人に寄り添い、学び、そしてつないでいく。企業の輝く未来を創り続ける女性起業家リーダー。

栃木県小山市

さとう はるみ

佐藤 晴美

株式会社エス・ティライン代表取締役。オンライン上からも伝わる明るい雰囲気をお持ちで、非常に親しみやすい素敵な方です。佐藤様自身、人と人とのつながりを大切にしており、コミュニケーションをとる上で、「相手と常に対等な関係であること」を意識し、信頼関係やコミュニティを拡げています。前職では液晶テレビの部材メーカで光学フィルムの設計をする仕事に従事。その後、人材育成のスタートアップ事業をするきっかけもあり、現在は株式会社エス・ティラインの代表として、県内県外含め複数の企業へ段階別、接遇、OJT等の様々な研修サービスを提供しています。

一どんな活動をされていますか?

株式会社エス・ティラインという会社で代表を務め、中小企業様に向けた教育研修サービスのご提供や人財育成に関する様々なサポートを行っております。具体的には、お客様の経営課題に対する人的アプローチとして、新入社員や管理職の方向けの研修や、OJTトレーナー初任者の方、ビジネスコミュニケーションなどの目的に特化した教育研修、ビジネスリーダー塾などのプログラムを企画・設計し、導入からアセスメントまでワンストップでご対応しております。お陰様で継続して中長期的にお付き合いいただける企業様が多く、お客様とともに同じ未来を描いて 二人三脚で人、組織の成長サポートをし続けたいと考えております。また、行政の方と共に地域産業活性のための起業家支援や、女性活躍とダイバーシティ促進のためのリーダー塾などの企画運営などを担当しています。

―なぜ 人財育成なのか?
前職(液晶テレビ部材メーカにて光学フィルムの量産化設計技術を担当)の経験が大きく影響しています。薄型テレビの黎明期でもあった当時、みるみる企業規模が大きくなる一方で人の育成は手つかずの状態でした。一介の社員だった私は「採用したからには、人の育成まで会社が責任をもつべき」と考え、自分なりに試行錯誤しながら後輩、部下育成や組織のコミュニケーション改善に取り組みました。決して効率的とは言えませんが、まずは身近なところから職場の雰囲気が変わり、やがて他部署へ伝播して生産性の向上や離職率の低下など様々な成果が得られるようになりました。何より喜びだったのは、後輩部下が期待通り、またはそれ以上の能力を発揮し、活き活きと仕事をする姿を見ること。これが人の成長に関わりたいと思うようになった原点です。

―なぜ 起業を?
上記の理由から私を育ててくれた同社を卒業し、都内の研修会社で修業をし、委託講師として活動しておりました。結婚を機に夫が脱サラをして起業(株式会社エス・ティライン設立)、私自身は出産を経て地元で子育てをしながら働ける仕事に就こうと就職活動を始めたのですが、ほぼ書類選考も通らず、一社も内定いただけない現実に愕然としました(悲)。ただ、どんな形でも「人」に関わる仕事をしていたいと応募を続ける中,ようやく都内のアパレルスタッフ専門の派遣会社様からオファーがあり、北関東圏内アウトレットショップ様を顧客とする派遣コーディネイター兼,新人スタッフさんへのスタートアップ研修講師として採用いただけることになりました。そこで、当社・教育研修事業部を立上げ、BtoBでのお取引をスタートしたのです。以降、地元・小山市の中小企業様を中心に徐々にお仕事のご依頼が増え、ご紹介やリピーターのお客様に支えられ、育てていただき、今があります。

一多くの企業様と関わる中で、最近特に感じる課題感は?

まさに予測不能なVUCA時代を肌で感じる昨今、コロナ禍でオンラインによるやり取りが増えたこともあり、コミュニケーションの課題を抱える企業様は本当に多い印象です。確かに対面コミュニケーションに比べて非言語情報や本能的反射などの感覚的なものも伝わらず、コンテキストも読みにくくなっていると思います。これにより例えばサービス業の方から、お客様からのクレームが増え、悩んでいるというお声や、ITエンジニアを多く抱える企業人事の方からは、明らかに新入社員の方の成長スピードが鈍化している、或いはコミュニケーション不全からのメンタル不調や休職者が増え、ホトホト困っているという声が聴かれます。

そこで概ね2つのことをお伝えするのですが、まずは「マスク」の影響についてです。言語・非言語で異なる、矛盾する情報を受け取った際、優先されるのは①視覚情報55%②聴覚情報38%③言語7%という有名なメラビアンの法則はご存じの方も多いと思います。マスクで覆われた部分を除くと恐らく表情のうち目視できるのは30%程度(前髪を下した女性~10%程度)と予想されます。すると0.55×0.3=>16.5%と極限られた情報でお互いを判断するしかない訳ですから、自ずと不安や警戒心を(無意識に)抱いた状態で 挨拶を交わしていると思った方が良いでしょう。だからこそ、意図的に笑顔で、身振り手振りでノンバーバル情報を補いつつコミュニケーションをとる必要があることをビジネスパーソンとしては意識したいところです。

またもう一つは、コミュニケーションの「質」を高めることが困難なリモート環境下だからこそ、「量」を高める努力をしましょう、ということ。具体的には、自宅とオフィスのように物理的に離れているとしても常時、相手の音声が聞こえるようにして顧客との電話でのやり取りや内線電話でのやり取りなど偶発的な情報が常に双方の耳に入る環境を疑似的に作る、意図的に雑談&カフェタイムをつくり日々のルーティンに組み込む、ランチタイムは画面オンにしてチームで同じメニュー食べる、〇分考えても不明ならチャット投稿、新人さんからのヘルプチャットには気づいた人全員がまず声で反応する、など。ポイントは情報伝達や行動促進を促すための「報連相」のみならず、「信頼関係」構築のためのコミュニケーションは全員の職務であることを共通認識として実践することです。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

・女性活躍の可能性について
小山市の女性活躍の可能性という部分でお話すると、小山市に住んでいる方々は個々のポテンシャルはとても高いと思っています。起業家の方は自身でファンを獲得して、サロン等を作って活躍している方もいらっしゃいます。学生たちは都内にすぐいける環境ですので、とても流行にも敏感になっていて将来への希望や展望をすごく高く持っています。こういった方々の横の連携を整えてあげることで、いままで小山市というコミュニティで行っていたものが、全国的に注目されるような活動になっていくことができると思います。

・声を上げられない人をどうすくいあげるか
自分のポテンシャルを発揮できている人はいいですが、声を上げられない人をすくいあげることも必要だと思っています。匿名性があるほうが話しやすい、相談しやすいという人もいるので、そのような人をすくいあげる話を聞いてあげられる人を育てていくことも有効な手段だと思っています。

・デジタルを使ってできること
デジタルのテーマとして、「誰一人取り残さない」というのがある中で、最低限のITリテラシーが必要であり、人材育成の点でアプローチできればいいなと思っています。

一今後の目標はなんですか?

地域の方々が集まれる場所を作ること、場所を提供できる人を育成することです。
私の会社でアシスタントとして働いている子育て中のママさんが二人います。将来的にママさん向けのセミナーや座談会をしたいという思いを持っています。そういったセミナーや座談会を身近で開催できる人、さらにはセミナーでファシリテーションできる人を育成していきたいと思っています。それが結果的に、小山市の方が輝ける場やコミュニティとしての横の連携を広げていくことにつながればいいなと思います。

編集後記

今回はリモートでの取材ということで、緊張しながら取材の日を迎えました。とても明るく、笑顔が素敵な方だなというのが第一印象です。取材を進めていく中で、どんな方でも受け入れる心の広さと、地域や中小企業の人財育成というものこだわりをもってブランディングしていることが分かりました。今後、小山市への地方創生VI活動をするにあたり欠かせない存在であると感じています。私たち小山市チームも取材をしている側ではありますが、私たちの行っている活動をとてもプラスにとらえることができました。とても貴重なお話を聞くことができたと思っております。

-コーディネーター紹介-

ID 栃木県小山市

こたじま ゆうき

古田嶋 佑希

大学を卒業後2年間小学校教諭として勤務。教師としての仕事をする中で、学校現場のICT教育の非凡さを目のあたりにしてきた。私がエンジニアとして仕事をしていく中で、学校で学んでいる子供たちに何か還元できないかと思い3年前VSNに入社。現在は、ネットワークエンジニアとして活動している。休日は、地元の中学生にバレーボールを指導している。