一どんな活動をされていますか?
栃木県で若者と地域を結びつける活動を行っています。団体として立ち上げたのが2015年で、2018年に法人化しました。かれこれ10年以上小山市で活動しています。
2021年7月には、小山駅西口徒歩3分のみつわ通りにある空き店舗を改修し、コワーキングスペース「SEKEN(セケン)」をオープンしました。実は、小山駅の西口は昔ながらのまち並みで高齢化が進んでおり、若い人が来づらいという印象があります。まちの印象を変えたいと思っていましたが、駅前で1から何かを作るとお金がかかります。そのため、今あるものをうまく活かして新しいコンテンツを生み出せる場所を作りたいと思い、空き店舗からコワーキングスペースを立ち上げました。
「SEKEN」の立ち上げには多くの学生も関わっており、地域の大人と色々な場所で思い出を作りながら一緒に活動を進めています。活動を通じて一緒にまちを作っていくという楽しみを持てる人が増えればいいと思い、色々な活動に若者を巻き込んでいます。
一今やっていることについての課題はなんですか?
若者と地域の接点が少ないと思います。幸いなことに、私たちは昔から地域での活動を一緒に進めている白鷗大学の先生にご協力いただき、団体を立ち上げた時から学生と関わることができていました。しかし、地域と連携をする学科や制度がない大学も数多く存在しています。そのため、同じように地域で活動をする人の中には、なかなか学生と関わりを持てないと悩んでいる人もいます。
一方で、最近では大学の設備が充実しており、24時間利用することができるラーニング・コモンズという空間が多くの大学で整備されています。昔の学生はまちのファミレスで勉強していましたが、今は大学で何でもできてしまうので、昔に比べてまちで勉強している学生の姿を見かけなくなったように思います。
若者が地域との接点を持てないと、まちで働いている社会人の姿を若いうちに知る機会が本当に少ないと思います。そのため、就活が始まった学生がインターンに行っても、社会人のリアルな面がわからないという声をよく聞きます。このような状況から、若者と地域を繋ぐきっかけが必要だと感じています。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
地域で働く社会人の生き方や、面白い働き方をしている人、様々なことをやっている人がいるということを若者に知ってもらいたいと考えています。地域の人を身近に感じてもらうことで、新しい人材が地域に根付くことに繋がると思います。
これまでにも、魅力的な人と出会えるから「首都圏ではなく小山で就職したい」と言ってくれた学生たちと何人も会ってきました。「これからも地域と繋がっていたい」、「このまち面白い」と思ってくれる人もいました。最近では、多様な人たちが「SEKEN」を利用してくれているので、そこで出会った人たちの働き方や役割を外に発信していきたいと考えています。
そのためにも、活動の広報でSNSやHPなどのITを活用しています。チームメンバーには移住者交流会で出会ったプロブロガーのママさんも活躍しています。自分でIT技術をうまく使うことができなくても、チームを組むことで活動のレベルが格段に上がりました。IT分野に限らず、今後も世代や職能を超えた多種多様な人たちと仲間になりたいですね。
一今後の目標はなんですか?
まずは、「SEKEN」を通じて色々な職種や世代の人が働ける場を提供し、人と人とが自然に出会える場を作っていきたいです。また、「SEKEN」は駅前にあるので、多様な人たちが立ち寄りやすいという利点を活かし、観光業や旅行業のようなことをやりたいです。例えば、まち歩きのツアーや色々なお店を紹介する企画を考えています。
その他には、小山駅西口の通りにはまだまだ空き家が多いので、空き家をうまく活用してチャレンジショップのような場所を提供したいです。小山駅西口の通り全体をチャレンジストリートにできると面白いと思います。新しく何かチャレンジしたいと思っている人たちが、物事を始めやすい環境づくりを進めたいと考えています。今後も、色々な活動を通じてまちを作り上げていくプレイヤーを増やしていきたいです。
編集後記
古河さんは高校生の頃、地元の人に声をかけて自分でサッカークラブを作った経験をお持ちで、昔から地域に関わっていたそうです。一方、藤本さんは、最初は地域に対して大きな課題意識はなく、社会人1年目の頃に週末にやっていた地域のイベントに顔を出したのが、地域活動を始めたきっかけだったそうです。きっかけの違いはありますが、地域に関わりたいと思ったらどんな人でも明るく、活発に、そして温かく迎えてくれる場が小山にあると感じました。「SEKEN」に行けば多様な人と出会える、そこで何かやれそうな気がする、ということを想像しながら、お話を聞いていてずっとワクワクしていました。