水田農業のパイオニア!

北海道仁木町

きだ けいた / きだ けんいち

木田 啓太 / 木田 憲一

木田 啓太さん〈左〉 木田 憲一さん〈右〉 祖母の代から農家をしており、憲一さんが3代目、啓太さんで4代目となる。合計33ヘクタールと銀山地区の中で最大規模の作付面積を所有。憲一さんは兼業農家から始め30歳頃から専業農家へ。息子の啓太さんも高校卒業した後に間もなく就農。

一どんな活動をしていますか?

[憲一さん]
60年ほど前の祖母の代から水田農家をしています。最初は赤井川村から始まりましたが、40年ほど前に仁木町で農家をしている親戚が離農する話があり、そのタイミングで仁木町に移りました。最初は叔父の建設業も手伝いながらだったので兼業農家という形でしたが、20年くらい前に専業農家になりました。

[啓太さん]
自分も最初から農家になるつもりでした。高校卒業してすぐ農家になる予定でしたが、父から農家をやる前に3年間世間を知っておいでと言われ農業以外の仕事に就職しました。ただ、就職1年目で隣の地区で引退される農家さんの水田を引き受ける話があったのですが、祖父と父だけでは手が回らないということで決意をして農家になりました。

一今やっていることについての課題はなんですか?

[憲一さん]
水田農家をしている方で引退をされる方が今後増えていくのではないかと思いますが、そのあとの担い手となる人が少ないということです。若い人で40代という感じなので、20代・30代の若い農業後継者がいれば任せたいと思うものの、任せるチャンスがないというのが現状です。技術的な面でも農業改良普及センターが年に3~4回講習会や勉強会を開いたり、銀山地区でも銀山米研究会をしていますが、稲作は昔から“親が教科書”で見て学ぶ形だと思うので就農の難しさもあると思います。

[啓太さん]
銀山・長沢・尾根内地区で20代の農家は自分だけだと思います。同級生でも祖父が農家をしている人はいましたが、父が農家という人がいなかったので農家を継ぐという形がないと思います。それに加えて水田の新規就農は設備投資も必要になりますし、父が言ったように栽培技術を教えてくれる人がいないので収量が少なくなる可能性が高いので、若い人が手を付けるには難しいのではないかと思います。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

[憲一さん]
体の負担軽減と作業の効率化をしたいと思い、ドローンを使って農薬散布をしています。これまでは田んぼ一枚一枚をぐるぐる回り、農薬用のろ過した水の交換で行ったり来たりもするので4日半かかっていましたが、ドローンを使うようになって1日半で終わるようになりました。ドローン自体とランニングコストは高額ですが、効果は大きいので面積が広ければコストは薄まり導入する価値はあると思います。農業機械の共有は難しいですが、農薬用のドローンであれば複数の農家で共有することはできるかもしれません。後は生産性を上げるものとして何kg収穫できたかを計れる収量コンバインもあります。これはGPSを使って地図が自動作成されるので場所ごとの収穫差がわかり対策を考えることができます。他にもドローンで上から生育状況を見ることで肥料の効き方をみることもでき、そのデータを活用して生産性を向上していくことができると思います。

[啓太さん]
費用はかかりますが整備した水路とWi-Fi環境があれば水田の水位を自動で調整できるものもあります。水位確認にはかなり時間がかかるのでその削減もできて、兼業農家で朝時間が取れない人にはかなり良いと思います。

一今後の目標を教えてください

[憲一さん]
現在33ヘクタールありますが、まだまだ広げていきたいと考えています。また、まだ試験的な段階ですが密苗栽培も今後導入していきたいと考えています。気候に左右されやすい栽培方法ですが、苗を作るハウスの棟数が少なくてすみますし、作業時間の短縮やコスト削減になると思います。収量もポット栽培よりも落ちるかもしれませんが、しっかりとできれば変わらないくらいできるのではないかと考えています。新しいものでこの地域に合いそうなものは試していきたいと考えています。面積が広いことで試験的に何かを導入するということができるので、それで良い結果が出れば他の農家の方達にも話ができるのではないかと思っています。観光農業というわけではないですが、耕作放棄地を利用して縛りをなくして自由に農業をしてもらうなどの企画で、都心の人達も呼び込めるようなことができたら面白いのではないかと思います。

編集後記

ドローンを活用しているということは事前に知っていたので色々取り組まれていると思っていましたが、実際に話を聞くと水田農業に活かせることはどんどん試していきたいというチャレンジ精神に溢れるお二人でした。良いと思うものはまずは自分達がテストし良ければ周りの農家さんにも伝えたいという姿勢や、品質向上に向けた研究会への参加、地域における農業の今後とできることは何かを考えているということから、まさにリーダー的存在だと感じました。
これからもどのような取り組みをされていくのかがとても楽しみです!

-コーディネーター紹介-

ID 鹿児島県薩摩川内市・北海道仁木町・福島県矢祭町

あさい まさし

浅井 将史

千葉県出身、1982年生まれ。
2012年 株式会社VSNへ入社し、ITエンジニアとして就業しながらVI活動を推進。
2019年 地方創生に興味を持っていたところ、社内で地方創生VIのプロジェクトが発足されたことを知り鹿児島県薩摩川内市チームとして参加。
薩摩川内市の経験を活かし、2020年から北海道仁木町チーム、2021年から福島県矢祭町チームとして参加。