正解のない仕事への飽くなき挑戦

北海道仁木町

なす まさる

那須 勝

生まれも育ちも仁木町で、余市高校を卒業した後に江別の酪農大学へ進学。卒業後は1年半ほど青年海外協力隊としてインドネシアへ渡航し、帰国してからは札幌で就職したが5年後の30歳のときに仁木町に戻り農協に就職。2年程務めた後に就農し今に至る。

一どんな活動をしていますか?

もともと就農したいという気持ちはなかったのですが、札幌で就職をしていた時に就農したいと思うようになり、仁木町に戻って農協を経て周りの方々のサポートを受けながら農家になりました。

農家はそれぞれの考えとやり方があるので、自分も自分なりのやり方を考えながら進めつつ、銀山米の研究会にも参加し少しでもおいしいものができればと活動しています。

また、以前はいちご栽培もしていましたが収穫の時期が稲作と重なったり労力がかかるため辞め、6~7年前から銀山地区で盛んに作られているミニトマト(キャロル10)の栽培もしています。

稲作もトマト栽培も正解がなく結果がどうなるかわからないところで1年1年考えながらやることが面白いと感じています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

この先の10~20年で高齢化により農家が減ると思いますので、人不足が課題になると思います。

現時点で地域全体で直面しているという状況ではないので具体的に何か対策をしていることはないのですが、もちろん機会があれば何かしたいとは思っています。

水田農業は知識も初期投資も必要なので新規就農がしづらいということもありますし、1枚の田んぼの区画が広ければ効率は良いですが、この辺りの地域は岩見沢など平らな地域と違い枚数が多くなる傾向があるので効率は良くないと考えています。

あとは、できれば子どものために時間を作りたいと考えています。人によっては仕事を休んで時間を作ろうと考える人もいると思いますので、性格によると思うのですが、私は夏場に泊まりで出かけたりすることは、仕事上できないかなと思っています。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

時間がかかっている作業で言うと草刈りがあります。水田周りの草刈りは毎朝1時間かけてやっていたり、全体的には年に3回ほどやったりしています。

また、この辺りの地域で3分の1くらいの農家さんがトマトを作っていると思いますが、収穫や選果は手作業でやっているのでそれに時間がかかっていると思います。これは機械を使うこともできますが費用がかかるので、このあたりでは水田がメインということもあり本当に忙しいという状況でないと利用はしないかなと思います。

また、可能性は低いと思いますが、海外の方や企業が来るなどで人が増えることがあれば大きく変わっていくと思います。就農者を呼ぶという点ではテレワークでの就農も時期にもよりますが可能だと思いますし、新規就農の難しさに対して資金面のサポートや技術研修などができるのではと思います。銀山米が誰もが知るブランドになったらそれも大きく変わるきっかけになると思います。

一今後の目標を教えてください

水田が9ヘクタールほど、ミニトマトで4棟のビニールハウスを持っていますが、人を雇わずに家族経営をしています。このやり方は特に変えようとは思っていないので、その範囲で規模を増やしていければと考えています。

ただ、規模を増やすためには効率良くする必要があるので設備を増やすということも検討する必要があると思っています。また、もっとおいしい銀山米が作れれば良いなと思います。将来的に自分の実力が付いたらJICAなどを通じて育成という観点で海外の方の受け入れなどもできたら面白いと考えています。

編集後記

話を伺った感想として最初に思い浮かんだことは、良い意味でストイックであるということでした。決して何が正解ということはないという仕事でありながらも、少しでも良い品質のものを作るために全エネルギーを注いでいるということに職人気質を感じました。
一方で、農業だけではなく様々な取り組みにも興味をお持ちで、一例ですが海外の方の育成といった高い志をお持ちなので、今後の活動が楽しみです!

-コーディネーター紹介-

ID 鹿児島県薩摩川内市・北海道仁木町・福島県矢祭町

あさい まさし

浅井 将史

千葉県出身、1982年生まれ。
2012年 株式会社VSNへ入社し、ITエンジニアとして就業しながらVI活動を推進。
2019年 地方創生に興味を持っていたところ、社内で地方創生VIのプロジェクトが発足されたことを知り鹿児島県薩摩川内市チームとして参加。
薩摩川内市の経験を活かし、2020年から北海道仁木町チーム、2021年から福島県矢祭町チームとして参加。