一どんな活動をされていますか?
北海道仁木町で生まれ、仁木町で育ちました。同級生には、岩井教育長などがいます。現在は、スクールバスやニキバスの定期運行をメインに行っています。観光バスとは違い、顔なじみの方が利用してくれるため、バスに乗車する度にお礼の言葉を言ってもらえる事がとても嬉しく、このことが地域に密着した仕事をするやりがいの1つになっています。
一今やっていることについての課題はなんですか?
イナホ観光は元々、私の父が地域のスクールバスの運行を行うため、昭和56年に創業し、今から約20年前に父から会社を引継ぎました。創業から少しずつインバウンド需要が増え、観光バスの仕事が年々増加していきましたが、近年のコロナ禍の影響でインバウンドの観光バス業が減り、今はスクールバスや地域を循環するニキバスといった地域に密着した仕事を主に任せてもらっています。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
2020年にModis(当時はVSN)と仁木町企画課が実施した「シニア向けタブレット実証事業」には、イナホ観光も関わっていました。しかし、そもそもタブレットを扱える高齢者が限られており、タブレットで予約をしてもらっても、予約者に確認の電話をする必要があり、正直、タブレット導入のメリットを感じる事は難しい事業でした。
ニキバスの利用者層を考えると、ITやデジタルの導入・活用は必ずしも便利なものとは言い難いと思います。しかし、貸切バスなどであれば、GPSやデジタコなどのITを活用したサービスの向上が十分に期待できると思います。
一今後の目標はなんですか?
デジタルを使い、アナログ文化をどのように変革させていくのか、利用者の声を聞きながら考えていく事が大切だと思っています。また今後、JR函館線が廃止になるとニキバスは住民の方々にとってより重要な交通インフラとなります。時にはタクシー会社との連携等も視野に入れながら、マイカーでの移動が困難な高齢者の方々を中心に、地域の皆さんの生活を豊かにするために、地域密着型の交通インフラとして引き続き頑張っていきたいと思っています。
編集後記
嘉屋社長が仁木町の特徴を、「お互いがオープンに意見を言う事ができ、かつお互いを認め合えるコミュニティが形成されているところ」と仰っていたことがとても印象的でした。もともと、ニキバスは今年の春まで予約制でしたが、地域の方の声を聞き、予約なしで利用できる循環型バスに変わりました。地域の皆さんの生活を豊かにするために声上げる事ができ、行政もきちんとその声に耳を傾けることができる仁木町の良さが見られたと思います。