観光の力で南伊豆の海の美しさを伝えたい!

静岡県南伊豆町

くわはら ひろゆき / つつみ りょうすけ

桑原 弘行 / 堤 亮介

桑原 弘行 ※写真左
生まれも育ちも南伊豆町。静岡県立下田南高等学校卒業後、就職氷河期の最中で、南伊豆町観光協会と出会い、就職。以来約20年近く、現在の観光協会で働いている。
堤 亮介 ※写真右
出身は神奈川県藤沢市。前職では知人とともに会社立ち上げを行い、バックグラウンド業務を務めた。2019年に南伊豆町へ移住し、地域おこし協力隊に参加、現在は南伊豆町観光協会に勤務している。

一どんな活動をされていますか?

桑原さん>観光協会の役割の一つは、情報発信です。SNSの運用やHPの更新を通じて、南伊豆町の魅力発信に努めています。特に現在は、コロナ禍による観光運営の難しさがありますが、足を運べなくても南伊豆町の魅力を多くの人に知ってもらおうという気持ちで、発信力は大切にしています。

私は生まれも育ちも南伊豆町ですが、観光協会での仕事を通じ、故郷の魅力を再認識させられました。特に海については、日本全国でも有数の美しさがあると感じていますし、この海から離れたくないという気持ちが、南伊豆町に長年住んでいる理由になっている気もします。


堤さん>南伊豆町には、藤沢に住んでいた頃からよく海を目当てに遊びに来ていました。以前は知り合いと会社を経営していましたが、仕事に疲れ果て、大好きな海のそばに移住したいと考えていた矢先に、南伊豆町地域おこし協力隊の募集を見つけました。移住については、妻にも賛同をもらえたので、意外にすんなりと移ってこられた気がします。

移住を機に2019年から南伊豆町地域おこし協力隊として、石廊崎オーシャンパークの運営に携わり、施設内での接客やイベント企画などに従事してきました。2021年4月より、南伊豆町観光協会に在籍することとなり、どうしたら南伊豆町に人を呼び込めるのかということを考える毎日です。

一今やっていることについての課題はなんですか?

桑原さん>人口減少に加えて高齢化率が40%を超えている現状の中、どのようにして南伊豆町の観光業を盛り上げ、町に人を呼び込むか、ということは永遠のテーマでした。
しかし今や、コロナ禍という別の課題も降りかかってきてしまいましたね。特にコロナ禍における観光業は、旅行を控えるべきという世相に大きく影響され、人を呼び込みたいけど呼び込めないというもどかしい状況が続いています。

そんな中でも、観光協会として打ち手を尽くさないわけにはいきません。今我々ができることは、いつか旅行ができるようになったときに向けて、世の中の人々に南伊豆町のことを知ってもらい、南伊豆町に行きたいと思っておいてもらうことだと思います。そのためにもやはり、情報発信には力を入れています。

堤さん>観光事業者さんによって、熱量や価値観が異なる点には難しさを感じています。観光協会としては、やはり人を呼び込むことがミッションになるわけですが、人手や設備の問題から人を呼び込みすぎても運営が回らなくなる事業者さんもいます。さらに、これまでの通りのやり方に倣いたい方、最低限の生活水準を保てればそれ以上の呼び込みは望まれていない方、など様々です。
南伊豆町は、住民同士があらゆるコミュニティで繋がっているので、一方の意見だけを尊重することは揉め事の原因にもなります。

観光地として栄え、投資をしなくても多くの観光客が訪れた時代があったため、わざわざ人を呼び込むことにお金や労力を使う必要がないという考え方もあります。
そんな中で、観光協会の人間として、地域のために何ができるのか?日々模索する毎日です。

また、私は移住者でもあるので、移住環境の整備も一層進めば良いなと感じていますね。南伊豆町は、食は非常に充実していますが、住居と仕事探しにはとても苦労します。
特に住居に関しては、移住者の方々は、最初は貸家に住むことが多いのですが、貸家の場合、制約なども多くあり、希望の家が見つからず移住を断念するケースもあるようです。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

桑原さん>都心部にいながらも、南伊豆町の魅力を実感できる仕組みができれば良いですよね。地理的な問題や、コロナ禍を気にしなくて済むようなオンラインでの繋がりが増やせれば、南伊豆町のことをより多くの方に知ってもらうことができると思います。他にもデジタル技術を使った新たな観光資源の創出ができたら嬉しいです。例えば海辺でのプロジェクションマッピングの実施なんかは面白そうですね。

堤さん>観光施設へのクレジット決済や電子決済の導入を進めてみたいと感じています。課題としても捉えていますが、事業者の中には従来のやり方や、現状に不満を抱えていない方々がいます。そのため、電子化を進めることが必ずしも南伊豆町にとってのベストなのか、という点が非常に難しくはあるのですが、少なくとも観光客の方々にとっては電子化が進むことで訪れやすくなる要素でもあるのではと思いますね。

一今後の目標はなんですか?

桑原さん>目標というと大げさですが、やはり自分が企画、運営したイベントで来場者の方々が楽しんでくれることが何よりの喜びです。例えば、来場者の方が「また来ます!」なんて言葉を言ってくださると、心からこの仕事をやっていて良かったなあと思いますよ。あとは、SNS運用もしているので、アクセス数が伸びていたり、反応が日に日に増えていくことも、些細なことですがやりがいを感じますね(笑)。

堤さん>南伊豆町のリピーターを増やすことですね。2回以上訪れてくれるということは、それだけ忘れがたい地域の魅力があるのだと思っています。それは、観光資源だけでなく地域の人の良さという点にもあります。地域の良さを、人を通じて感じられる、そんな魅力が南伊豆町にはあると思います。

編集後記

お二人とも、とにかく海への愛が強い印象を受けました。さまざまな課題を抱えながらもその地域に住む、その地域で生きていきたい、と思う活力の源は、その土地やその土地の景色を愛することなのだと感じます。観光協会の方々が、心からその地域の魅力を実感してくれていることは、訪れる人にとって最高のお出迎えになるのではないでしょうか。コロナ禍で筆者もなかなか南伊豆町へ足を運べない状況が続きますが、夏の青々とした海の景色をみることを心待ちにしています!

-コーディネーター紹介-

ID 静岡県南伊豆町

すがはら まい

菅原 舞

千葉県出身。大学卒業後、旅行代理店に入社。法人営業として、企業向けの社員旅行や視察、研修など様々なイベントの企画・運営を行う。学生時代から地方再生に携わることを目標にしていたが、旅行代理店でのBtoBビジネスでは限界があることを感じていた矢先に、VSNの地方創生VIプロジェクトを発見。転職を決意し、2020年12月にVSNへ入社。現在は法人営業として、企業向けの技術者派遣を行う一方で、地方創生プロジェクトに参加している。