「自分の仕事に誇りを持ち最高に楽しんでいる」この背中を子ども達に見せていきたい

福島県矢祭町

おしだ ようへい

押田 洋平

創業から70年続く株式会社押田製材所の3代目社長。 社長就任後、それまで紙文化だった社内のデジタル化を進め、ペーパレス化を実現。 矢祭町の未来を真剣に考えるキーマンの一人。 youtubeにて動画も展開中。

チャンネル名:おしだの材木魂!

一どんな活動をされていますか?

祖父の代から始まった創業当初は木材の製材のみを行っていましたが、創業70年(会社設立から60年)経った今では製材に加え、全国の木材、住宅設備、建材の販売をしています。また、海外からの資材も扱っています。
家具屋さんや木工屋さん等に木材を販売し、家具屋さんが購入した木材でデザインした家具を
こちらが販売するといったことも行っています。
主な取引先は福島、茨城、栃木を中心とした地域の工務店で、約600-700件と取引しています。
親方さんと「一緒に頑張っていこう!」と、業界を盛り上げるために日々切磋琢磨しながら取り組んでます。

一今やっていることについての課題はなんですか?

ネット販売について課題を感じていますね。
全国へ出荷していくと考えた時に、ネット販売にも力を入れていく必要があると考えていますが、
ネット上で選ばれる会社になっていないのが現状です。
なぜかと言うと全国へ出荷する際に商品を送るという点で難があります。
我々が取り扱う商品は3メートル4メートルを超えるものが多く、そうなると送料が非常に高くなるので、余程福島県産にこだわりを持っている方でない限り、高い送料を払ってまで購入するという方はいないですね。

また、取引先とのやりとりが紙や電話で行われているという点も課題です。
私が社長になった当初、社内の請求書や発注書などが全て紙で管理されていました。
過去の取引履歴なども紙で管理されていて情報を引っ張り出すのも一苦労ですし、字が読めない…ということもしばしば。これは流石に遅れているなと思い、紙に記載していたものをパソコン上で入力する方法に変更、いわゆるデジタル化を行いました。
社内のデジタル化によって、誰でも情報を得られて共有する仕組みを作ることは出来たのですが、
取引先となる地域の工務店の多くはデジタル化が全く進んでおらず、紙文化のままなのでFAXや電話で対応しなくてはならない状況。
私としては取引先とのやりとりもデジタル化を推進し、メールやLINEなどを活用して取引を行いたいという思いがありますが、取引先の多くは60代70代の方というのもあり、我々が先導しても中々ついてきてくれないというのが現状ですね。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

セリや展示会で活用出来ないかなと考えてます。
今コロナの影響で人を集めてセリや展示会を行うということが中々出来ない状況なので、例えばzoom等を活用してオンライン上で開催し、リモートで木材を見てもらうような仕組みが作れれば非常にいいですね。更に発展形を言うとARやVRの技術を活用してより商品の細かい部分を色んな確度から鮮明に見れるような、その場にいるような感覚で行えたらいいですね。

また、スマホであれば今大半の人は所有しているのでスマホを活用した情報共有や発信出来るコミュニティを作り、今まで以上に気軽に連絡が取れるといったことも出来ればいいなと考えています。

地域住民の中には「矢祭町には何もない」と言う人もいて、町を出たっきりで帰ってくる人がほとんどいないというのが現状です。でも私は矢祭町に住んで自分の仕事に誇りを持ち最高に楽しんでいるので、こういった背中を子ども達に見せていくことが地域の未来に繋がるのかなと考えています。
デジタル技術を活用することによって業務の効率化に留まらず、「矢祭町にはこんなものがあるんだ」と矢祭町の魅力を発信していくことが非常に重要と考えているので、町全体でデジタル化を進めて、矢祭町の魅力発信もやっていきたいです。

一今後の目標はなんですか?

どちらかというと夢に近いかもしれませんが、木を扱い木に助けられている人間として、人が生きていく上で必要な自然を意識した学校を作りたいです。
無理して人に合わせず「人と違うって素敵なんだよ」「自分は自分でいいんだよ」と自然体でいられるような、型にはまることが窮屈に感じる子どもを救いたいなと。
これもデジタル技術を活用して、例えばメタバース上に学校を作って、場所を問わず多種多様な子ども達が入学出来るということが出来たら面白いですね。

編集後記

取材で訪問させて頂いた日、立て続けに掛かってくる電話対応をしながらも嫌な顔一つもせず作業場の案内やインタビューを気さくにお応え頂き、押田さんの高い人間性を感じました。
作業場にある木材一つ一つが綺麗に加工されており、木に対する想いが感じられ、インタビューを通じてその想いは木だけではなく、矢祭町の発展や子ども達にも向けられている印象を受けました。
押田さんのこの想いに我々矢祭町チームも全力で応えていきましょう!

-コーディネーター紹介-

ID 福島県矢祭町

たなか ゆうすけ

田中 勇介

2012年にModis(旧VSN)へ入社し、約8年ネットワークエンジニアとして従事。
2020年からテクノロジー活用人財を創出する部署へ異動し、DX推進に向けた業務改善の提案から実行まで行う。
対企業のみならず、あらゆる組織・人に貢献出来る人間になりたいと考え、2022年2月から地方創生VIに参加。