言えば、生徒全員がデジタル教科書を使えるようになることは有用だと思います。ただタブレットがあればよいということではなく、例えばデジタル教科書に書き込みができて保存ができるとか、ノートの役割も兼ねたものであることが必要ですね。ひとつの役割だけでは不十分だと思います。

担当教科の英語で言えば、ライティングやスピーキングのチェックができるアプリなども使えると生徒の成長に寄与できると思います。そういった意味では選ぶソフトウエアも重要です。さらに教科だけでなく、出欠記録や掲示の作成などにも利用できると活きてくると思います。

私自身はデジタル賛成派なので、セキュリティ面など大事なところを押さえてもらえれば、どんどん導入が進むとよいと感じています。

一今後の目標を教えてください

デジタルの導入は進めたいですね。生徒の経験機会としてもいろいろな可能性があると思います。例えば職場体験などはいまでもやっていますが、職業講話などはデジタルツールを使えば講師の方の来校が必須ではなくなりますから、より多くの職種の方にお話しいただける機会が作れると思いますし、コストも抑えられるのではないでしょうか。

教科で利用できるアプリの導入も、もっとできるとよいですね。ただここについては個々の教員が思いのままに導入できるわけではないので、有用なもの、必要なものをいかに迅速に決定、導入できるかが大切ですね。いままでのようなプロセスではなかなか期待する状態にはできないでしょうから、物事の進め方、決め方も変えていく必要がありますね。

編集後記

学校教育とはひとを育てるものであるということを改めて感じました。育てる相手は子ども、その難しさもそうですが、子どもを育てることはその背景にある家庭、社会も相手にすることで、先生とは「学校」の中だけにあるものではないのだと知りました。そういった難しい環境下においても、宮本先生は理想の教員像を持たれていることで、様々な行動の選択に生徒への熱心さがあると感じました。
学校教育でもデジタル化が進み、道具や手法が変化することで、新たに得るものや反対になくなっていくものもあるのでしょう。しかし、宮本先生のような矜持をもった方がいれば、ひとを育てるという大事なところは変わらずにいられるのだろう、そう思わせていただけた素敵な機会でした。

-コーディネーター紹介-

福島県矢祭町・栃木県矢板市

やまぐち りょう

山口 涼

静岡県静岡市出身。2000年に現VSN(当時ベンチャーセーフネット)に入社。機械系エンジニアとして、お客様先企業で半導体露光装置、硝子製品、医療機器の設計開発に携わる。自社においてはグループ・リーダーを担い、組織マネジメントの経験も積んでいる。近年はエンジニア志塾、次世代エンジニアラーニングスクエア、地方創生VI(本プロジェクト)など、社外フィールドへも活動を拡げている。知らない土地で敢えて迷子になるような手法の散歩が好きである。