一どんな活動をされていますか?
生まれも育ちも仁木町で18歳まで暮らしていました。札幌へ就職し、関東での勤務を含めて営業職として36歳まで勤め、UターンしてJA(当時、仁木町農協)にお世話になりまた。56歳の時にご縁があって、仁木町商工会の事務局長となり、今年で10年目になります。
商工会は地域の小規模事業者を支援する団体であり、決算支援や伴走型の経営支援、労働保険の全般、食品衛生協会や法人会の事務局、女性部や青年部などの取り組みがあります。それと仁木町商工会特有のものとして、外国人技能実習生の支援事業を実施しています。現状の会員数120の事業者を対象に、事務局長・経営指導員・補助員・記帳専任職員の4人で運営しています。
一今やっていることについての課題はなんですか?
商工会として全国的な課題は会員数の減少です。ただ、仁木町商工会は北海道でも珍しく、会員数は増加しています。10年ほど前になりますが、会員数減少に歯止めをかけるため、それまで会員ではなかった農家さんを受け入れることにしました。農家さんはとにかく人手が必要なため、外国人技能実習生の支援事業を始めました。農家さんも法人化している方が増えてきたこともあって、当時104まで減少した会員数が現在120まで持ち直しています。
ただし、農業関連の会員は増えているものの、商業関連の会員はますます減少しています。今では会員120のうち、35%が農業関連です。仁木町の人口ピーク約8000人の当時、仁木町も商店街があり、商工業者だけで会員が180程度だったため、そこと比べると大きく減少しています。これは仁木町だけではないですが、規制緩和により大型店舗ができ、地元の商店街には大打撃でした。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
本来は商工業者を増やして、活性化させるのが商工会の役目なんですが、正直なところ、難しいです。IT技術を活用して、EC化を考えることもできると思いますが、業種が限られているところもあります。
ただ、地元だけを見ていると、外部の情報に触れることがなく、人口減少・少子高齢化を背景に商工業はもう無理という固定観念が植え付けられてしまい、新しい発想が生まれないことが一番の課題だと思います。そういう意味で、VSNさんとのこういう場もそうですが、同じ状況の他の地域ではこういった取り組みがあるよ、この業種ではこんなやり方で売上が伸びた等の事例を教えてもらうような機会が必要だと思います。
一今後の目標はなんですか?
コロナ禍で技能実習生が2年間、仁木町に来れなかったため、来年こそは予定どおりに事業を軌道に乗せ、農家さんを支援したいと思います。
また、これからは単に技能実習生を増やすのではなく、特定技能への移行を進めて、正規の労働者として仁木町で長く働いてもらう必要があると考えています。現状、仁木町でも技能実習生として3年経過して、特定技能へ移行した人が5人います。継続して仁木町で働いていただいていますが、こういう方々は仁木町のことが好きなので、同じような仁木町ファンを増やしていきたいと思っています。そのための環境作りに取り組んでいます。
編集後記
仁木町商工会は会員の皆さんには当たり前のような存在ですが、決算支援や経営支援、労働保険などの具体的なお話を聞くと、コスト面の効果だけではなく、無くてはならない存在であることが分かります。一方で、会員数減少は商工会自体の存続にも影響することを忘れてはいけません。
仁木町商工会の経緯からこの町の歴史の一端を勉強させて頂きました。昨年に引き続き、今年もフィールドワークを実施させていただきましたが、やはり限られた時間では断片的な情報収集になります。藤山さんのインタビューを通して、今後も住民の方から多くのことを学ぼうと改めて認識しました。