一どんな活動をしていますか?
鉾田市でイチゴを生産しています。かつてはメロンやスイカやトマトも生産していましたが、今はイチゴ専門で生産しています。
一今やっていることについての課題はなんですか?
直近の課題は、データのデジタル管理ですね。市場にイチゴを出荷すると、価格や品質のデータが市場からFAXで送られてくるのですが、こちら側でデジタルデータにするのに人力で打ち込みをしなければならず、使えるデータにするまでに手間がかかります。
また、そのような例も含めて、各企業と農家間のEDI(電子データのやり取りによる受発注)の環境が整っていないと感じます。ハウス内の土壌管理や気温管理に一部AIを使ったシステムを導入していますが、データ判断でのコントロールができても、予測判断に基づく高度なコントロールができていない部分もあり精度を上げていきたいところです。
大きな課題としては、世界から見た日本のイチゴ生産に課題を感じています。海外で「ストロベリー」といえば加工が前提の農産物ですが、日本の「イチゴ」は生食を主とする単価の高い農産物です。世界で「イチゴ」として高品質なものを売り出していく戦略を、オール日本ですべきです。
しかし、現状はイチゴの品種開発はオール日本ではなく、各県でやっていますし、香港の店頭で日本のB級品のイチゴが安値で売られているのを見かけることがありました。これでは日本の「イチゴ」のブランド力が落ちてしまいます。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
ハウス栽培でのAIの精度を上げたいという話をしましたが、それだけではなく、最適な畝を自動的に作ったり、ミツバチに交配させている受粉作業をドローンの風で自動化したりと、IT化の可能性はまだまだあると思います。
データ管理の話も、農家側だけではなく、市場側でデータ管理や分析をしていただき、それを農家にフィードバックしていただくなどのインテリジェンスな仕組みがあれば、市場自身が持つ価値も上がってくると思います。
一今後の目標を教えてください
次の世代につながる、カッコいい農業を目指しています。子どもたちが憧れて積極的に農業に関わっていくようにしたいですね。実際に先進的なスマート農業を目指して農家同士でコミュニティを作り情報共有や勉強を行っています。
編集後記
ともかく、村田さんのイチゴ生産についての意識の高さに驚かされました。世界の中での日本のイチゴを意識していながら、消費者目線でイチゴの生産や販売を考えられていて、更にIT化も積極的に進めていて、まさに「カッコいい農業」を率先して体現されていると感じました。
ハウスでいただいたイチゴも驚くほど甘く、ご本人が「イチゴをPRするためのショールーム」と表現される直売所の自家製イチゴシェイクも美味しく、アピール力や商品開発力の高さにも驚きました。