一どんな活動をされていますか?
森健二さん—
出身は隣町の余市です。高校を卒業後、数年間の会社勤めをしてましたが、居住していた仁木の消防が職員募集をしていて、既に結婚もしていたことから、公務員になることを決意、今年で11年目になります。消防では警防係を担当していて、災害の警戒・防御に関する事、消防資機材や車両管理等を行っています。身近なデジタル化としては、消防無線がアナログからデジタルに変わったことですね。機能面では大きな変化はありませんが、通信の繋がり易さ、全国・北海道・管内といったチャンネル数が多く、格段に良くなっていると思います。
石﨑大地さん—
学生時代まで小樽で生活していました。高校時代に公務員を目指し、札幌の専門学校を卒業後、仁木消防に入り、10年目になります。
消防では予防業務を担当しています。建築物の消防同意や火災予防条例に関する各種届け出に対する審査を行っています。
最近のデジタル化としては、菅総理の時に印鑑廃止の通達があり、これまで書類で行っていた審査がメールでも対応可能となり、申請者・我々ともに非常に楽になりました。
一今やっていることについての課題はなんですか?
森健二さん—
緊急出動時に、通報者や関係機関と連携する必要がありますが、この情報共有がスムーズにできていません。火災の場合だと、警察や北電、北ガスなどが主な関係機関です。通報時の情報、現場到着後に判明した情報、関係機関毎に把握している情報が異なる点など、電話や無線など連携手段も複数あるため、もっとスムーズな情報共有が行えたら良いと思います
石﨑大地さん—
火災調査などの業務も担当しており、調査後に立面図や平面図を作成します。事務作業ですが、この図面作成がとても大変なんです。専用ソフトを使用しているものの、図面作成に多くの時間を費やしています。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
森健二さん—
火災の場合、人命最優先のため、火災現場の家は何人家族なのか、家族と連絡が取れているのか、連絡が取れていないのか、それによって活動内容が変わるので早期に把握したいですね。一番難しいのは通報者が通行人の場合です。たまたま発見して通報してくれただけなので、初期段階では情報が何もない中で活動しなければなりません。
他の関係機関も同様な認識かも知れませんが、こういった情報共有の改善を話し合うような機会がないのが実情です。
石﨑大地さん—
現場写真をPCに取り込んだら、図面が出来上がるような仕組みがあると非常に手間が省けると思っています。また、平面図を作成する際にも、手書きの図から図面化してくれるような自動化が可能になると作業が大きく効率化できると思います。
一今後の目標はなんですか?
森健二さん—
昨年、救急隊長になりましたが、未だ経験不足な部分もあり、どんな事案に対しても臨機応変に対応ができるように知識と経験を増やし適切な判断を下せるよう日々努力しています。現場での不安は一緒に出動した下の世代に伝わってしまいますので、自分がしっかりしなければ!と考えています。この隊長であれば、安心してついていけると思える隊長になりたいと思います。
石﨑大地さん—
自分自身は予防業務に長く携わっていますが、法律が絡むため難しく、当初は非常に苦労しました。それでも自分なりに工夫しながら継続し、予防関係の資格取得を目指したことで知識が深まり、自信がつきました。この経験や知識を自分よりも下の世代に伝えていきたいです。
編集後記
人生初、消防隊員の仕事について勉強させて頂きました。インタビュー前は安易に、火災や救急がメインの消防の皆さんにはITやデジタル活用のイメージがつきませんでしたが、不勉強さを大いに反省しています。
火災調査後の図面起こしや、緊急出動時の情報共有、ITエンジニアが支援すべきことが多々あることに気づかされたインタビューでした。
DX推進が叫ばれるなか、私自身含め、ITエンジニアが真っ先に飛び込んで行くべきは、『人命優先』の現場ではないかと強く感じました。