町の笑顔の元、銀山学園!

北海道仁木町

ぎんざんがくえん

銀山学園の皆さま

[板岡さん]銀山学園の施設長。高校の時に知的障がいの女の子と出会ったことをきっかけに、知的障がい者のための施設で福祉サービスの勉強でボランティアを行い、後に銀山学園に就職する。
[小菅さん]銀山学園と同じ法人の「陽だまり」という知的障がいの就労支援B型の施設を運営している。
[加藤さん]銀山学園の総務部長。事務、施設管理から会計を中心に行っている。業務の他にも地域活動の方をメインに活動中。
[高橋さん]今年の4月から銀山学園の支援部長に就任。仕事は、同じ法人の別施設で自閉症支援をしていた際に培ったノウハウを銀山学園に取り入れるために活動中。

一どんな活動をしていますか?

[板岡さん]
銀山学園で施設長をやっております。銀山学園は1970年に開設され、道内で4番目の障がい者支援施設です。知的障がい者の自立支援施設で、利用者は日中24名、夜間100名です。施設の利用歴が長い障がいの重い方も多く、平均年齢も60歳を超えています。そのため、知的障がいの支援をしながら介護サービスも行っています。

施設では毎年開催される「ふれあい祭り」、いわゆる学園祭を行っています。今年はコロナ禍で中止になってしまいましたが、毎年多くの地元の方々や子ども達にお手伝いいただき、「ふれあい祭り」を開催していました。

私が学生の頃、実習でここに来た際にものすごく楽しくて、本当にこれが仕事で良いのだろうかと思うほどでした(笑)。昔は養豚や野菜を作ったり、みんなでいろんな創意工夫して毎日好きなことをしていました。年数を重ねて、責任が出てきてからは利用者さんのためにどのように運営していったらいいかなどを考えるようになってきて、結果的に、仕事を始めて何十年も経っていました。

[小菅さん]
銀山学園と同じ法人で隣にあります、「陽だまり」という知的障がいの就労支援B型の施設を経営しております。日中は42名ほどでグループ法人が銀山、仁木町など7箇所あり、32名暮らしているところの管理所になります。

「陽だまり」はずっとジンギスカン、ソーセージなどの加工肉を作っていましたがコロナ禍で赤字を抱えていて、今年の3月いっぱいでやめることにしました。今は、花を育て、ドライフラワーにしたものを東京の東京堂に卸すことが主力になっています。

他にも最近ではニンニクを育て、それを黒ニンニクにして商品化しました。黒ニンニクは健康商品で有名で巷では結構高いですが、うちのはすごくリーズナブルなんですよ。というのも通常は肥料費がかさむのですが、肥料はうちの施設で作ったものなので安く提供できます。味も流通しているものと遜色なく、ニンニクも掘り起こしちゃえば、椅子に座ったまま収穫やシール貼りなど高齢者でも比較的行いやすい作業なので黒ニンニクにシフトチェンジしました。

[加藤さん]
銀山学園で総務部長をしております。事務、施設管理から会計を中心に行っております。ただどっちかと言うと業務よりも地域活動の方が主な活動になります。やはり事務目線からして経営が厳しいです(笑)。

地域活動は主に仁木町を中心に、柔道などスポーツ少年団関係、スキー教室、あとは花火大会のお手伝いなどもやります。銀山学園自体が地域活動を推奨しているため、できる範囲で活動を行っております。

[高橋さん]
銀山学園の支援部長をやっております。仕事は支援がメインで僕が現場に入ることは少なくなっていて、寂しい思いをしております。支援の方は、同じ法人の別施設で自閉症支援をしていて、そこで培ったノウハウを銀山学園に取り入れるために今年の4月から銀山学園にきています。僕も地域活動に駆り出されることが多く、何か催し物が出るたびに呼び出されています(笑)。今、43歳で周りに比べて若いため、町内会長、連合町内会の役員などなんでもやっています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

[板岡さん]
福祉サービスでは人手を確保するというところですね。僕らが入るときは以前と比べて利用者さんと一緒に活動する場面が減ってきました。利用者も高齢化してきているので介護の比重が多くなってきて、利用者さんと何か一緒に何かするという時間が減ってきていて、するとそこに人が集まらないという悪循環になっているように感じます。
催し物の準備なども数人でやらなければならず、楽しむよりも忙しいと感じるようになる。新しい企画とかよりも今年もこれで良いかなど楽さを重視するようになってしまっています。

[小菅さん]
就労系であるが高齢化で重労化しているので、作業に集中してもらうことが厳しいのですが、なんとか高い工賃に変えられるように頑張っているところです。あとは黒ニンニクは大量に売れるわけではないので安定した工賃になりにくいです。うまく軌道に乗せれられたらなと思っています。

[加藤さん]
総務の事務仕事などでも求められる仕事が多岐に渡るようになり多くの仕事を抱えているためIT化できるところはしたいなと思います。

[高橋さん]
10数年前くらいから高齢化も相まって福祉の流れが変わってきていて、専門性のある支援が求められたり、また人権問題も厳しくなった影響で仕事も多岐に渡るようになり、なかなかなりたいという人が増えないですよね。仕事量は年々、増えていって運営指導や証拠資料の作成が多くハンコの量もかなり量でハンコの消費量はすごいですよ。早く電子サインにしてくれ!って思います。他にもIT化にして欲しいことはたくさんあります。

コロナ禍で不景気になっても福祉の人手が増えないのは何でだろうと考えた時に、みなさんの福祉に対するイメージは賃金が安い、業務がきつい。というがあると思うんですよね。このイメージだと就職先の選択肢になかなかならない。さらに福祉業界でも知的障がいはマニアックな分野なので余計人が集まりづらいと思います。

また日本もなかなか知的障がいの方々に会わないような政策をしてきていて、接する機会がないので、知る機会がない。だからこそ仕事で選ばないという現状だと思うんです。また福祉業界のCMが下手だなと思いますね。CMを上手くするともっと業界に人が流れると思います。ネガティブなイメージが先行しているので、もっとポジティブなところをアピールして欲しいですね。

あと、業務内容は利用者それぞれの生い立ちを理解しながら職員が判断していなきゃいけないです。利用者の行動予測などは経験則がほとんどで属人化しているので同じ対応でも異なる人がやると半分の結果しか出ないなどがあるのが難しい点です。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

[板岡さん]
現状でも利用者に関するデータを取るようにしていますが、このデータをもとに行動予測や利用者の行動の予知をできることが望ましいです。今は職員同士で共有して動いていますが行動予測がデータとして出れば職員も動きやすく、転倒防止などの対策にもなりやすいと思います。

[高橋さん]
管理職なので判断をすることが仕事ですが、自分よりAIの方が正しい判断をするのではないかと思います。将来的には管理職がいなくても良いのではないかと思いますね。なので利用者の方々と接するところに人を割いて他の仕事部分を機械に任せられるようになっていくだろうと思います。

利用者の方々はいろんな人と話したい。でも職員はバタバタしていてゆっくり話を聞く時間がない。そういう時に例えば、ペッパーくんみたいなロボットが会話をしてくれるだけでも、利用者の心の支えになりえると思います。あとはドライブに行ってトイレ休憩をする際には、10何人も利用者を連れていくことになるので30分以上かかり、また、食事にも車椅子で一人一人連れていくので、車椅子も自動化するだけでも助かります。

個人的には、行動認識のカメラがあり、転倒を検知したりするカメラなども導入していくべきだと思います。利用者の中には、ナースコールのようにボタンを押すというのが高度な作業となる方もいるため、自動で行動を認識して、何かあった際に職員を自動で呼ぶツールなどがあれば良いですね。

一今後の目標を教えてください

[板岡さん]
連携面です。正直、福祉業界内だけではなかなか改変など難しいのではないかと思います。どのような人たちと連携を取っていくかが鍵になると思います。

[高橋さん]
人手が集まらないので、テクノロジーに頼らないと福祉業界は生きていけないと思います。障がいには特徴があり、障がい者支援のアプローチは変わらない部分もありますが、福祉という業種は戦後から約70年ほどしか経っていないので、ノウハウが確立されていないんですよ。

例えば、自閉症の方々の高齢期というのは、今まさに初めて迎えている状況です。関わっているスタッフは常に最先端の仕事に携わることになるため、今後のためにデータを残していくことが大切だと思っています。
また、業界としてもアナログで残っているデータを将来のためにデジタル化していかないといけないと思います。しかし、日本ではデジタル化がなかなか広まらないのが現状です。アプローチの仕方が難しいですが、アカデミックと連携してデジタル化を推進していきたいです。

編集後記

銀山学園の利用者の方々や地域のコミュニティーと繋がりを持ちながら、楽しくお仕事をされていることがひしひしと伝わりました。また、福祉業界は歴史が浅いということを知り、次の時代へノウハウを引き継いでいくため、デジタル化を推進する大事さも学びました。
ただデジタル化がとどこおっている現状があり、なかなか前に進まないとのこと。こういった現状を現場外の我々は知ることがなかったので、大変良い機会となりました。また、デジタル化の推進は我々の得意分野だと思うので、手助けできる部分があるのではないかと思いました。
コロナ禍で楽しいイベントが軒並み中止されているとのことなので、落ち着いたらみんなで是非、銀山マラニックなどに参加して、利用者の方々などと交流したいです!

-コーディネーター紹介-

ID 北海道仁木町

いとう たかひと

伊藤 貴人

東京都生まれ、東京都育ち。幼少期から大学時代までサッカーをしていて、中学、高校とクラブチームで二度の全国大会を経験。現在の趣味はゴルフ。大学卒業後はSIerに入社し、名古屋で自動車メーカーのシステム開発に従事。2018年に株式会社VSN(現Modis)入社。現在Web系のプロジェクトにて社内システム、サイトの作成、運用・保守などを担当。大学時代のゼミで地方創生について研究、社会人になりゼミでの活動を活かせないかと思い地方創生VI、北海道仁木町チームへ参画。