人との“つながり“を大事にするブランド「IZUBLUE」

静岡県南伊豆町

たかはし みわこ

高橋 美和子

埼玉県三郷市出身。小学校1年秋に父の実家である南伊豆町へ転居。高校卒業後、下田市のアパレルショップの店長、同市内の歯科医院の歯科助手を経験。27歳の時に静岡市清水区へ転居し、結婚、出産。32歳の時に南伊豆町へ戻り、町内の建設企業に就職。本業の他に空き家活用事業やADDressの南伊豆拠点のコミュニティマネージャー担当し、令和3年に念願の個人のアパレルブランド「IZUBLUE」を設立した。

一どんな活動をされていますか?

2021年に個人で「IZUBLUE」というアパレルブランドを設立して、Tシャツやパーカーなどを販売しています。「IZUBLUE」というワードは自分の中で絶対にこの伊豆地域で爆発的に盛り上がるだろうと思い、ブランド設立前から個人のInstagramにタグ付けして投稿していました。「IZUBLUE」は「伊豆の空と海」を意味していて、ロゴを作る際には昔アパレルショップで働いていた時に知り合ったデザイナーさんと話し合いながら制作しました。

販売を始めたときにこれまで関わってきた人たちが買ってくれて、SNSに載せてくれています。そこまでPRに力入れなくても、人との関わりで「IZUBLUE」が広がっていくのをとてもうれしく感じています。

本業としては、長田建設工業の総務課で働いています。2015年から働かせてもらっていて、建設業のイメージを変えたいという社長の想いから、既存の企業ロゴや名刺、作業着のデザインを一新するために、アパレルショップ時代の経験や知り合った人たちの繋がりを活用してプロデュースをしました。おかげで社内イメージが大きくアップデートされて、東京や静岡で就職説明会を実施し、移住希望者の採用活動をするなど企業として以前よりも活気が出るようになりました。

2020年には長田建設の社長が設立した地方創生事業や企画プロデュース事業などを行うBLUE LaIZUでは民泊の予約やアルバイト、物品の管理などを、長田建設工業の総務の仕事と並行しながらやっていました。今はその仕事からは抜けましたが、そのときはアルバイトのシフト管理や連携、お客様とのコミュニケーションをとりながら運営にLINEで連絡を取り合ったり、民泊の予約システムを駆使したりと充実していました。

また、近所の方から空き家になるから使ってと言われて購入して物件を自分好みにリフォームした物件を空き家バンクに登録して町の移住希望者への物件提供や民泊もできるようにしました。ほかにもADDressという多拠点生活のサービスの南伊豆拠点もマネージャーにもなり、いろんなおもしろい方々とつながってコミュニティを活性化しています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

南伊豆では移住者の受け入れや企業の誘致を行っていますが、まだまだほかの地域から来られる方と南伊豆の方との距離には少し開きがあるように感じています。なかなか難しいですが、地域の人が歩み寄っていくには何が必要なのかを考えています。

長田建設工業にいるといろんな企業さんからの地方創生や地域活性化のお話を身近で聞くことができ、自分の事業においても参考になる話もあったりします。ただ、南伊豆の誰かがやってみて良かった!という意見がないと話が前に進まないというのが地域性のようにも感じています。

元々、南伊豆には活動的な人たちが少ないし、地域内で生きていくには十分な生活があるから挑戦的なアクションを起こす機会が生まれにくいと思っています。最近だとコロナ禍の影響で町に観光客が来ないということがあっても、各自が生計の母体を持っているので、焦りもなく受け身の人が多く、目立ったアクションを起こす人が少ないと感じています。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

南伊豆にいてもなんでも挑戦できるいうことを可視化していきたい。私はオンラインショップで販売しているアパレルを自分で着て、SNSに載せています。そうすると実際に商品を見たいって言う人もいて、実際の販売に繋がることが多く、定期的に南伊豆で日にち限定のポップアップショップを開催もしています。県外にいる地元民、南伊豆や伊豆が好きな方に向けて商品以外にも南伊豆の天気を投稿したりして、フォロワーの方が楽しみにしてるという声をいただき嬉しいです。カッコつけた写真を撮るとかではなく、IZUBLUEの服を好きだって言ってくれる人を撮って投稿することで、庶民的で服を着る行動原理に繋がっていると思います。

クリエイティブなことはちょっとハードルが高いかもしれませんが、世の中で使われているソフトやアプリを活用して挑戦していく、そういうことが南伊豆の人たちのスタイルに合った挑戦のスタートラインじゃないかと思っています。

一今後の目標はなんですか?

「お金をかけなきゃ色々できない」は違う、ということを自分の活動を通して証明したいと思っています。私のこれまで経験してきたことは南伊豆の他の人にでも実践できることだと思っています。

最近はInstagramの講習会を開いて、仲間の事業のPRサポートをしています。SNSが苦手な仲間が今では上手にInstagramの投稿をしていて、順調に展開しており結果を感じてくれていて自信がついている様子が感じとれます。地元の仲間同士、お互いで励ましあいながらお互いの事業が成功できるように過ごしていきたいです。

また、個人的な活動でいえば、私がいるからその空間に行きたいと思われるようなIZUBLUEの名前で何かを作りたいです。何かはまだ考え中ですが素敵なタイミングを待っています。

編集後記

前年のフィールドワークからIZUBLUEの存在は認知していて、高橋さんとは面識は一切ありませんでしたが、パーカーを購入させていただきました。インタビューの9ヶ月前に一瞬だけお会いしたのですが、そんな些細なこと覚えていただいて、人の顔を覚えているという特技を実感させられました。
高橋さんは人との繋がりをとても大事にされていて、南伊豆から離れた人たちにも南伊豆の天気が伝わるようにインスタグラムを投稿されています。自分もフォローさせてもらっていて、アプリを開く度に南伊豆にまた行きたいなぁと思っています。

-コーディネーター紹介-

ID 静岡県南伊豆町

さかい だいち

酒井 大地

1993年生まれ、長野県飯田市出身。
大学卒業後、システムエンジニアとして中小企業に入社後、様々な現場を経験するため2019年Modis(旧VSN)へ転職。現在はデータサイエンティストとしてAI開発やデータの分析に従事している。その他にRPAツールやBIツールを用いた社内DX推進を行っている。2021年からは地方創生VIや産学連携に参画し、対企業だけでなく社会への貢献ができること視野に入れて活動している。