南伊豆町内外をつなぐ!地域イベントの立役者

静岡県南伊豆町

あんどう ひろかず

安藤 広和

南伊豆町出身。下賀茂熱帯植物園 支配人をつとめる。28歳頃から地域のイベントを動かしていく役割を担っていて今も精力的に活動している。Facebookでの発信に力を入れており、植物園内で開催されたイベントだけではなく町内で起きた出来事を魅力的に発信中。

一どんな活動をされていますか?

「下賀茂熱帯植物園」を運営しながら、南伊豆や下賀茂地域で開かれるイベントの運営委員のような活動をしています。植物園は元々東京から移住してきた祖父がはじめたものです。植物の展示だけではなくレンタルスペースとしても使えるようになっていて、講演会などの催し物や手作り惣菜の販売をしている町内団体である「野ぶきの会」の販売所としてもたびたび利用されています。

イベントとしては、青野川沿いの河津桜と菜の花の開花に合わせて2月頃に開催される「みなみの桜と菜の花まつり」に立ち上げからずっと関わっています。今は河川改修されて川幅が広がったので起こらなくなりましたが、自分が幼いころは青野川流域で度々洪水が起き、植物園も周りの商店街も何度も浸水していました。そのため当時は南伊豆で商売をする人が減ってしまいましたね。

ただ、河川改修をしたときに青野川沿いにまだ無名だった河津桜を植えてくれた人がいて。河津町の河津桜が100万人を呼ぶ観光名所になった際に、自分が撮った南伊豆町の河津桜の写真を営業先の旅行会社に持っていったんです。そこで思いのほか話が盛り上がり、商工会や観光協会、役場を巻き込んでお祭りを開催することになりました。菜の花結婚式をはじめとする菜の花とのコラボレーションやライトを川に流す夜桜流れ星などの企画が功を奏し最大42万人を動員した南伊豆町の一大イベントとなりました。

今は人力車で川沿いを走り景色を楽しむ企画や夜桜と竹あかりのコラボレーションを楽しむ企画を用意しています。この竹あかりは下田の「竹たのしみまくる下田」で使われていたものです。
他にも観光協会の背中を押して「南伊豆町100km・78km・66kmみちくさウルトラマラソン」というイベントの開催にこぎつけました。イベントは町内や近隣地域の人々を巻き込んで町民参加型で開催していくことが重要だと思います。

2012年からは東日本大震災の復興支援として津波で被災した地域に河津桜を植えるプロジェクトを推進していて、町内に募金箱を置き、集まったお金を使っています。自分たちが桜で洪水被害から復興したように東北でも3.11の時期に咲く可能性がある唯一の桜で復興してほしいと考えています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

南伊豆町には8月の海と2月から3月の「みなみの桜と菜の花まつり」以外で宿泊施設が確実に収益をあげられる月がないのが課題ですね。1年は12か月あるので、ほかの月に何かイベントを考えなければならないと思っていますが、自然がきれいというだけでは人を呼べないのが実情です。南伊豆町の自然の美しさを活かしつつ+αを考えていかなければならないと思っています。

観光は以前のバスツアー頼り、旅館頼りから少しずつ状況が変わってきていて、じゃらんなどの旅行予約サイトからの利用も増えています。一泊二食付きが当たり前ではなく、素泊りで地域に出ていくお客さんが多い中でそこにどうやって対応するかも考えなければなりません。

2020年の桜まつりでは新型コロナウイルスの影響が大きく、観光客がどんどん減っていきました。バスツアーで訪れる乗客も、最終的には1台のバスにつき夫婦一組なんてときもありました。2021年は観光バスは1台も訪れず、観光業としてはかなり厳しい状況です。イベントも対外向けに大々的に開催することは難しく、参加者を近隣地域をメインにした地域応援イベントとしての開催を余儀なくされています。

また、「発信力」も課題だと考えていて、自分自身はFacebookを中心にSNSでの発信をしていますが世間で主流になっているInstagramやTikTokなど若い人がいるSNSには手が出せていません。町内に若手が少ないのでこういったSNSを教えてもらう機会がない状況です。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

SNSでの発信には可能性を感じています。もちろん、従来通りの紙媒体も大切にしつつ、うまく両立して発信力を強化していきたいです。

これまでのバスツアー頼りの観光から少しずつではありますが、世代を問わず個人旅行にもシフトし始めているところもあります。ただ、まだまだ少ないのが実情なので今後はより広がっていくのではないかと思っています。個人旅行で訪れた人たちが楽しめる飲食店や体験の充実が大切ですね。体験の内容としては夜間や早朝にできるイベントを開催できれば宿泊客の増加や町内での消費に結びついて、もっと地域が潤うと考えています。これまでの経験があるから言えることではありますが、こういったイベントを通して参加した地域住民同士や観光客との交流もできていくと思います。

一今後の目標はなんですか?

繰り返しにはなってしまいますが、海の時期と桜まつり以外の時期に人を呼び込めるイベントを考えることです。自分は53歳になりますが、未だに若手のように精力的に活動できているので今のうちに。後ろに続いてくれる人が見えないのが難しいところですが、これまでやってきたことを軸にまた新しいイベントを始めたいという思いはあります。まだ自分たちの感覚として受け入れ切れていない部分はありますが、デジタルと絡めて若い人と一緒にやっていくということも念頭においていますよ。もちろん、これまで続けている「みなみの桜と菜の花まつり」のアップデートもしていきたいですし、東北への復興支援である河津桜の植樹も続けていきたいと考えています。

編集後記

現地でお会いした安藤さんは、ここでは書ききれないくらい濃いエピソードを次々にお話ししてくださいました。その語り口調から今までそれぞれの活動にとても真摯に取り組んできたのだろうということを強く感じました。インタビューの途中に伊豆新聞の方がいらっしゃったのですが文中でもある「野ぶきの会」の方のご自宅のFAXが故障中のため代わりに広告記事の校正紙を預けていかれました。その光景を見て、お人柄と活動力で地域の方々をつないできたのだろうなという印象を受けました。「やるなら今」の南伊豆を動かしていくにあたって今後ぜひ一緒に活動させていただきたいと思います!

-コーディネーター紹介-

ID 静岡県南伊豆町

やました ゆか

山下 裕加

茨城県取手市出身。大学以降、昼は東京、夜は茨城という首都圏郊外の典型的な生活を送ってきた。2019年7月に営業として勤めていた印刷会社を辞めVSNに入社。現在はインフラエンジニアとしてわかったような顔で「よくわからんな」と思いながらプロジェクトマネージャーへの道を歩んでいる。