伝統に挑戦 浪花酒造10代目社長

大阪府阪南市

なるこ かずひろ

成子 和弘

江戸時代から続く、大阪府で最も古くから創業している酒造メーカー『浪花酒造』の10代目社長。幼い頃から自分が家業のお酒造りを継ぐということは念頭にあった。大学卒業、国内大手のワインメーカーに就職し、お酒造りの価値観を学ぶ。その後、家業を継ぐため地元阪南市に戻ったキーパーソン。

一どんな活動をされていますか?

地域の人に丹精込めて造った日本酒を知ってもらうべく、「はんなん産業フェア」や「はんなんフード・グルメフェスティバル」などの地域のイベントに参加しています。他にも、地元の田で酒米の田植え体験など町おこしのための活動にも力を入れています。

今はどのSNSからお仕事につながってくるかわからない時代ですので、PR活動ではホームページの多言語化などの整備だけでなくFacebook・ Instagram・Twitter・LINE@などのSNSでの発信にも力を入れています。ブログでの発信もしていますが、よほど浪花酒造に興味がある方しか見にきてくれないですね。その分SNSでは投稿を偶然見てくれたりする人もいますし、投稿は無料なのでいいですね。

一今やっていることについての課題はなんですか?

40年から50年前には5,000軒あった日本酒を作っている会社が、日本酒の消費量が落ち込んできている現在は1,000軒ほどになり、年間100軒が廃業していく現状があります。それだけ日本酒が飲まれなくなってきている中で、他社と如何にして差別化するかが大事になってきます。

差別化の一つとしてSNSに力を入れておりますが、アルコール飲料を広告媒体で発信できないという制約があるのが辛いです。

もう一つは、浪花酒造に酒蔵見学や酒造り体験しに来てくれる方がもっと増えればいいなと思っています。海外の方が初めて日本に来たときはまず有名な観光地に行きますね。例えば、日本の伝統文化を知りたい人は京都と奈良、遊びたい人は道頓堀とかUSJに行ってしまいます。海外旅行2回目、3回目となってくれば各々興味がある場所に行くので、ウチにも来てくれると嬉しいんですけれどね。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

ITのことは息子に任せていますし、率先して自分で動いてくれているので困っていないですね。息子は海外に留学していたということもあり、ホームページを英語対応にしてくれましたし、InstagramやTwitter、LINE@を開設してくれました。直売所のクレジットカードや電子決済を可能にしたのも息子です。
ITの部分や使い方は困ってませんが、やはりSNSで広告を打ち出すときにアルコール飲料が規制されているので、何か他の良い方法で発信できれば日頃繋がっていないフォロワーさんにも発信できるのにという気持ちはあります。

一今後の目標はなんですか?

日本酒をさらに世界に広めていきたいという思いがあります。
今の所、阪南市で収穫できるお米を浪花酒造の日本酒に使用している割合は、全体の2〜3%くらいとなっています。時代の流れが徐々に”地産地消”と言われてきているので、もっと地元のお米を原材料に使って造っていきたい思っているところです。

ただ、例えば海外の方にとっては原材料が阪南市のお米100パーセントであったとしてもあまり関係がないです。国内で販売することに関してはやはり”地産地消”が大事だと思っています。海外の需要と国内の需要でターゲットが異なるので、アプローチは分けて商品開発を考えています。

編集後記

チャレンジ精神とサービス精神の鑑のような方という印象を持ちました。日本酒造りという伝統は残しつつ、他社といかにして差別化するかという点でSNSでの宣伝広告活動やホームページの多言語対応など、創意工夫を凝らされているのが素晴らしいと感じました。取材後にはご好意で、有形文化財にも登録されているご実家や、成子社長のピアノ・琴の演奏、さらには手品まで見せていただき、社長のお懐の深さに感銘した次第でした。

-コーディネーター紹介-

ID 大阪府阪南市

ふじわら やすし

藤原 靖士

2021年6月にModis(旧VSN)へ中途入社。以来、システムインテグレータのAWS主管部にて業務の自動化やセキュリティ業務に従事。様々なことにチャレンジし、自分の視野を広げたいという思いで複数のプロジェクトに参加。地方創生VIもその一環で参加しており、多くの学びを吸収している。