77歳で起業。仁木町の魅力を発信する挑戦。

北海道仁木町

おおさき りょうこ

大崎 良子

北海道日高町出身。若いときスウェーデン宣教師の手伝いを5年、スウェーデンの子ども達が通う学校で3年働き、そこで海外の文化に触れる。その3年後に結婚。夫がキリスト教系の書店に勤務しており、東京、神奈川に在住経験をもつ。10年後北海道に戻り、夫が札幌のアルコール依存症患者療養施設の施設長となり、良子氏は施設の炊事担当となる。従事する中で作業所のジャムやピクルスなどの加工食品の作成、販売を行う。2001年11月入所者との体験を記した著書「みんなで生きよう」が星和書店から出版。退職後、夫とともに友人の紹介で仁木町銀山に移住。施設での経験を活かし2018年 mor jamを起業。

一どんな活動をされていますか?

仁木町の旬の食材を活かしてmor jam(モルジャム)という商品名で、ジャム作りから販売までしています。一人で調理をしているので、通販はせず、地元の大手デパートと道内にある知り合いのお店などごく限られた範囲で販売しています。

出身は北海道占冠村の隣にある日高町。
主人の療養がきっかけで16年前に仁木町に引っ越してきました。主人亡き後、今の事業に至る経緯は、人との出会いがあったからと言わざるをえません。私が、町役場の意見交換会で仁木町が持つ潜在的有機物から事業に繋げるアイディアを多数発言したことがきっかけで、銀山地区の住民からそのアイディアを実現してみないかと後押ししてもらうことになったのです。そのアイディアの一つが前職で経験のあるジャム作りでした。

あくまでも趣味の範囲内で作成と販売をしてましたが、札幌の大手デパートの目に留まり、デパートに商品を卸してから卸先が拡大しました。卸先が増えたことで個人より事業者にした方が税手続きなど利便性があると周囲からアドバイスをいただき、77歳で起業し今に至ります。

一今やっていることについての課題はなんですか?

この地域から私に追随して起業してくれる人が中々現れないことですね。年齢なんて関係ない、77歳でも資金がなくても技術さえあれば起業できます。
仁木町には魅力的なものが沢山あるので、それを活用してまず何かすることが必要なのですが、その魅力に地元の人が気づいていないことが原因なのかなと思います。
私はこの仕事で利益を優先していないので、これ以上事業拡大はする予定もない、体力に限界を感じたら辞めることに後悔はありません。その前に、次の起業人が生まれることを期待しています。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

食材をそのまま販売するより、加工することで付加価値をつけ、その価値を販売価格に上乗せすることができます。仁木町のフルーツ、お米など食材だけではなく、それをジャム以外にもさまざまな加工方法でより良くしていく、そのひと手間をどのようにするかは地元の人からアイディアが出てきてほしいです。加工事業から雇用や利益も創出できるので、仁木町自体に活気を生むことができると思います。

一今後の目標はなんですか?

ジャムだけではなく、ピクルス作りもしたいのですが、保健所の許可の関係で販売はまだまだ難しいです。将来的には自分の畑で栽培した野菜をピクルスに加工して販売をするところまでしたいですね。特にビーツのピクルスは絶品なので、是非とも実現したいです。
他にも沢山アイディアはありますが、年齢的に実現は難しいので、是非とも私のアイディアを活用してくれる地元の人がいれば嬉しい限りです。

編集後記

何事もまずは試してみるという大崎さんの取り組む姿勢を、インタビュー終了後のジャム購入時に垣間見させていただきました。それは、QRコード決済の方法を大崎さんにレクチャーし購入させていただいたことです。
新しいことに柔軟に取り組む姿勢と事象に対して、「何故そうなるのか、過去はこうだったが今回は同じ結果になるのか」(=クリティカルシンキング)を自然にされているから問発見のアンテナが敏感なのだと思います。

-コーディネーター紹介-

ID 北海道仁木町

やまもと えりこ

山本 恵律子

神奈川県生まれ、神奈川県育ち。
2014年Modis(旧VSN)に入社。 ネットワークエンジニアとしてインフラ系NWの設計から運用業務まで携わる。
前職はスーパーのバイヤーとして全国の地域商品を活かしたオリジナルお惣菜の企画開発を行う。学生時代、地域経済の発展と雇用創出をテーマに研究したことがきっかけで、2022年3月より北海道仁木町チームに参加。