一どんな活動をしていますか?
短大卒業後に、家業である農業を継ぐため東京から矢祭町へ戻り、その経験をもとに現在はお米を作る専門の農業法人「矢祭興産」の代表取締役を務めております。現在作業している田をすべて合わせると、東京ドーム10個分近くの広さになります。
東日本大震災を機に農業から離れてしまった人の土地を借りて農作業をしていくうちに、たくさんの人手が必要となり、2014年より法人化して事業を行っております。
また、町に4名の教育委員の一員として英会話塾を運営している経験も活かしつつ、企画会議や教科書の改訂に関する打ち合わせに月1回程度参画しています。
一今やっていることについての課題はなんですか?
教育委員としての活動は2020年4月からなので、まだまだ色々なことを学んでいる最中です。事務局から降りてきた事項を判断する際に、ただハンコを押すだけでなく「意見発信者」「運営者」として、主体的に考えていく必要があります。
現在の日本の教育においては、テレビやスマートフォンから離れる日とする「ノーメディアデー」など、時代の流れと逆行した施策を行っているので、メリット・デメリットを考えながら施策の是非を考えていかなければいけないと思っています。
また、このような精力的な活動をしていることをもっと外部に知ってほしいと思う反面、PR が行き届かない部分もあり、子育て世代に刺さる人口増加につながるような施策を打ち出してアピールしていきたいです。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
アメリカの高校では、メールで宿題が届いてそれをメールで返す程度にはデジタル化が進んでいます。GIGAスクール構想を推進していくことで、そのような仕組みを整備するとともに、自動で採点して成績データを管理していくような仕組みが作れるのではないかと思っています。
もちろん、利便性を追求するあまり、すべてをデジタル化・自動化してしまうことは、生徒・先生双方の能力を低下させかねません。そのため、先生方にもヒアリングをしながら進めていく必要があります。
一今後の目標を教えてください
現場の声に耳を傾けながら、現場のニーズに即したITの活用方法を協議していきたいです。IT を活用した教育を推進していくことで、生徒の学びが進むだけでなく、先生の教え方における課題も見えてきます。
今は、郵便局長や幼稚園の先生など、さまざまな経験と知見を持った方々が集まり、より主体的な学びへの変化を起こそうとしている変革の時です。経営者としての体感と実感を踏まえて、未来への期待を具体的に抱きながらGIGAスクール構想を推進していきます。
編集後記
経営者でありながら、教育委員としても活躍する鈴木さん。取締役社長としての豊富な経験と、矢祭町で生まれ育った郷土愛を胸に、この町の、この国の未来を支えていく小中学生を成長させるための教育施策をこれからも日夜考えていらっしゃることが伝わってきました。