一どんな活動をされていますか?
元々実家はこんにゃく農家でしたが、農業高校で花の勉強をした後に「矢祭園芸」という花の生産会社を立ち上げ、経営者兼、育種家として40年以上活動を続けています。
育種には特に力を入れていて、生産品が農林水産大臣賞をはじめ、様々な賞を受賞するなどしています。
今では生産会社としての「矢祭園芸」だけでなく、販売会社として「グリーンルーツ」という会社も立ち上げ、生産品のWeb販売も行っています。
一今やっていることについての課題はなんですか?
課題はいくつかありますが、1番は矢祭園芸の生産品をより多く広げる為の人材の獲得と育成です。
実は今ラズベリーの生産に力を入れていて、今後矢祭町をラズベリーの国内生産量1位の町にしていきたいという思いがあります。元々ラズベリーの苗は日本の土地と合わず、国内での生産は難しいとされていました。しかし、私たちは日本の土地で元気に育つラズベリーの育成に成功しました。元々、国内での生産量は少ないので、生産量を上げることができれば全国1位も難しい話ではありません。あとは、協力してくれる人財を増やしていくことができれば実現できる目標だと考えています。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
私たちが作ったラズベリーの苗は強い苗に育っているので、新規就農者や兼業農家の方でも育てやすい品種になっています。しかも、四季狩りできるので生産コストに対して得られる利益も見込めます。そういった、私たちのラズベリーの苗に魅力を感じ、そこに対する私の思いに共感してもらえる方々と一緒に生産をしていきたい。その為にも私たちの情報を、SNSやHPを活用してより広く発信していく必要はあるのかもしれないと感じています。また、ノウハウの共有に関しても、紙のマニュアルに留まらず動画コンテンツ等を活用していくのも面白いと思います。
一今後の目標はなんですか?
ここまで様々なお話をしましたが、矢祭町へ貢献するという点においては、まず私たちのラズベリーを矢祭町の農家数を増やす起爆剤にしていきたいと考えています。
積極的に新規就農者、兼業も受け入れて、生産をトライしてくれる人を増やすことで農家を増やし、高齢化によって農地が荒れるのを止めることもできますし、新しく農家になってくれる人が来てくれれば人口増加にも繋がります。
生産にトライしてくれる人々に対しては私たちが生産のノウハウだけでなく、一緒に販売のお手伝いもすることで継続的なものに繋がると思いますし、そこに対して矢祭園芸としてもロイヤリティーを頂くことで私たち自身にとってもプラスになります。
実際に1名、今年で矢祭に来て3年目になる方なのですが、矢祭園芸に研修で来て、そこから今年土地を借り、地元の方と結婚して農業を始めるといった方もいます。
そういった人たちが増えていくことで矢祭町が盛り上がっていってくれれることが私の目標の一つです。
編集後記
当初この取材は1時間弱を想定していましたが、金澤社長の熱い思いと様々な歴史に取材をしている私も次々と質問をしてしまい、結果的に2時間近くの超ロングインタビューとなりました。
この記事だけでは書ききれない金澤社長の育種に対する思いや様々なストーリーを伺い、心から農業を愛されているのが伝わってきました。
金澤社長の考えの中で特に面白かったのは、同業の方々と積極的にノウハウを共有していこうとする姿勢でした。
ライバルにノウハウを共有してしまうということは、自分の事業を脅かしかねないのでは?と、お話を伺った時は感じましたが、そうではなく、同業が盛り上がることで市場が拡大し結果的に自分のところにも返ってくるんだ。というお話を伺い、大変高い視座を持って農業に取り組まれている方なのだと感銘を受けました。