一どんな活動をしていますか?
大江地区でトマトと水稲を生産しています。最初は農業ではなく、札幌の電子系の専門学校を卒業しOA機器のメンテナンスをする仕事をしていましたが、23歳の頃に仁木町に戻り、実家の農業を手伝うようになりました。
今は70件以上の農家が参加する「仁木町トマト生産組合」の組合長理事も務めています。先輩達が長年に渡り築き上げてくれた日本でも有数の良食味・高品質な生産組織です。
農業はおじいさんの代から続いていて、自分が農業を始めた時はトマトと水稲の生産の割合は半々くらいでしたが、現在は圧倒的にトマトの生産量の方が多く、水稲に比べて5倍の生産量まで増えてきています。トマトに関しては北海道でなく本州に出荷しており、関東7割、西日本2割、九州1割で、今は量販店と契約するなどして安定的に販売する事ができています。
一今やっていることについての課題はなんですか?
水稲は農業機械が使えるので人手不足という点において深刻さはトマトに比べると少ないですが、トマトの生産に関しては、昔と比べるとパートやアルバイトなどが大分集まらなくなってきました。
パートに来てくれていた近所の方々の高齢化なども影響していると思います。アルバイト紙で募集しても、トマト農家の仕事をしたいといった若者などの募集も少なく、かといって遊びや旅行感覚で来られても困ってしまうので、トマト農業において人手不足は大きな課題の一つになっています。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
農家の仕事は泥臭い部分もありますので、実際にパートやアルバイトで来てもらって仕事をしてもらうと、特に夏場などは暑さがきつく、中には体調を崩されてしまう方もいらっしゃいます。
最近は、インターネット上で募集広告も出したりしているので、例えば、仕事の内容としてトマトのもぎ方などのイメージビデオも見られるようにし、あらかじめ働く人に仕事の内容を理解してもらいやすい工夫などが出来ると良いかなと思います。
また、人手不足を解消する意味では自動化、機械化といったことも今後は考えていく必要はあると思いますが、誰でも簡単に美味しいトマトを量産的に作れるようになってしまうと、今の我々の仕事の単価が下がってしまうのではないかという懸念があります。
消費者の方にとっては、生産量が増えれば、これまでと同じ品質のトマトを安く購入できるのでメリットになるとは思いますが、生産者からするとデメリットとなる場合もあります。ただ単純に自動化、機械化を進めれば良いという話ではないので、そのあたりは慎重に考えていく必要があると思います。
一今後の目標を教えてください
現在は大きなトマト組合の組合理事長を務めさせていただいているので、仁木町の美味しいトマトが、より市場に流通できるような努力をしていきたいと考えています。
仁木町のトマトの歴史は長く、組合ができて再来年で50年を迎えます。組合の中にはかなり高齢の方も増えており、ここ10年程で引退を考える声もちらほら聞くようになってきました。後継者問題や新規就農者の受入等の課題にも取り組んで行きたいと思っています。
編集後記
今回のフィールドワーク後に早速、神奈川の自宅の近所のスーパーで、兼重さんが所属している組合のミニトマトジュースの「もてもてネ」と「もてもてキッキ」を発見!!また、同僚からも別のスーパーで兼重さんの写真がパッケージ化されたミニトマトがあったと連絡がありました。まさに、生産者の顔が見える農作物。普段、何気なく自分が口にしているトマトも、これからは特別な想いを持って味わう事が出来そうです。