World Standardな和紙の世界

高知県日高村

ちんぜい ひろよし

鎮西 寛旨

1949年創業。 世界一薄いと言われる和紙「土佐典具帳紙」を機械漉きするため、オリジナルの抄紙機を開発。 和紙の専門家には思いつかない和紙の利用方法を常に模索し続けている。

一どんな活動をされていますか?

世界でもっとも薄い和紙(0.02㎜)を製造できる技術を持っている会社です。和紙の使用用途で最も多いのは、神社仏閣等の文化財や芸術作品の修復で、次はちぎり絵、その次はインテリアとなっています。

日本では国立公文書館が、文化財となっている古文書の修復を行っています。その技術を習得するために、世界中の職人が国立公文書館に修行に集まってきています。修復に使用されているのが、私たちがつくっている“世界でもっとも薄い和紙”なのです。

修行を終えた世界中の職人が、自国で文化財修復を行うときもこの薄い和紙が使われる状態になっています。薄い和紙は文化財修復には無くてはならないものとなっています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

海外の方とのやり取りが増えているのですが、英語人財が不足しています。私しか英語を話す事が出来ないので、海外からのメールや海外での商談はすべて私がやっているのが現状です。

また、原材料であるコウゾの生産量が減っているので生産量を上げようとしている動きがあるのですが、まずは和紙が売れるような仕組みを作らないといけません。

コウゾの生産量を増やすのは、和紙を売って儲けられるようになってからだと考えてます。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

海外からの視察や注文に私自らが対応しなくてもよくなるので、もっと違った和紙の使い道を考えることができるようになると思います。

ITを使う事で、言葉の壁をなくす事もできるかもしれません。

一今後の目標はなんですか?

文化財の修復を通して、当社は世界の文化のハブになることを目指しています。

編集後記

社員数わずか10名ほどの決して大きな企業ではありませんが、そこで作り出される和紙は文化財修復の世界では必要不可欠なものとしてWorld Standardとなっていることに驚きを隠せなかった。また、様々な業界と協同するチャレンジ精神が、和紙の未知なる可能性の礎になっていくのだろうと感じた。

-コーディネーター紹介-

高知県日高村

ふくや かずたか

福谷 一孝

愛知県生まれ。2005年に株式会社VSNに入社。双子の育児に奮闘中。