一どんな活動をされていますか?
現在は、鉾田市、日立市、鹿嶋市、水戸市など茨城県を中心にダンススタジオを複数経営しています。もともと、鉾田市内で写真屋さんを営む父とピアノの先生の母という家庭に生まれ育ち、高校までは地元で暮らしていましたが、高校在学中に進路を考え始めたとき「一度きりの人生!やりたいことをやりたい!」と次第に強く思うようになっていました。
そんな中、母親からの「外でたくさんの経験をしてきなさい」といった後押しもあって、憧れていたダンスの専門学校へ行くために上京しました。卒業後はダンス仲間のコネクションを通してダンスの仕事をしながら、自身のダンス技術を磨くためレッスンに毎日励んでいました。拠点を板橋、西荻窪、埼玉、浦和、松戸、柏→東京、埼玉、千葉と移しながらテレビやCM、コンサートのバックダンサーなど様々な活動と様々な出会いを経験しました。そして6年前には独立し、鉾田市にSKrhymeダンススクールを立ち上げ、今に至ります。
一今やっていることについての課題はなんですか?
ダンスを通してたくさんの子どもたちと触れ合ってきましたが、鉾田は環境に恵まれているのが原因なのか、子どもたちにはハングリー精神が足りないように思えます。
周りの同級生は、地元で就職し、地元で結婚、地元で家を建てることが多く、自分のように、ダンスをするために東京へ行くような存在は異色でした。鉾田は新しいことをやりたがらない、出る杭は打たれる、そんな地域だと感じた時もありました。一方で、昔から繋がりを大切にする地域なので、一度繋がると結束力はとても強いのが特徴です。
今回VSN社が鉾田の抱える社会問題をヒアリングに来ると聞いたとき、私はすぐにこの事実を伝えたいと思いました。ここを上手く解きほぐすことができれば、鉾田が発展できるのではと感じています。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
子どもたちにはダンスといった自己表現を通じて、自身の殻をやぶり、新しい事へ挑戦し、突き抜けた考え方、突き抜けた存在になってほしいと強く思います。ダンスコンテストなど、大勢の人の前で力いっぱいダンスをする勇気やその経験があれば、どんなことだって乗り越えられるはずです。
茨城のダンス界隈は、まだまだ職人気質のところはありますが、徐々に新しいやり方を受入れる方向に向かっています。VRやインスタ、TikTokなどの動画配信、IT技術を活用すれば、表現をする場所が地域から、世界へと一気に広がっていきます。
仮想空間においては、スタジオのような場所がなくても、自分が躍るスペースさえあればいいんです。一方で、生のライブでしか味わえない感動や興奮もあるのは事実です。リアルな世界とデジタルな世界とが交わることで想像もしない未来が待っているはずです。
一今後の目標はなんですか?
ダンススタジオの生徒を大きく増やしていこうとはあまり考えていません。目が届かなくなり、内容が薄くなってしまう。IT技術の活用など新しいことを取り入れるためには、まずは教える側の自分たち自身が、凝りかたまった考えを改める必要があります。
継承すべき教えや軸を守りつつ、変化を取り入れ、新しい価値を伝えられる存在になっていきたいと思っています。
編集後記
鉾田に生まれながらもダンスを通して様々な出会いと様々な経験をしてきた根本さん。
自己表現をする場所、自己表現をする機会の重要性を唱える一方で、鉾田市の住民がその場所や機会を望んでいない事実に、もどかしさを感じているように思えました。
10年後、20年後の鉾田を支えていくのは間違いなく今の鉾田に住む子どもたちです。根本さんが経験した外での様々なことを引き続き伝えて行って欲しいと思います。