覚悟を持って挑戦する者に “失敗にやさしい町“ づくりを

北海道仁木町

やなせ えいじ

梁瀬 英司

東京都出身。都立高校時代、山手線をつかって通学していた時から東京からの脱出願望を抱き、地方大学を志望し、北海道大学へ進学。大学卒業後、銀行や信用金庫などの金融機関へ約25年、ITシステム企業へ5年ほどの勤務を経て2020年3月、札幌にある北海道大学発のAIベンチャー「株式会社 調和技研」へ入社し、管理部門の責任者として活躍されています。
<日本経済新聞にて掲載> https://s.nikkei.com/3o8S2UJ

一どんな活動をしていますか?

北海道大学発のAIベンチャー「株式会社 調和技研」の管理部門の責任者として活動する傍ら、家族の所有する農地で果樹栽培にもチャレンジしつつ、新規就農者の拡大に取り組んでいます。また、コロナ禍における新しい働き方を実現できる、新しい就業場所の拡大にも取り組んでいます。

余市に住んでから17年。地域住民とお互いに助け合えた時、よそ者から地元民として認められた、なじむ事ができた気がしました。地域によりそう、という言葉は簡単ですが、その土地で生まれ育った者からみれば、よそ者はいつまでたってもよそ者でしかない。よそ者だからこそ、気づく事も多いので、様々なことにチャレンジしてきました。

もちろん多くの失敗(大ケガ!?)がありましたが、その経験から学ぶことは非常に大きかったです。経済を回す仕掛けづくりという視点で、次の世代がチャレンジしやすい、失敗にやさしい町、そんな仁木町にしていきたいです。

一今やっていることについての課題はなんですか?

若者が集まらない点ですかね。その理由を探すといくらでも出てきますが、一番の問題は就学や就業の場所や機会がないこと、さらに、若い世代がこの土地に来たとしても、新しい文化になじみ、古くから住む住民とどう信頼関係を作っていくか、ということだと思っています。

今年、新型コロナが流行し、テレワークが一気に進みました。実際に使ってみて気づいたことは「会わなくても仕事ができる!」ということでした。だだし、「お互いに信頼関係がある」ことが前提です。

信頼関係さえあれば、顔を合わせなくても仕事ができる、そこに気づかされたことにより、新しい就業場所を創出することで、この土地に若い世代を集める事ができるかもしれない、そう感じています。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

「類は友を呼ぶ」という言葉があるように、新しいことにチャレンジする多くの若者が集まってくれる地域にしたい想いがあります。仁木町は農協の組織率が低いことからも分かるように、個人事業者としての文化があり、独立色が強い地域でもあると思っています。

地方にこそ、距離と時間を一気に縮めるテクノロジーが必要だと思っています。柔軟な働き方ができる環境があれば、チャレンジする若い世代を呼び込み、定着させることができるかもしれないと思っています。

もしかしたら、都市部の仕事を持ちながら全国のまわり、その土地の産業を支援するような働き方ができるかもしれない。ジプシーのような。

一今後の目標を教えてください

これからの産業は、テクノロジーの活用自体が標準化されてくると思いますが、「的外れなサービスを提案し続ける」サービス提供者と、「要望を言えない、表現できない」ユーザ、という具合に両者には大きな距離感があります。

デジタル人財には、提供者・利用者両方の目線を持ち、テクノロジーを活用した社会を実現していくことが求められます。

在宅だけでなく、別荘やリモートオフィスを活用して負荷なく幸せに働きながら生活する、新しい生活様式を実現する中で、いくつもの仕事を持つパラレルワークが増えてくると思っています。そのような働き方をする、若い世代を呼び込めるような環境を用意したいです。

若い世代を呼び込み、人と人を繋ぎ、チャレンジを支援できるような仕事をしていきたいと思っています。

編集後記

ITやAIの話から農業、教育にわたるまで幅広い話をさせて頂き、インタビューではなく、商談というノリで、あっという間の1時間30分でした。

『ビジネス的な損得勘定は余裕がある人の発想で、地域ではお金のやり取りではない行動原理が基本、だから田舎はお金が要らないんだ』と笑って仰いましたが、“ハッ“とさせられる一言だったように思います。都市部で働いている中で、私たちは本当に感謝される事・感謝する事、助け合う事って実は少ないのでは?と。。。

信用金庫時代には3金庫による大規模な合併で、地域への関わり方が大きく変化していく姿に耐えられなかったそうです。ビジョンを大切にされている事が伺えるエピソードで、とても印象に残っています。

このように確固たるビジョンを持ち、チャレンジを応援してくれる先輩がいる環境で働ける若い世代は、とっても本当に幸せだと感じました。

最後に「ジプシー×ITエンジニア」は、是非、立ち上げてみたい事業の一つになりました!!!その時には、必ず、梁瀬さんに相談させて頂こうかな、って思います。

-コーディネーター紹介-

ID 茨城県鉾田市・北海道仁木町

たねはた けいじ

種畑 恵治

種畑 恵治(たねはた けいじ)。1976年、札幌生まれ、44歳。
大学卒業後の1999年、VSNへ入社のため上京。主に組込み系のソフトウェア開発エンジニアとして、約10年お客様先にて業務。2008年から社内の委託・請負サービス部門にてプロジェクトマネージャーとして、プリセールスや受注したプロジェクトの管理業務を実施。
2018年1月から2年間、技術研修部門の管理、2020年1月より未来創造グループ長として、VSNのアセットを使った新たな価値創造を目指し活動中。