一どんな活動をされていますか?
現在は矢板市観光協会・スポーツコミッションにて、スポーツ合宿の誘致と宿泊・飲食手配等の支援を行うコーディネーターとして活動しています。私は那須塩原市出身ですが、小さい頃に矢板市にリンゴをよく買いに来ていた記憶があります。
父親が空手道場の先生だったことをきっかけに4歳から空手を始め、競技者・指導者として経験を積みながら、気づけば人脈も増えていきました。その経験・人脈を活かし、矢板市のスポーツツーリズム活性化に生かせるのではないかと感じ、2017年1月から地域おこし協力隊となり、現在はコーディネーターとして活動しております。具体的には、練習場や宿泊、移動、余暇の手配など、ワンストップなプランのコーディネートをしています。自身の空手の経験から、小学生、中学生を対象とした空手道合同合宿はもちろん、スポーツのジャンルを問わず全国の部活動合宿などの誘致を進めてきました。その結果、2019年には前年と比較し、宿泊数を223%にまで上昇させることができました。
「スポーツ合宿に来てくれた人に“矢板市の魅力”を知ってもらい、矢板市民の方には“スポーツの魅力“を届けたい!」、このような想いを持ち、私は”スポーツ“を通して矢板市を盛り上げていきたいです。
一今やっていることについての課題はなんですか?
直近では、新型コロナ禍によりスポーツ合宿の宿泊数が激減していることです。「コロナ禍のスポーツツーリズム」の形を模索しているところです。
宿泊数・合宿誘致だけでなく、経営の視点やビジネス的なノウハウの共有できる環境や、アドバイスしてもらえる人がいないことも課題だと思っています。もっと効率よく進めることができるのではないかと考えます。宿泊数・合宿誘致は今まで大会でチラシを配ったり、人との繋がりで集客してきたりというのが現状です。現在、矢板市では、ビジネス研修や勉強会などは開催されているようですが、スポーツ合宿事業とはかけ離れており、物販やインフラ関係のセミナーが多いようです。
矢板市目線の課題としては、スポーツ施設の老朽化や大きな体育館などがないことが課題として挙げられますが、それだけでなく、宿泊施設、合宿施設が少なく、大規模な宿泊施設が市内にないことが課題だと考えています。コーディネーターをしていても、宿泊人数が多いイベントや合宿誘致がとれるのに、宿泊人数と宿泊施設のキャパシティが合わず、他の市に宿泊をしてもらうような機会損失も発生しています。私としては、廃校になった学校を合宿所として再活用できれば、もっと柔軟な合宿誘致が可能になるのではないか…とふつふつ考えております。
さらには、スポーツ施設の予約方法にも課題があると感じています。具体的には、市民向けの予約枠と合宿誘致を行う民間企業の予約枠や予約開始のタイミングが同じであることで大規模な合宿を柔軟に誘致できないことが課題だと考えています。多くの宿泊人数や宿泊日数を狙える民間企業の予約枠を優先的にとれるようになれば、もっと宿泊人数や宿泊数、さらに矢板市を利用していただける他の都道府県の方も増えていくと思います。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
今ある様々な課題を乗り越えられたら、矢板市を「スポーツスポット/パワーアップスポット」、「スポーツ合宿の聖地」にできるのではないかと考えております。特徴ある観光スポットや地域の魅力が多くない矢板市に足を運んでくださった皆様に対して、「スポーツのため矢板市に来たい!」、そんな目的地としての魅力ある矢板市に思っていただけるような地域にしていきたいと強く考えています。
ITを使ってできることは、合宿コーディネート業においては予約業務の時間・負担軽減です。現在、スポーツ施設のWeb上での予約システムはありますが、合宿を行う際には詳細な確認が必要となるため、電話ですり合わせをしているの現状で、柔軟に空室確認~予約確定までのプロセスが構築されておりません。楽天トラベルのように宿泊施設や飲食店、運動施設、レジャーの予約が柔軟にできるWebサイトやサービスがあれば、どんなに楽になることか、、、
一今後の目標はなんですか?
さらなるスポーツツーリズムによる矢板市の活性化、矢板市をスポーツ合宿の聖地にすることが目標です。これにより、お越しいただいたお客様、市民に矢板市の新たな魅力を伝えていきたいと思っています。近隣の日光市や那須町ほど観光資源が少ない矢板市ですが、スポーツを観光資源として、持ち味を生かし、知名度・魅力度ともにUPさせていきたいです。
コロナウイルス感染が収束したら、海外にも目を向け、武道×インバウンドといった”武道ツーリズム”を確立させていき、武道の素晴らしさと矢板市の魅力を世界に広げていきたい。そして外国人との交流も増やし、よりグローバルな街になっていくことを期待しています。
編集後記
インタビュー時には控えめに自己紹介やお話し頂きましたが、空手・矢板市のスポーツツーリズムにおいて大変すばらしい功績・活動をされていることがご本人を調べていくうちにわかりました。競技者・指導者として確立されている傍ら、ビジネスマインドを磨いていき、国内外問わず、矢板市だけでなく日本の武道やスポーツツーリズムを盛り上げていきたい!そんな熱い想いが伝わってきたのが非常に印象的でした。これからの神崎さんの活動にも大変楽しみにしております!