全社体制で街づくりを推進する若き2代目リーダー

栃木県小山市

いそやま たかし

磯山 貴志

小山市の小山工業高等専門学校の機械工学を専攻。小山高専を卒業後、鹿沼市(小山市から車で1時間程)の工業系の会社に勤務。25歳の時に実父が経営する株式会社アクリーグに入社。42期の2021年7月代表取締役社長に就任。

一どんな活動をされていますか?

株式会社アクリーグは、現在42期目の行政事務支援を主な事業としている会社です。1980年に先代である父が株式会社太陽地図を創立し、1990年に株式会社アクリーグへ社名変更しました。2021年7月より私が代表取締役社長に就任しております。行政事務支援では、課税業務のコンサルや業務で利用するシステム(GISを利用した地図上にデータを展開するシステム等)の導入提案等の業務がございます。

別の業務や活動としては、小山市とのまちづくり業務に取り組んでおり、地方自治体の課題を一緒になって考えていくことで、もっと地域に根差した企業になるべく活動しています。その一環として「おやまいち」というマルシェを開催しており、弊社にて運営事務局を担当しています。これは公園利活用事業という小山市の事業で事業者として採択いただいたことで始めたものですが、市から予算を頂戴して行う委託事業ではなく、事業者の予算で事業を実施して開催するものになります。事業者マルシェでの売り上げの一部を頂いておりますが、逆に市に公園の使用料をお支払いしており、赤字が大きくて困っているのが正直なところです(笑)。

しかし、単体での売り上げを目的としているわけではなく、まちづくりの観点や、楽しさを社員に経験してもらうことが目的なのでその部分においては成果が出ております。

また、私個人としては青年会議所の理事も担当しています。主に小山市をはじめとする地域をどうやって盛り上げて行くか検討し、発信していく活動をしています。青年会議所でFacebookを利用してオンライン花火大会を実施するなど、デジタル化、オンラインでの活動を強く推進しています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

新卒の方がIT企業として弊社の面接を受けられる方がいます。私の思いとしては、アクリーグをIT企業として認識されるのは避けたいと思っています。仕様書に沿ったシステム導入は同業他社もたくさんおり、結局は価格競争に参加しなければなりません。中小企業としての独自提案、臨機応変にまちづくりの観点を社員には持ってもらいたいと思っています。

ただ経営者と社員の間には目線が違うということもあり、なかなか難しいです。そこで、普段の業務で関わることがない他業種の方、例えば電気工事の業種の方達のお話を聞く機会を設けることで圧倒的な刺激になります。現在弊社で取り組んでいる、街路灯のLED化事業においては、弊社社員と電気工事店の代表の方が直接話す場面も多くございます。違う価値観や業種の方と多く交流することで、どういった人たちが我々のシステムを利用するのだろうと想像力を伸ばしてもらっています。ITとは結局手段として利用するものとして整理し、包括的な成長をしてもらえればと思います。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

青年会議所の運営では、コロナ禍によりデジタル化を迫られました。運営委員の中には、打合せのデジタル化について反発する人も出てしまいました。伝統を守るという意味だと思いますが、今まで通り対面で実施する要望がありました。Zoomなどのリモート会議の成果に対して懐疑的な方もいました。

しかし、実際にやってみると、そういった声に反して目的を持って会議を実施して短時間で成果をあげられるので参加者からは概ね好評でした。また参加した人は各自の会社に持って帰って、新たな取り組みとして取り入れようという話が出たのも嬉しかったですね。

Zoomでの打合せも難易度は高くない手順ですし、デジタルツールを利用してみようと考える人が増えていっている状況だと思います。昨年の夏にはオンライン花火大会等を実施し、新たにWeb系技術者の方と繋がりができており、デジタル化への可能性を感じています。

弊社内でも、ITを利用して新しい取り組みを始めました2021/9月中旬よりAmazonConnectを利用した在宅コールセンター業務を立ち上げています。新しいツールが出てくると新しい働き方を提供できて在宅ワークへシフトしていけるジャンルも増えるのではないかと思っています。

一今後の目標はなんですか?

在宅ワーカーを育てていくことが大きな目標になります。
在宅就業支援にて身に着けたスキルセット(PC全般知識、office等)を得ても、活かす道がなかなかなかったです。そこで10年ほど前より、NPO法人在宅はたらき隊という組織を設立して、に自治体の事業として行った在宅ワーカー育成事業の卒業生を受け入れて、弊社からの委託作業をやってもらうスキームを用意致しました。

当時の背景として、在宅ワークは文字入力等の単価が1文字1円未満など非常に安い案件が仕事の多くを占めていました。その状況を改善するために、弊社の業務補助として電子地図SWの利用の仕方を勉強してもらい、なるべく高単価の仕事を依頼できるようにしていきました。また他社様と共同で、オペレータ、地図の編集を学習するコースを交えて、卒業生は50名、会員登録者は30名ほどと太田市での成果を挙げることができました。

しかしながら今後在宅ワーカーを育てていくためには、在宅ワーカーの熱量を増やすことを課題と感じております。弊社から業務を依頼しても、稼げる金額は月5万円いけばよいといったレベルですので、在宅ワーカーのモチベーションが次の案件まで持つ人がいない状況です。在宅ワーカーのスキルを伸ばしつつ、高単価の案件の発注、受注できるスキームを作っていければと思います。

編集後記

お話を伺っていて、磯山さんは、会社の発展は小山市の発展と共にあると強く思っておられるようでした。なんとも地元愛溢れる方で、新しいことに挑戦したい、自分が社員を引っ張って行く、そういった気概をひしひしと感じました。
今後、DX推進を意識していくとなると、地元のIT技術者でありながら、地域活性化を目指す磯山さんは、地方創生VIのキーマンになっていくのではないかとお話を聞きながら考えました。代表になられて間もなく、若く非常にデジタル推進に対しても厚い思いを持たれている方なので、コロナが明けたら是非、オフラインで飲み会ができればと思っております(笑)

-コーディネーター紹介-

ID 栃木県小山市

たちはら としひこ

立原 俊彦

2020年1月中途入社。インフラエンジニアとして10年以上客先業務を担当。2021年4月より地方創生VIに参画。2021年6月からの客先業務量増大、及び、2021年10月にチームリーダ就任に伴い、36協定の遵守に四苦八苦中。