一どんな活動をされていますか?
実家が祖父の代から農業を営んでおり、私で3代目です。農家の長男なので農業を継ぐことは考えていましたが、普通科の大学を卒業後は一般企業に就職しました。27歳の時に結婚や子どもができたことを機に農業を始めました。
鉾田市はメロンの産地なので以前はメロンを中心にトマトや葉物などを作っていましたが、自分が就農してからは、メロンやトマトなどをやめてイチゴに集中して生産しています。
イチゴは天候などに大きく左右され、日によってイチゴの味にもばらつきがあります。だから、その日のイチゴを試食してもらい納得してから購入いただくようにしていて、自信がないときは売りません。
現在は、知り合いの農家でつながりをもって、お客様をシェアするような取り組みも行っております。
それぞれの農家の生産物(イチゴ、メロン、ナシなど)の時期が異なるので、年間を通じて旬の生産物を作っているところを紹介したりしています。
一今やっていることについての課題はなんですか?
鉾田市は、気候的にも環境的にも農業を行うには恵まれています。農協が2つもあって、それでもやっていける鉾田市はやはり農業が強いと思います。みんなが仕入れに来てくれる市場のように、人が集まる状況になっていけば良いと思います。
また、これまではJAに卸すだけでしたが、市を挙げてブランド化もすすめているので、農家が生産物の販売経路を増やしていくことも必要だと考えています。各農家のブランド化はまだまだ始まったばかりですが、鉾田市もふくめて茨城県は売り方が下手です。
それ以外には、現在イチゴ栽培にハウス内の環境データ(換気・温度・湿度、CO2など)の見える化も行っているので、親の代が感覚で行っていたものを数字で見ることができるようになりました。そのため効率的な栽培が可能となり、生産量も増えてきています。
しかし、そのデータの蓄積まではできていません。活用できればもっと効率的になるとは思うのですが、PCなど得意ではないので、できていないところもあります。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
これだけの農業生産地域なので、農業をテーマに1日中鉾田市で遊べるようなテーマパークがあれば、農業のアピールにもなり新たな雇用も生まれてくると思います。そして鉾田市に観光に来てくれたり、お土産を購入してくれたお客様の傾向分析、行動分析をすることでアピール方法も違ってくると思います。
今までは、隣のうちや地域はライバルと思う傾向があり、自分だけ伸びればよいという古い体質もあったのですが、鉾田市の生産物がよいとなればブランドとなり全体の単価もあがっていくはずです。現在はみんなで伸びていこうという想いを持った方も増えてきています。
また現在は、農業とそれ以外の業界、農業内でも生産物別のつながりがありません。連携を推進していきたいという話もあるのですが、本業の農業で忙しくそこまで手が回っていないのが現状です。ネットなどの活用方法が改善できれば新しい発想がでてくると思います。
それ以外にもICT導入による生産性向上は感じられているので、今後はデータの価値を高めていければ、自分たちも楽しいと思える農業ができるのではないかと思います。自分たちが辛い思いをして仕事してもかっこよくないですからね。
一今後の目標はなんですか?
村田農園を中心にイチゴ農家があつまって作った「SSネット」を通じて、かっこいい農業を目指しています。「SS」とは、“ストロベリー”と“創造”の頭文字のSをとっています。
自身が栽培したものをブランド化して、しっかり利益もあげて、楽しいと思われる農業をすることで、子どもたちに憧れられる職業にしていきたいです。そのためにも、テレビや雑誌に取り上げられることも大切だと考えています。
編集後記
農業(農家)について、昔はコンプレックスがあったという宇佐見さん。
現在はIT導入とその効果も実感されており、自身が生産するイチゴに対する自信とプライドを持たれていることを感じました。
知り合いの農家の方々とつながりを持ちながら新しい取り組みも積極的だったことも印象的で、ぜひかっこいい、子どもたちの憧れる農業を目指してもらいたいと思います。